電気工事士は、現代社会を支える重要な職種の一つです。住宅から商業施設、さらには鉄道などのインフラに至るまで、電気工事士の手によって安全で快適な電気の供給が実現されています。
本記事では、我々の生活に重要な職業である電気工事士の職種と仕事内容、必要な資格、そして電気工事士が活躍できるさまざまなシーンについて解説します。
電気工事士という職業を深く理解し、今後のキャリア形成に活かしましょう。
目次
電気工事に関する職種とは
電気工事に関わる職種には、
- 営業
- 設計
- 積算
- 現場施工
- 施工管理
など、多様な役割が含まれています。とくに「現場施工」と「施工管理」は、電気工事プロジェクトの核となる部分です。
現場施工では、電気工事士が直接電気設備の設置やメンテナンス、修理を行い、屋内外の配線工事や照明設備の設置などを手掛けます。
一方、施工管理では、プロジェクトの計画立案から進行管理、品質管理、安全管理までを担当し、工事が計画通りかつ安全に進行するよう監督します。
これらの職種は、電気工事の品質と安全性を確保するために欠かせない専門知識と技術を要求され、電気工事プロジェクトの成功に直接的に貢献しています。
電気工事士とは
ここでは、具体的な電気工事士の仕事内容をみていきましょう。
電気工事士は資格によっても取り扱える分野が違います。それぞれの資格ごとに詳しくご説明します。
電気工事士の仕事内容
電気工事士の仕事内容は、電気を安全に使用するための基盤を作ることにあります。
具体的には、新築や改装時の建物内外の電気配線工事、照明やコンセントの設置、電力供給システムの構築などが含まれます。
また、故障時の修理や定期的なメンテナンス作業の役割も担います。電気工事士は住宅だけでなく、商業施設、工場、公共施設など、あらゆる場所で必要とされる専門職です。
技術的な知識と共に、電気安全に関する深い理解が求められ、社会のインフラを支える責任ある仕事です。
第二種電気工事士の仕事
第二種電気工事士は、主に住宅や小規模な商業施設などの一般用電気工作物に関わる工事を行います。
照明設備やコンセントの設置、家庭用電化製品の接続準備、小規模な太陽光発電システムの設置などがあり、故障した電気設備の修理や、既存の電気システムの改善・更新作業も担当します。
第二種電気工事士の資格は、電気工事における基礎を網羅しており、電気工事の世界に入るための入門資格ともいえます。
この資格を持つことで、電気工事の基本的な作業を自立して行う能力が認められ、家庭や小さなビジネスの場で直接的な貢献をすることができます。
第一種電気工事士の仕事
第一種電気工事士は、第二種電気工事士よりも広範囲で複雑な電気工事を行うことができる資格です。
具体的に第一種電気工事士は、第二種電気工事士では取り扱えない600ボルトを超える設備や、500キロワット未満の自家用発電設備の設置・保守・管理が可能です。
第一種電気工事士が手掛けることができる工事の例としては、大型商業施設や工場、オフィスビルなどの大規模な建築物の電気設備工事となります。
高電圧の配電線の敷設、大容量の変電設備の設置、緊急時のバックアップ電源システムの構築など、専門的な技術と知識が求められます。また、公共インフラや産業用の大規模プロジェクトにおける電気工事も、第一種電気工事士の仕事です。
このように、第一種電気工事士は、より高度な技術と広い知識が必要な電気工事の専門家として、社会のさまざまな場面で重要な役割を担っています。
電気工事士の作業内容
では、電気工事士の作業内容として、どのようなものがあるのでしょうか。主な作業内容を4つピックアップし、詳しく解説します。
外線配線工事
外線配線工事は、電気を発電所から消費地点まで運ぶための高圧線や中圧線の敷設、保守、修理を行う業務です。
この工事は、電柱や地中に設置される電線を用いて、電力を安全かつ効率的に輸送するための基盤を構築します。
外線配線工事は、都市部のインフラ整備はもちろん、新たな住宅地開発や商業施設の建設、災害時の復旧作業、電力供給の安定性を保つため、定期的なメンテナンスや老朽化した設備の更新においても不可欠なものです。
屋内配線工事
屋内配線工事は、電気工事士が建物内で行う電気設備の設置、更新、メンテナンスを指します。
この業務には、照明器具の設置、コンセントやスイッチの配線、家庭用や商業用の電気機器の接続などが含まれます。建築設計図をもとに、電気設備の最適な配置を決定し、必要な配線作業を計画的に実施します。
また、既存の建物では、老朽化した電気設備の交換や、新しい技術へのアップグレードが必要となる場合があり、これらの作業も屋内配線工事の範疇に入ります。
屋内配線工事業に従事する電気工事士は、技術的なスキルだけでなく、電気設備に関する最新の知識を常に更新し続ける必要があります。
冷暖房設備工事
冷暖房設備工事は、居住空間やオフィス、商業施設などの快適な環境を作り出すために不可欠な業務です。
この分野で活躍する電気工事士は、エアコンやヒートポンプなどの冷暖房システムの設置、保守、修理を行います。具体的には、室内機と室外機の設置、配管や配線の接続、システムの動作確認と調整が含まれます。
また、エネルギー効率の良いシステムへの更新や、既存の設備の性能向上を目指す改修工事も行われます。
電気工事の基本的な技能に加えて、冷暖房システムの専門知識が求められる専門性の高い分野であり、快適な居住空間の構築のため、ますます重要性が増している業務です。
鉄道電気工事
鉄道電気工事は、鉄道システムの安全かつ効率的な運行を支えるために不可欠な専門分野です。
具体的には、線路沿いの電気設備や駅構内の照明、自動改札機、情報表示板などの電気工事を担当します。また、鉄道車両の電気系統の保守や修理も、鉄道電気工事業の範疇に含まれます。
鉄道電気工事では、高度な技術と厳格な安全基準が求められるので、鉄道システムの特性を深く理解し、常に最新の技術動向に精通している必要があります。
鉄道の安全運行を確保するためには、精密な作業と厳密な検査が不可欠であり、これらの業務を通じて多くの人々の生活と移動を支えています。
電気工事士に関する資格
電気工事士はその専門性の高さから、取り扱える業務に対しさまざまな資格が存在します。
ここでは、電気工事士として活動するために必要な基礎的な資格や、今後のキャリアアップのために必要な資格を詳しく解説します。
電気工事士として活動するために必要な資格
まずは電気工事士として活動するために取得するべき基礎的な資格をご説明します。
電気工事士
電気工事士の資格は、電気工事に従事する上で基本となる国家資格です。この資格には第一種と第二種があり、それぞれが異なる範囲の工事を行うことができます。
第二種電気工事士は主に住宅や小規模な施設の電気工事に関わり、照明やコンセントの設置、簡単な配線作業などを担当します。
一方、第一種電気工事士はより大規模で複雑な電気工事を行うことが認められており、商業施設や工場、公共の建築物など、広範囲にわたるプロジェクトに携わることができます。
電気工事士の資格を取得することで、専門的な知識と技術を身につけ、電気工事の分野でプロフェッショナルとして活動するための基盤を築くことができます。
電気施工管理技士
電気施工管理技士は、電気工事プロジェクトの計画、実行、監督を担う専門家に与えられる資格です。
この資格を持っていれば、工事の品質管理、工程管理、安全管理など、プロジェクト全体を通じて高いレベルの管理能力を保持していることの証明になります。
こちらの資格も1級と2級があり、それぞれが担うことができる工事の規模や複雑さに違いがあります。
この資格を取得することで、電気工事士として現場を管理することができます。大規模プロジェクトの管理職として活躍していくことを目指している方は、持っておきたい資格になります。
電気工事士としてキャリアアップするための資格
続いて、電気工事士としてキャリアアップを目指す際に取得したい資格を2つピックアップし、ご紹介します。
電気主任技術者
電気主任技術者は、発電所や変電所、工場、ビルなどの電気設備の設計、施工、保守、管理を行う上で必要な高度な資格です。
電気主任技術者には第一種、第二種、第三種があり、それぞれが扱える電気設備の規模や種類が異なります。
資格取得には、専門的な知識と経験が必要であり、試験の合格だけでなく、実務経験も求められます。
電気主任技術者としての資格は、電気工事士のキャリアパスにおいて重要なステップとなり、専門性をさらに深めることができます。
特殊電気工事資格者
特殊電気工事資格者は、非常用発電装置やネオン工事など、特定の電気工事を行うために必要な資格です。
特殊電気工事には特有の技術や知識が求められるため、この資格を取得することは、電気工事士としての専門性を高め、キャリアアップを目指すことができます。
特殊電気工事資格者の資格を取得するためには、電気工事士の免状交付の後、一般社団法人日本内燃力発電設備協会が設ける「据付工事部門の業務」において、5年以上の実務経験がないと受験することはできないなどの条件があります。
取得するためにはそれなりの時間と労力をかける必要がありますが、今後のキャリアの役に立つ資格です。
電気工事士の年収と将来性は?
電気工事士の年収は、資格の種類や経験年数、勤務地、そして担当するプロジェクトの規模によっても大きく異なります。
一般的に、第一種電気工事士や特殊電気工事資格者、電気主任技術者などの上級資格を持つ電気工事士は、より高い年収を期待できます。
ですが、基本資格である第二種電気工事士だけでも、経験を積み、スキルアップすることで年収を上げることは十分可能です。
電気工事士の平均年収は、約300万円から400万円程度とされていますが、とくに大都市圏や大規模な工事を手掛ける企業に勤務する場合、さらに高い収入を得ることができる場合もあります。独立した職人であれば、約500万円から600万円となります。
将来性についても、再生可能エネルギーやスマートグリッドなど新しい技術の導入が進む中、電気工事士の需要は今後も安定して高まると予想されます。
*参考 電気工事士の仕事内容とは?給料や受験資格について解説します
*参考 電気工事士の年収やいかに。独立して年収1000万円は可能⁉
電気工事士はイベント業界で活躍できる
生活の基盤を築くことが主な仕事だと思われがちな電気工事士ですが、実は展示会やイベント業界でそのスキルが求められていることはご存知でしょうか。その理由や、イベント業界での案件獲得の方法などをご紹介します。
イベント業界とは?
展示会やイベント業界は、商品やサービスの展示・宣伝、ビジネスマッチング、情報交換の場を提供することを目的としています。
この業界は、多岐にわたる分野での展示会や商談会、セミナー、コンサート、スポーツイベントなどを含み、企業や団体、自治体などが主催者となり、企画から運営、後処理までを一手に担います。
アフターコロナとなった現在、オンラインやハイブリッド形式のイベントからまたリアルな対面での交流の重要性が増してきており、さらに以前よりも新しいテクノロジーの導入により、業界は進化し続けています。
イベント業界での電気工事士の仕事とは?
展示会やイベント業界における電気工事士の仕事は、展示ブースや会場全体の照明、音響システム、映像機器の電源供給の確保、緊急時の電力供給システムの設置、会場内外の電気配線作業などがあります。
また、電気安全管理の責任者として、イベント中の電気設備の安全確保や、事故防止のための点検・監視業務も行います。
電気工事士は、イベントがスムーズに運営されるための重要な役割を担い、展示会やイベントの成功に不可欠な存在です
では展示会やイベント業界の案件を獲得するためにはどうアプローチしたらいいのでしょうか。その一つの方法として今注目されているのが、効率的に案件を獲得できるツール「職人BASE」です。
「職人BASE」は、イベント業界の企業と職人をつなぐプラットフォームです。職人が自分に合った案件を見つけ、発注企業と直接話し合い、受注できます。
登録は無料ですので、気軽に登録できる「職人BASE」をうまく活用し、案件獲得を目指しましょう。
*参考 職人BASE
まとめ|電気工事士は職種ごとに活躍するシーンが多数
電気工事士はその専門性の高さから、職種もいくつかに分かれており、さらにその業務内容も多岐に分かれます。それぞれの業務ごとに活躍できるシーンも多く、今後も活躍できる将来性の高い職業だといえます。
電気工事士の知識やスキルを活かし、さまざまな分野で活躍していきましょう。