「音を通じて社会に貢献する」——。
コンサートやイベントなど、さまざまな現場で音響技術を提供してきた株式会社ドリーム。
創業から40年、音づくりの現場を支えながら、独自の平面波スピーカーの開発など新たな挑戦も続けています。
一方で、人材育成や採用の課題は常に尽きないと話す則行社長。
今回は、職人BASEの山口が、ドリームが歩んできた現場のリアルと“これからの人づくり”について伺いました。
目次
ご紹介

株式会社ドリーム 則行社長
コンサート・展示・イベントなどの音響事業を軸に、平面波スピーカーの開発など新たな技術にも取り組む。
職人BASEを通じて若手1名を採用し、マッチングサービスでは音響以外の人材の手配も実現している。
職人BASE 担当 山口
ドリームの採用・マッチング支援を担当。若手採用から現場サポートまで、企業の成長に寄り添いながら支援を行っている。
音を通じて社会に貢献する——ドリームの歩みと挑戦
山口:まず、御社の事業の特徴やこれまでの歩みについて教えてください。
則行:うちは「音を通じて社会に貢献する」というのが根本にあります。
コンサートや舞台、展示会など、文化や芸術の現場で音の空間づくりを支えてきました。
同時に、20年以上前から“平面波スピーカー”という新しい技術にも取り組んできました。
既存のスピーカー構造ではできなかった表現をどう実現するかを探り続け、コロナ前くらいからさらに本格的に取り組んでいます。 音響の仕事に限らず、これからの“音”をどう伝えていけるかを考えながら続けています。
“人を育てる”という終わりのない課題

山口:創業から40年という節目を迎える中で、採用や育成についてはどんな課題を感じてこられましたか?
則行:一番の課題は「人をどう育てるか」ですね。
やっていないわけではないけれど、正解が見えない。大手のように体系化された育成を真似するのも難しいし、理屈では分かっていても、現場ではその日をやり切ることで精一杯になってしまう。 小さな会社ほど、日々の現場を回すことが優先になります。
履歴書で人の大枠は分かっても、本質までは見抜けないですよね。
話が上手な人が必ずしも現場で力を発揮できるわけじゃないし、逆に不器用でも誠実な人が頼りになることもある。だから採用は本当に難しいんです。企業としての利益だけでなく、その人自身にとってプラスになる採用を意識しています。
山口:求める人材のイメージについてはいかがでしょう?
則行:やっぱり「音が好きな人」。これは面接のときにも必ず確認します。
「音響、好き?」と聞くんです。好きじゃないと続かない仕事だから。
音響業界って、好きを突き詰めるにはもってこいなんですよ。
生活のためだけにやる仕事ではないけれど、突き詰めれば確実に自分の力になる。好きだからこそ理解が深まり、次に挑戦したくなる。そこにやりがいがあるんです。
山口:“好き”を軸に続けられるかどうか、それが一番の分かれ道ですね。
中途採用についてはどうお考えですか?
則行:経験がある人は即戦力ですが、同時に“経験が邪魔をする”こともあります。これまでのやり方が染みついていて、新しい環境に溶け込みづらい。
俯瞰して物事を見られる人ならもちろん歓迎ですが、そういう意味で今は若手採用に力を入れています。
独立してもうちと関わり続けている人も多いんですよ。
一度現場を離れても、別の形で協力し合える関係を築けるのがこの業界の良さ。うちはそうした“つながり”を大事にしています。
山口:採用活動を支えるうえで、職人BASEを利用されて感じたことはありますか?
則行:忙しい中で、採用の入り口を整えてくれるのはありがたいですね。
職人BASEでは、面接前に候補者の考え方や方向性を把握してもらえるので、私たちが見落としがちな部分を補ってくれます。
音響業界は人手不足が続き、育てる余裕がない。新人が入っても「思っていた仕事と違った」と1〜2日で辞めてしまうケースもあります。だからこそ、最初のマッチングでお互いを理解することが大切なんです。
採用を通して感じた“タイミング”と変化
山口:実際に採用活動を進めてみて、印象に残っていることはありますか?
則行:採用は“タイミング”が重要だと改めて感じましたね。人との出会いは、時間をかければうまくいくわけでもない。現場が立て込む中で迷っているとチャンスを逃してしまう。そんなときに山口さんが声をかけてくれて、背中を押してもらえたのは大きかったです。
「今、動くべきだ」と適切に判断してくれる。まさに適材適所の確認をしてくれた感じですね。
山口:採用を通して、若手の変化や世代の違いも感じられましたか?
則行:若い子は真面目で素直ですよ。でも、やっぱり世代によって価値観や仕事への向き合い方は違う。昔みたいに「背中を見て覚えろ」ではなく、言葉で伝えることが大切な時代です。
上の世代が一歩引いて、若手の意見を受け止めることで、現場もより良くなる。自分の考えを発言することも大事だと思っているので、意見のキャッチボールをしながら昭和の感覚と令和の感覚がうまく混ざり合うと、いい現場ができると思いますね。
海外パビリオンの挑戦——異業種を束ねる現場力

山口:御社は大阪万博の海外パビリオンの案件でも人材確保を進められていましたね。
則行:そうなんです。音響会社ですが、うちは“コト売り”といって、請けられることは何でもやるスタイル。
「則行に頼めばなんとかなる」と言ってくれる関係の人たちがいて、お互いに協力し合うブレーン的なネットワークがあるんです。今回の海外パビリオンの仕事も、その延長線上にありました。
音響以外に大工や鳶の人材も必要で、時間も限られていた。そんな中で職人BASEに相談したら、短期間で必要な人を集めることができました。
現場条件の調整もあって、かなりタイトでしたが、スピーディーな対応で本当に助かりました。おかげで現場もスムーズに進み、トラブルも最小限で済んだと思います。
山口:現場をまとめるうえで大切にしていることは何ですか?
則行:結局、仕事は“人”だということですね。 音響に限らず、どんな現場でも同じ。どんなに技術があっても、動かすのは人であり、信頼がすべて。「できない」と言わず、「どうすればできるか」を考える姿勢が現場を動かす。それが結果としてチームの力になるし、仕事を成立させる鍵になると思っています。
次の40年へ。音と技術を次世代に繋ぐ

山口:今後の採用や育成について、どのように考えていますか?
則行:これからは現場の若手が主体となって採用や育成を進めていくような体制づくりを進めています。私は“叩き上げ”世代なので、どうしても厳しく見てしまう部分もあります。 でも、若い人が若い目線で判断して、同世代を育てていく体制にしたい。
私は今、平面波スピーカーの開発など、ものづくりの部分に注力しています。1〜2年で自分のノウハウを伝え、実践できる人材を育てたい。 “音”と“ものづくり”、その両輪で新しい価値を生み出していきたいですね。
山口:職人BASEに対しては、今後どんなことを期待されていますか?
則行:職人BASEは、うちにとって“困ったときの駆け込み寺”のような存在です。
まず相談してみれば何とかしてくれる。そんな安心感がありますね。採用やマッチングだけでなく、現場の変化に合わせて企業と人をつなぐ仕組みとして、期待しています。
まとめ
音を通じて社会に貢献し、次の世代へ技術と想いをつなぐ。
株式会社ドリームの採用や育成の歩みは、常に「現場」とともにあります。
職人BASEは、そうした企業の想いを受け止め、採用やマッチングの場面でそっと支える存在です。
単に人材を紹介するだけでなく、企業が抱える課題を理解し、現場に必要な人を最適な形で届ける。そんな伴走型の支援が、ドリームの挑戦の一端を支えてきました。
“好き”という気持ちを原動力に働く人と、志を持つ企業をつなぐことで、この業界に新しい循環を生み出していく。
職人BASEは、これからもそんな“現場を支えるパートナー”であり続けます。
株式会社ドリーム
今回インタビューにご協力いただいた株式会社ドリームは、「音場で感動を創造する」ことを使命に、クライアント起点での音のソリューションを通じて、豊かな社会づくりに貢献しています。
主な事業は、PA・機材レンタル、音響コンサルティング、機材販売、エンターテインメント事業など多岐にわたります。「平面波スピーカーシステム」や、音響反射板「トラベルマスター」など、注目のプロダクトも展開しています。
これまでに手がけたライブ・イベント・企業式典は20,000件を超え、「神奈川を代表する企業100選」にも選出されています。