「インテリアが好きで、いつかインテリア関連の仕事についてみたい」
「未経験でもデコレーターになれるか知りたい」
このように、インテリアデコレーターに興味をもってはいても、いざ転職となると一歩を踏み出すのは勇気がいるものです。
本記事では、インテリアデコレーターの仕事内容や年収、必須スキルなどの詳しい情報に加えて、転職に有利な資格取得についても詳しく解説します。ぜひ参考にしてよりよい転職にお役立てください。
目次
インテリアデコレーターとは
空間演出の専門家として、インテリアのデコレーション(装飾)業務を行う職業に就く人、またはその職業自体を指します。ここでは、インテリアデコレーターの具体的な仕事内容や年収、インテリアコーディネーターとの違いについて詳しく解説します。
インテリアデコレーターの仕事内容
インテリアデコレーターは、デザインの専門知識や創作技術を生かして空間の装飾を手がけます。具体的な仕事内容は、主に以下の通りです。
クライアントとの打ち合わせ | クライアントの要望を聞き、プロジェクトの目的や予算などを明確にする。 |
デザインコンセプトの策定 | クライアントの要望に基づき、手がける空間の、具体的なデザインコンセプトを考案する。 |
空間演出の計画作成 | 家具やその他装飾品の最適な配置を決定し、バランスのよい空間作りの計画を立てる。 |
家具や素材の選定 | 予算の範囲内で、クライアントの要望に沿う家具や素材を選定する。品質や耐久性、デザイン性などの要素も考慮する。 |
カラースキームの作成 | クライアントの要望やデザインコンセプトに沿うカラースキームを作成する。色彩心理学やトレンドを取り入れ、適切な色合いの選択をする。 |
照明の計画作成 | 使用する照明の種類や配置を計画する。空間全体の雰囲気や視覚的効果を考慮する。 |
装飾品の選定 | カーテンやクッション、その他空間演出に必要な小物などの装飾品を選定する。 |
プロジェクト管理 | 予算やスケジュール管理、施工の監督などを含んだ、プロジェクト全体の管理監督業務。
必要に応じて施工業者や職人と連携し、プロジェクトを遂行する。 |
インテリアデコレーターの年収
インテリアデコレーターのみの年収データはありませんが、類似業種のインテリアコーディネーターの年収を参考にすると、全国平均でおよそ480.6万円ほどです。労働時間は170時間、就労者の平均年齢は38.3歳です。
年収は40歳まで緩やかに上昇し、40歳から60歳まではやや横ばい、年収のピークは50代後半で585.38万円まで上がっています。
*参考 厚生労働省「job tag」
インテリアデコレーターとインテリアコーディネーターの違い
インテリアデコレーターもインテリアコーディネーターも民間の資格であり、インテリアの基礎知識をもって空間演出を行う専門家であることは同じです。
ただし、空間演出の際に、インテリアコーディネーターは建築の知識が重視されることに対して、インテリアデコレーターはより実践的かつ豊かな表現力が求められるところが両者の違いといえます。
具体的にインテリアデコレーター資格は「空間構成や装飾・演出の実践的技術」や「日本の伝統文化や工芸、意匠やもてなし」など、これまでインテリアコーディネーター資格では重視されなかった部分に重きを置いています。
未経験からの転職は可能?
未経験であっても、インテリアデコレーターになることは可能です。転職サイトや転職エージェントの保有する案件にも、未経験者の応募できる求人が多数あります。まずは就職して現場で実際の業務を覚えながら経験を積むことからはじめましょう。
未経験からのスタートでも、働きながら資格を取得するなど、常に学ぶ姿勢と熱意をもって仕事を継続すれば、インテリアデコレーターのキャリアを築くことは難しくありません。
インテリアデコレーターになるには
異業種で働いている人がインテリアデコレーターになるためには、どのようにすればよいのでしょうか。ここでは、インテリアデコレーターに必須のスキルやオススメの資格などについて解説します。
インテリアデコレーターの必須スキル
インテリアデコレーターの仕事は、クライアントからの依頼があって成り立ちます。依頼には必ず目的があり、目的を果たせる制作物の納品が必須です。そのため、インテリアデコレーターには次のようなスキルが求められます。
クライアントの要望に対する理解力
インテリアデコレーターの仕事は、クライアントがどの顧客層にどのような効果を狙って空間演出を依頼してきたのかなど、依頼内容の詳細を聞き出すことからはじめます。
そのため、要望を正確に聞き取るためのコミュニケーション能力と、言葉の真意を汲み取るための理解力が必要です。
企画力・提案力
クライアントの要望を聞き取った後、その要望に沿った企画を立案し、的確にクライアントに提案できる企画力と提案力が求められます。ラフ案を描いたり、プレゼンテーション資料を作成したり、クライアントがイメージできるように準備することが求められます。
色彩センス
空間の演出や装飾の技術と並んで必須なのは、色彩のセンスです。色彩センスがあるかないかで、インテリアの統一感は変わってきます。
ただし、センスとはいっても、勉強することによって身につけられる技術の一つなので、インテリアデコレーターとして専門性を追求するならば検定試験を利用するのもよい方法です。なお、色彩センスは以下にご紹介する資格で学べます。
転職に有利な資格
インテリアデコレーターとして転職活動する際に有利な資格は、一般社団法人日本インテリアデコレーション協会により認定されたインテリアデコレーター資格です。
未経験で働きながら取得してもよいのですが、就職前に資格を保有しているとスキルの証明ができるので、転職活動に有利に働きます。なにより、資格取得のための勉強をすることでデコレーターの知識も身につけられるので、積極的な受験がオススメです。
インテリアデコレーター資格試験の概要
インテリアデコレーター資格の等級は以下の3つであり、段階を踏んでインテリアデコレーターの知識を深められるようになっています。
- 2級(初級者〜中級者)
- 1級(上級者)
- EX(最上級者)
主な試験概要は以下の通りです。
2級 | 1級 | EX | |
対象者 | 初級者〜中級者 | 上級者 | 最上級者 |
受験資格 | 誰でも可。 | 2級試験に合格し、
協会の認定を受けていること。 |
1級試験に合格し、協会の認定を受けていること。
インテリア関連職種等にて実務経験が3年以上あること。 |
試験内容 | 1科目(100分)
マークシート方式(一部筆記あり) |
一次試験(学科試験)
インテリア総合基礎(100分) インテリアデコレーション総合(100分) 二次試験(実技試験) インテリアデザイン(240分) 小論文におけるプレゼンテーション |
実技・論文・面接 |
なお、一般社団法人日本インテリアデコレーション協会では、インテリアデコレーションの中で、とくに「飾る技術」に重点を置いた、装飾と演出を行う「アンビエンススタイリスト」の育成も行っています。
所定の講座を受講することで資格を得られるので、インテリアデコレーターの資格とあわせて取得するとよいでしょう。講義の90%以上を受講して、課題(終了試験)を提出すれば資格が取得できます。等級は2つで詳細は以下の通りです。
アンビエンススタイリストコース(資格認定講座) | アンビエンススタイリストクリエイティブクラスコース(資格認定講座) | |
対象者 | 初級〜中級 | 中級〜上級 |
受験資格 | とくになし。 | とくになし。中級者、またはアンビエンススタイリスト、インテリアデコレーションエクセルシア2級資格取得者以上の人。 |
講義数 | 全7講義 | 全17講義 |
総時間 | 14時間 | 34時間 |
内容 | インテリア知識を背景に飾れる基礎を身につけるクラス。人の環境となるあらゆる場所や空間を、目的に応じて演出するための基礎を学ぶ。 | プロフェッショナルとして各方面で活躍するために必要な知識と技術、ビジネススキルまでの基礎を身につける上級クラス。 |
受講費 | 128,000円(税抜) | 378,000円(税抜) |
資格試験勉強のポイント
インテリアデコレーター資格試験の勉強を進めるにあたって、方法はいくつかあります。
仕事しながら資格取得を目指す場合、効率よく勉強できる通信講座やオンラインスクールの利用がオススメです。専門学校やスクールに通うよりもコスト面で低く抑えられるのもメリットです。
多くの勉強時間を確保でき、自分で計画的に進められるならば、独学での資格取得も不可能ではありません。
しかし、インテリアデコレーター1級の試験には実技試験で製図も含まれるため、独学では難しいのが事実です。いち早く資格を取得し、その知識を生かして実績を積むことに重点を置くのであれば、専門家の先生に教えてもらう方が効率的でしょう。
転職エージェントへの登録
自分の求める条件に合った職場を効率よく探し、転職を成功させるには、転職エージェントを利用することがオススメです。専任のコンサルタントに相談し、サポートしてもらえることで、働きながらでも無理なく求人情報を集めることが可能です。
転職エージェントでは非公開案件を保持していることが多いので、理想の働き方や求める条件に合った職場がいち早く見つかることもあります。
インテリアデコレーターが活躍できる職場
インテリアデコレーターの知識や技術を生かせる職場は多く、さまざまな業種に活躍の場があります。多くの選択肢があるため、興味がある業種を選んで就職し、その道のプロフェッショナルを目指すことが可能です。
また、ある程度現場でインテリアデコレーターとしての経験を積んだ後のキャリアプランを考える上で、選択肢を上手に利用することもできます。
たとえば多くの選択肢を生かして、さまざまな業種の仕事を手がけるフリーランスという働き方も視野に入るため、仕事の仕方の自由度が上がります。
業種を跨いで手広く仕事を得られれば、努力次第で年収アップにもつながっていくでしょう。以下に、インテリアデコレーターの就職先の一部をご紹介します。
- リフォーム専門会社
- 住宅メーカー
- 建築設計事務所
- インテリアエレメントメーカー
- インテリア専門店
- 工務店
- アンティーク専門店
- アパレル会社
- インテリア関連のショールーム
- 家具メーカー
- 百貨店
- 家電量販店
- 雑貨ショップ
- 照明器具メーカー
- 家具工房
- 住宅設備メーカー
- ホームセンター
- 飲食店プロデュース会社
- ブライダル関連会社
- ディスプレイ専門会社
- イベント企画会社
- デザイン事務所
- フラワーショップ
- スタイリスト事務所
- 建材・内装材メーカー
インテリアデコレーターはイベント業界でも求人がある!
インテリアデコレーターは活躍の場が多岐にわたっており、自分の努力次第で仕事の可能性はいかようにも広がる職業です。
コロナ禍明けでイベントが全国的に開催されている昨今、イベント業界では関連業種の需要が高まっており、インテリアデコレーターも例外ではありません。もしイベント業界での仕事に興味があれば、簡単に案件を探す方法があります。
「職人BASE」はイベント業界に特化した、仕事と職人をマッチングするアプリです。ライン登録するだけで、スマホで手軽に仕事を探せます。仕事の幅を広げておけば、いつかフリーランスになりたいと思った時にも経験値として役立つでしょう。
*参考 「職人BASE」
まとめ|スキルを身につけてインテリアデコレーターに転職してみよう!
インテリアデコレーターの仕事は、汎用性の高いスキルであることから多くの業種で需要があり、自身のスキルアップ次第で活躍の場を広げられることがわかりました。
無資格からでも就職できる職場でまずは現場経験を積みながら、インテリアデコレーターの資格取得ができれば、次第に職人としての信頼も得られるでしょう。
自分の学ぶ意欲や頑張り次第で手に職がつけられるインテリアデコレーターの仕事は、たとえ異業種からでも、転職に挑戦してみる価値のある職種です。自分の好きなことを仕事にするために、ぜひ一歩を踏み出してみてはいかがですか。