大道具の仕事は、映像制作や舞台などの制作現場で作品の雰囲気や情景を演出するために欠かせない役割です。大道具スタッフが、セットや舞台装置を作成することで作品の世界観を演出するプロフェッショナルです。
この記事では大道具の仕事内容や平均年収、将来性についてご紹介します。大道具の向いている方の特徴や仕事に役立つ資格についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
大道具の仕事内容とは
大道具とは映画やテレビの現場で作品のイメージを演出するため、場面や風景を演出するスタッフのことです。仕事内容と小道具スタッフやデザイナーとの違いについて、解説します。
大道具とは
大道具とは一般的に持ち運びが難しいものを呼び、舞台や撮影現場の背景やドラマで使用される部屋など大掛かりな装飾をいいます。場面や撮影シーンの情景を演出したり感情移入を助けたりすることが役割です。
テレビや映画の撮影では「セット」、舞台では「舞台装置」と呼ばれます。この大道具をつくる職人も「大道具」と呼ばれることも多いです。
大道具職人は組立てから解体まで担当していて、ほかの内装業者やとび職人などと協力して作成することもあります。ほかにも場面変更のときにはセットや背景を回転させたり、ステージのカーテンの開閉なども担当します。
細かい作業もおこなっていて、俳優や主役の登場シーンで風船を飛ばすなども大道具の業務です。大掛かりな案件はチームでおこなうため、役割分担が必要になります。大きな建具を作成する大工仕事や、背景にいろどりを与える塗装仕事などです。
小道具との違い
小道具とは、大道具と衣装以外の舞台道具すべてをいいます。一般的には持ち運びができるかできないかで、大道具と小道具を区別が可能です。固定されていない家具なども持ち運びができるため、小道具に分類されます。
役者が身につけるものや舞台で重要な役割を果たすものも小道具に含まれていて、用意や管理だけでなく清掃や片付けも小道具の仕事です。小道具は多いときでは3,000点近く使用される舞台もあるため、体力だけでなく精神力も必要になります。
デザイナーとの違い
デザイナーは撮影や舞台にどのような装置が必要かをイメージして、デザインしていく仕事です。デザイナーがイメージしたものを実際に作成する職人が、大道具となります。
デザイナーと大道具の仕事を両方こなしてしまう方もいますが、基本的にはそれぞれ別の方を用意する現場が多いです。
大道具の平均年収
大道具の平均年収は、約250万円〜600万円ぐらいといわれています。就職先の規模や地域によっても、年収には大きな差がでています。大きく昇給するには大道具として業務をこなしたうえで、ほかのスタッフを指揮する美術監督などの役職につくことが求められます。
または大道具としてフリーランスになることもオススメです。自分で営業活動をおこない案件がとれれば高収入を狙うことも可能です。相性のいいデザイナーやプロデューサーがいれば、安定して案件を依頼されやすくなり収入が安定します。
フリーランスとして独立した場合は大道具としての実務だけでなく、営業活動や経理業務なども自分でおこなう必要になる点には注意しましょう。多くの業務を依頼されるようになれば、苦手な業務は外注してしまうのもオススメです。
大道具の仕事の将来性
大道具はスキルやセンスが必要な仕事で、ロボットやAIに業務を奪われる可能性は低く人間の柔軟性が必要な業務です。ドラマや映画の撮影はいまでも引き続きおこなわれていて、YouTuberなどの個人から仕事を依頼されることも少なくありません。
舞台での公演も新型コロナウイルスが5類に引き下げられたことで、開催が増えています。ほかのイベントでもライブ配信や画像の見栄えをよくするために、大道具に案件を依頼することも多くなっています。
大道具の仕事は今後も企業や個人を問わず、需要が高い将来性のある業界です。大道具としてフリーランスになり多くの案件を獲得して、高収入を目指してみましょう。
大道具の仕事が向いている人の特徴
大道具の仕事が向いている方の特徴は、
- 芸術性がある方
- 手先が器用な方
- 自分だけのスキルを身につけたい方
- 体力と精神力がある方
です。それぞれ解説します。
芸術性がある人
芸術性のある方は、そのセンスを大道具の仕事にいかして活躍が可能です。デザイナーのイメージを形にしたり、詳細にまでこだわって制作したりすることで、周囲からの評価も高くなります。
指示通りに作業することももちろん大切ですが、自分からアイデアを提案できる方は仕事の幅も広がります。芸術性のある方は、大道具の仕事にチャレンジしてみることがオススメです。
手先が器用な人
大道具の仕事は大きなものを扱うことも多いですが、細かい部分にまでこだわった指示をされることもあるため手先の器用さも重要です。現場でディレクターやデザイナーから急な依頼があっても、手先が器用であれば臨機応変に応えられます。
依頼する側も手先が器用で柔軟な対応のできる方は仕事をスムーズに進められるため、信頼関係をつくりやすくなるので次の依頼につながることも多いでしょう。
自分だけのスキルを身につけたい人
大道具はスキルや経験が必要になる仕事のため、業務をこなせばこなすほど自分だけのスキルを身につけることが可能です。業務をはじめたばかりは覚えることが多くて大変ですが、手に職をつければ安定して長期間働けます。
新しい技術も次々とでてくる業界なので、ほかの職人や同僚からスキルを学んだりみずから学習したりして身につけることも大切です。自分だけのスキルを身につけて、多くの案件を依頼されるようになりましょう。
また、自分にしかできないスキルがあれば仕事の単価もあがっていきやすいので、高収入を狙いたい方も積極的に習得することがオススメです。
体力と精神力がある人
大道具は持ち運びができない大きなものを扱う仕事のため、体力が必要になります。業務の都合によっては短納期の仕事もあり、残業や休日出勤で対応することも少なくありません。夜遅くまで仕事をすることもあるので、体力がある方でなければ大道具の仕事は務まりません。
芸術性も必要になるためデザイナーや依頼主から、厳しい意見をいわれることもあります。職人同士でも意見の食い違いや競走もあるため、精神的なタフさも必要です。
体力的にも精神的にも厳しい環境であることは理解したうえで、大道具の仕事にチャレンジしてみましょう。大変なところも多い分、充実感ややりがいのある仕事でもあります。
大道具の仕事に役立つ資格等
大道具の仕事は、業務をおこなううえで特別な資格を必要としません。しかし、資格を取得しておけば知識やスキルがあることの証明になるため、独立や転職をするときに役立ちます。
資格を保有していることで業務の幅を広げることもできるため、スキルアップのひとつとして資格取得にチャレンジすることもオススメです。
大道具の仕事に役立つ資格等には、
- 色彩検定
- ビジネス著作権検定
- 足場の組立て等作業従事者特別教育
などがあります。どれも業務の幅を広げられるため、資格取得にチャレンジしてみましょう。
色彩検定
色彩検定は、色に関する幅広い知識や技術を問われる検定試験です。試験は1級〜3級に分かれていて、受験資格がなくだれでも受けられる試験になっています。
色彩検定を取得することで色に関する基礎知識が身につき、大道具の仕事をおこなうときの配色などに役立ちます。
*参考 色彩検定
ビジネス著作権検定
ビジネス著作権検定は、著作権や知的財産権に関する検定試験です。試験は初級と上級に分かれていて、団体でのみ受験ができる「BASIC WEBテスト」もあります。どのグレードでも受講資格はないため、だれでも受験することが可能です。
大道具の業務をこなすときにも著作権のトラブルが発生する可能性はあるため、事前にビジネス著作権検定の資格を取得しておけばトラブルを回避できます。
足場の組立て等作業従事者特別教育
大道具の業務をおこなううえで、足場を組む必要がある場面もでてきます。足場の組立てをおこなう担当者は、足場の組立て等作業従事者特別教育の受講が義務化されました。
足場の組立てや解体をおこなうにはこの特別教育を受けることが必要で、受講済みの方が現場にいない場合は作業が止まってしまいます。
業務の幅を広げるためにも受講しておくことで、自分で足場の組立てから大道具の仕事までこなせるためスムーズに業務をこなせます。
イベント業界の案件を獲得してみよう
テレビや映画などの撮影現場や舞台の仕事だけでなく、イベント業界に関わる大道具の案件もオススメです。新型コロナウイルスが5類に引き下げられて行動制限が解除されたため、オフラインイベントの開催が増えていることから、大道具の案件も増えています。
イベント業界の大道具の仕事は、複数の仕事を一度に受注できる案件が多いです。案件を獲得できれば安定した収入が見込めるため、ぜひチャレンジしてみましょう。
ほかの大道具と一緒に作業することもあるため、スキルの交換をしたりあたらしい交流ができたりといったメリットもあります。ほかの内装業をおこなう職人もいるため、イベント業界の案件を通じてあたらしい案件を獲得できることも多いです。
プラットフォームの「職人BASE」では、大道具のスキルを活かせるイベント業界の案件も掲載されています。興味がある方は無料で登録できるので、大道具のスキルを活かして、イベント業界でも活躍していきましょう。
*参考 職人BASE
まとめ|大道具の仕事はイベント業界でも需要がある
この記事では大道具の仕事内容や平均年収、将来性についてご紹介しました。大道具の仕事は芸術性や手先の器用さが必要とされて、業務をこなしていくと自身のスキルを身につけながら成長できます。
体力や精神力も必要になりますがその分やりがいも大きく、フリーランスとして独立して高年収を狙うことも可能です。AIやロボットでは代替が難しい仕事のため将来性も高く、映画やテレビだけでなくイベント業界やYouTubeの案件も増えています。
とくに新型コロナウイルスが5類に引き下げられたため、イベント業界で大道具のスキルを活かした案件も増えてきています。プラットフォーム「職人BASE」を利用して、イベント業界の案件を獲得してみましょう。