施工管理は建設工事全体の現場を管理しながら、職人に指揮監督するという重要な立場を担っています。やりがいも多い職種ですが、退職を考える人も多いのが現状です。
そこでこの記事では、施工管理が退職を考える理由や退職する場合のタイミング、スムーズに退職する時にとるべき行動などを解説します。
記事の最後でオススメの転職サイトやスキルを活かせる業界などもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
施工管理の離職率は
施工管理に特化した公的なデータはないようですが、厚生労働省の令和4年度雇用動向調査によれば、建設業全体の離職率は10.5%です。
年間10人に1人が辞めていると考えると多く感じてしまいますが、宿泊業・飲食サービス業(26.8%)やサービス業(19.4%)と比較すると、建設業の離職率は全体で11番目と、相対的に低いといえます。
前述したように施工管理に特化した公的なデータはありません。しかし、一般的には、1級施工管理技士の離職率は年間約5%、2級では約10%とされています。他の建設業の職種と比べると、施工管理の離職率は低いものの、一定数の人々が退職しているのが現状です。
*参考 施工管理を辞めたいと思う6つの理由!円満退社のために必要な5つの行動
*参考 令和4年 雇用動向調査結果の概要
施工管理が退職しても安泰な理由とは
離職率も一定数ある施工管理ですが、実は退職しても安泰だといわれる理由があります。その理由は以下の2点です。
- 転職の多い職種だから
- 企業が人材不足で引く手あまただから
それぞれ詳しく解説します。
転職の多い職種だから
施工管理は、他の職種と比べても転職回数が多い職業です。大手の転職サイトを見ても、40代の中堅の人材で5回以上転職している方も珍しくありません。
理由としては、多くの方が高校卒業後に入社し、スキルや資格を取得しながら年収や待遇のよい企業へキャリアアップしていくため、転職が頻繁に行われるためです。
もちろん1社で高い年収を目指すのもよいのですが、建設業界では現場経験と能力で年収が左右されるため、収入を今よりも上げるために必然的に転職回数が多くなるのです。
企業が人材不足で引く手あまただから
建設業界は多くの職種で人手不足が顕著に表れています。それは施工管理も例外ではありません。
とくに施工管理として現場を指揮監督するためには資格が必要なため、多くの企業で人手不足となっています。実際に現場の高齢化も進んでおり、今は未経験社を雇って一から育てる企業も多くあります。
したがって、今の会社を退職したとしても、施工管理の経験があれば転職できる可能性は非常に高いといえます。
施工管理が退職を考える時の理由5選
次に施工管理が退職を考えた際、多くの方が理由として挙げる点を解説します。その理由は以下の5点です。
- 業務量の多さ
- 就業時間の長さ
- 社内の人間関係
- 個人的な家庭の事情
- 収入の不満
それぞれ詳しく解説します。
業務量の多さ
施工管理の仕事は、工程管理・品質管理・原価管理・安全管理の「4大管理」を行うため、非常に多くの業務をこなさなければなりません。
また、現場だけでなく書類作成などの事務作業や、関係各所との打ち合わせといった外回り業務もあり、業務量が膨大です。予期せぬトラブルが発生することも多く、それに対応することでさらに業務が増加してしまいます。
人員が多い企業は分担できますが、一般的な中小企業だとほとんど一人でこなしているような状況です。このような状況に耐えられず、退職を考える人が多いのが現状です。
就業時間の長さ
施工管理は業務量が多いため、必然的に就業時間も長くなりやすいです。いずれ終わらせればいい業務はなく、現場の工期に合わせて進めなければいけないため、代理で任せられる人員がいない場合は十分な休暇が取れない場合もあります。
プライベートな時間を大切にしたい人にとって、長時間労働は大きなストレスとなり、退職の理由となります。
社内の人間関係
施工管理は多くの人と関わる職種です。上司や同僚はもちろん、現場の職人や施主、取引先業者などとの人間関係がストレスになることがあります。
とくにまだ若手の場合、現場の職人の高齢化で年齢層が高く、経験の浅さを指摘されたり、話が合わなかったりすることも多々あります。職場の人間関係が原因でストレスを感じ、退職を考える人も少なくありません。
個人的な家庭の事情
家庭の事情も退職の理由としてよく挙げられます。親の介護や子どもの進学、転勤などが主な要因です。
とくに近年では、親の介護を理由に退職する人が増えています。介護となるとプライベートにそれなりの時間が必要となり、業務量と折り合いが合わず辞めてしまうケースが増えています。
家庭の事情は個人の問題ではあるのですが、企業側が融通できない場合、退職せざるをえないのです。
収入の不満
施工管理の仕事は業務量や就業時間が多いので、それに見合った収入が得られないと感じた場合、退職する人が多いのが現状です。
とくに「みなし残業制」や「固定残業制」で働いている場合、実際の残業時間に対して十分な報酬が得られないため、不満がたまりやすくなります。こうした不満が積もり積もって退職を決意することがあります。
退職するための適切なタイミング
どの仕事もそうなのですが、退職する際は後腐れなく進めたいものです。ここで、退職するための適切なタイミングをご紹介します。
今の現場が終わった時
退職のタイミングとして最も適しているのは、現在担当している現場の工事が完了したタイミングです。工事の途中で退職することは、会社や現場の職人に多大な迷惑をかける可能性があり、いざ退職となった時に揉める原因となります。
工事が完了した後であれば、退職の際に揉めごとがおこるリスクを抑えられ、責任感やプロ意識があることを会社側に示せます。後腐れなく辞めたい場合は、現在の現場を完遂してから退職することを検討しましょう。
施工管理の新入社員が入社した時
もう一つの適切なタイミングは、自分の代わりとなる施工管理の新入社員が入社した時です。新入社員が入ることで、現場の引き継ぎや業務の分担がスムーズに進みます。
新入社員が現場の環境や業務内容に慣れるまでには時間がかかりますが、自分が退職する前にしっかりとサポートし、引き継ぎを行うことで、現場の混乱を避けられます。
新入社員が入社した時に退職のタイミングを合わせることで、揉めごとも少なく退職できるでしょう。
施工管理がスムーズに退職するためにとるべき行動
退職する際のタイミングを解説しましたが、次はスムーズに退職するためにとるべき行動をご紹介します。とるべき行動としては、以下の3点が挙げられます。
- 完工後などタイミングを考えて退職願を出す
- 個人的なキャリアアップを退職理由とする
- 迷いがないことをしっかりと伝える
それぞれ詳しく解説します。
完工後などタイミングを考えて退職願を出す
前述した退職するためのタイミングとも重なりますが、退職する際は今担当している現場が完了した後、もしくは完了したタイミングで退職する旨を伝えて退職願を出すのがベストです。
工事の途中で辞めると、工事の遅延や品質低下、事故のリスクが高まるため、会社や現場の職人に迷惑をかけてしまい、いざ退職の際に円滑に辞められない場合も考えられます。
現場が完了した後なら責任を全うした形で退職できるため、滞りなく次のステップに進めるでしょう。
個人的なキャリアアップを退職理由とする
退職理由を伝える際には、個人的なキャリアアップを理由にするのが効果的です。ネガティブな理由よりも、ポジティブな理由の方が上司や同僚に理解してもらいやすく、円満に退職できることが理由です。
たとえば、「給与が安いから転職する」などではなく、「キャリアアップのために新しい職場で挑戦したい」や「さらに大きな現場で自分の力を試したい」などと伝えることで、前向きな印象を与えられます。
これにより、退職の際に無理に止められてスムーズに退職できないなどといったリスクを減らせるでしょう。
迷いがないことをしっかりと伝える
退職の意思を伝える際には、迷いがないことをしっかりと伝えることも重要です。上司から引き留められることがあるかもしれませんが、ここで気持ちが揺らぐと退職が難しくなります。
「自分のキャリアアップのため」や「すでに次の就職先が決まっている」など、退職を決意した強い意志をもち、真摯な態度でその思いを伝えることが大切です。揺るがない意志を示すことで、スムーズに退職できるでしょう。
退職を考える施工管理にオススメの転職サイト3選
ここで、退職を考えている方が施工管理として転職する際に、オススメの転職サイトを3つご紹介します。転職する際の参考にしてください。
施工管理求人.com
施工管理求人.comは、施工管理に特化した求人サイトです。建設業界の人材不足に対応するために設立され、企業と求職者を効果的に結びつけることを目的としています。
このサイトは完全成功報酬型を採用しており、企業は採用が成功した場合のみ費用が発生します。そのため、企業にとってはコスト効率が良く、求職者にとっても専門性の高い求人情報を探せるメリットがあります。
*参考 施工管理求人.com
施工管理転職ナビ
施工管理転職ナビは、施工管理の転職に特化した専門の求人情報サイトです。ビルメンテナンスや設備管理、土木や建設など、施工管理に関連する幅広い分野の求人を全国から集めています。
勤務地別、資格別、分野別に求人情報を検索できるため、より自分に合った求人を見つけやすいのが特徴です。また、専門知識をもつキャリアコンサルタントによる転職支援サービスもあり、効率的に転職活動を進められます。
採用された場合にはお祝い金がもらえるなど、求職者にとって魅力的なサポートが充実しているのも特徴です。
*参考 施工管理転職ナビ
建築求人.jp
建築求人.jpは、建設・建築業界の転職に特化した求人サイトです。未経験者から経験豊富なプロまで幅広い層に対応できる教育支援体制が整っており、大規模なプロジェクトから地方プロジェクトまで、多様な求人情報を取り扱っています。
勤務地や建設の種類、規模に応じて希望に合った仕事を選べるため、技術者一人ひとりのキャリアプランに合わせたサポートが受けられます。また、非公開求人の提供にも強みがあるため、隠れたよい求人を見つけられる可能性もあります。
*参考 建築求人.jp
退職理由が収入ならイベント業界も視野に入れてみよう
現在の仕事の給与が見合わない場合、退職して他企業の施工管理として転職を検討する方も多いでしょう。
その場合、再度建設業界を考える方も多いかもしれません。ですが、実は展示会・イベント業界で施工管理の能力が求められていることはご存知でしょうか。
展示会・イベント業界では、設営の指揮監督する立場の職人を必要としています。具体的には、設営をするにあたって現場全体の管理と、職人の指揮監督をし、期日までにスムーズに設営を完了できる人材が望まれています。
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*参考 職人BASE
まとめ|施工管理にとって退職はキャリアアップの一歩
施工管理が退職を考える理由や適切なタイミング、スムーズに退職するためにとるべき行動をご紹介しました。退職はネガティブなイメージをもたれがちですが、実は次のステップに進む大きな決断でもあります。施工管理としてさらに活躍するために、退職をキャリアアップの一歩として考え、建設業界はもちろんイベント業界など求められている場所で能力を発揮し、活躍しましょう。