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ディスプレイ業界の市場規模ってどのくらい?|推移・動向・将来展望についても解説

ディスプレイ業界の市場規模、気になっている方も多いと思います。イベントや商業施設の空間演出を手がけるディスプレイ業界は、コロナ禍からの回復を経て、いま急速に成長しています。

この記事では、ディスプレイ業界の市場規模の推移や成長の背景、課題、将来性まで幅広くご紹介します。業界への就職・転職を考えている方、案件獲得を目指すフリーランスや職人の方にも、きっと参考になる内容です。ぜひ参考にしてみてください。

 

ディスプレイ業界とは

ディスプレイ業界への理解を深めるために、まずは業界の定義と基本的な事業内容を整理しておきましょう。一般的なイメージとは異なる部分もあります。

 

ディスプレイ業の定義(総務省の産業分類より)

「ディスプレイ業界」と聞くと、液晶やOLEDなどの画面製品を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかしこの記事で扱うのは、空間演出・内装施工を手がける「ディスプレイ業(空間ディスプレイ業)」です。

総務省の日本標準産業分類によると、ディスプレイ業とは以下のように定義されています。

「主として販売促進、教育啓蒙、情報伝達等の機能を発揮させることを目的として、店舗、博覧会場、催事などの展示等に係る調査、企画、設計、展示、構成、製作、施工監理を一貫して請負い、これら施設の内装、外装、展示装置、機械設備(音響、映像等)などを総合的に構成演出する業務」

*参考 ディスプレイ業の市場に関する調査を実施(2025年)

 

主な事業内容と対象分野

ディスプレイ業の対象分野は幅広く、以下のような空間の企画・設計・施工を一手に担います。

  • 商業施設(ショッピングモール・百貨店・専門店など)
  • 展示施設(展示会・見本市・ショールームなど)
  • 博覧会・イベント施設
  • 文化施設(博物館・美術館・水族館など)
  • オフィス・ホテル・娯楽施設
  • 公共施設(公園・モニュメント・サインなど)

単なる内装工事とは異なり、空間そのものに「体験」や「価値」を与える演出力・企画力が求められる点が、この業界の特徴です。

 

ディスプレイ業界とイベント・内装業界の関係

ディスプレイ業界はイベント業界や建設・内装業界と深く重なり合っています。市場はおおきく「イベント・展示会等分野」と「建築内装等分野」の2つに分けられており、それぞれの需要と供給の動きが業界全体の業績に直結します。

イベント・展示会は景気変動の影響を受けやすく、建築内装はホテルや商業施設の新装改装サイクルに連動します。

 

ディスプレイ業界の市場規模

矢野経済研究所の最新調査をもとに、2025年度の市場規模と過去からの推移、上場大手6社のシェア構造をデータで確認していきます。 

 

2025年度の市場規模は約1兆8,200億円(見込)

2024年度の国内ディスプレイ業の市場規模(事業者売上高ベース)は約1兆7,900億円となりました。2025年度は、2025年4月から10月にかけて開催された「大阪・関西万博」関連の大型展示プロジェクトや需要拡大が重なり、約1兆8,200億円と予測されています

*参考 ディスプレイ業の市場に関する調査を実施(2025年)|矢野経済研究所

 

市場規模の推移(年度別)

矢野経済研究所および各社IR資料をもとにまとめると、市場規模は以下のように推移しています。

年度 市場規模(事業者売上高ベース) 前年比
2022年度 約1兆3,700億円
2023年度 約1兆6,000億円 +16.8%
2024年度 約1兆7,900億円 +11.9%
2025年度 約1兆8,200億円 +1.7% 

2023年度は前年度比16.8%増の1兆6,000億円と推計されており、2022年頃からコロナ禍の影響が徐々に緩和され、リアル開催のイベントや展示会の増加とともに需要が回復傾向にあったとされています。 

 

大手上場6社のシェアと売上高

矢野経済研究所の調査によると、ディスプレイ業界の上場6社のシェアは例年20%前後で推移しており、2025年度の6社合計売上高は約4,541億円となりました。市場規模約1兆8,200億円に対するシェアは約25%となります。 

各社の売上高と構成比は以下のとおりです(2025年度) 。

企業名 売上高 6社内シェア 
乃村工藝社 約1,626億円 約36%
丹青社 約1,072億円 約24%
スペース 約715億円 約16%
ラックランド 約565億円 約12%
船場 約328億円 約7%
博展 約233億円 約5%

*参考 2026年度版!空間ディスプレイ上場6社 売上高ランキングと業績予想|総合資格navi

 

市場規模が拡大している背景

ディスプレイ業界が急成長している背景には、複数の需要要因が重なっています。それぞれの要因が業界にどのような影響を与えているか見ていきましょう。

 

インバウンド需要と商業施設の新装改装

2024年度は、訪日外国人客の増加や都市再開発の活発化を受けて、ホテル・大型商業施設・オフィスなどの建築改装案件が非常に好調でした。インバウンド需要を見込んだリニューアル投資が各地で相次いでおり、ディスプレイ業界にとって安定した受注源となっています。

特に都市部の大型商業施設では、海外からの旅行者を意識した空間演出へのニーズが高まっており、より高付加価値な案件の獲得にもつながっています。 

 

大阪・関西万博の影響

大阪・関西万博関連プロジェクトも、市場拡大を後押しする大きな要因のひとつです。業界最大手の乃村工藝社は、万博の大型プロジェクトを多数手がけた結果、2026年2月期の連結経常利益が前期比43.7%増の130億円に拡大し、4期連続の増収・増益、2期連続で過去最高益を更新する見通しとなっています。 

展示設計・施工・演出など幅広い領域で発注が生まれており、中小企業や協力会社を含めた業界全体への波及効果も見逃せません。同社は2027年2月期もさらに経常利益が4.5%増の136億円に伸びると予測しており、万博後も業界の成長トレンドが続くことが期待されています。

*参考 乃村工芸社[9716]:2026年2月期 決算説明資料 2026年4月14日(適時開示) :日経会社情報DIGITAL

 

都市再開発・オフィス改装需要

コロナ禍で一時停滞していた都市再開発や大規模オフィス改装も、ここ数年で本格的に動き出しています。「働きやすい環境づくり」を目的としたオフィス空間の見直し需要は依然として根強く、各社の業績を支える安定した収益源となっています。

また、企業のブランディング意識の高まりを背景に、オフィスを単なる作業場としてではなく、企業文化や価値観を体現する空間として捉え直す動きも広がっており、ディスプレイ業界にとって新たなビジネスチャンスが生まれています。 

 

ディスプレイ業界の課題

市場が拡大する一方で、業界が構造的に抱える課題も存在します。業界への参入や転職を検討する際には、リスク面も正しく把握しておくことが重要です。

 

景気変動の影響を受けやすい構造

ディスプレイ業界、とくにイベント・展示会分野は、景気の波に乗りやすい半面、その影響をダイレクトに受けやすいという側面があります。景気が落ち込むと企業のイベント予算は真っ先に削られやすく、受注が一気に減るリスクがあります。

コロナ禍でイベントの中止・延期が相次いだ記憶は、まだ新しい方も多いのではないでしょうか。好況時の恩恵を受けやすい分、外部環境の変化には注意が必要です。 

 

人口減少による長期的な需要減少リスク

少子高齢化が進む日本では、長期的に建築物や施設の新設需要が落ち込んでいくことが避けられません。国内市場だけを見ていると、じわじわと成長の天井が近づいてくる可能性があります。

そのため大手各社は、アジアを中心とした海外展開や新市場の開拓に力を入れており、国内依存からの脱却が業界全体の大きなテーマになっています。 

 

人手不足と技術継承

現場を支える職人・技術者の高齢化と若手不足は、業界が長年抱えてきた根深い問題です。資材コストの上昇やESG対応への要求も加わり、現場の負担は増すばかり。限られた人材で生産性を上げながら、熟練技術者のノウハウを次の世代にどう引き継いでいくか——これは業界全体で真剣に向き合わなければならない課題です。 

 

ディスプレイ業界の将来性と今後の展望

課題はあるものの、ディスプレイ業界は新たな事業領域への拡大や技術革新によって、中長期的な成長が見込まれています。今後のトレンドを確認しておきましょう。

 

事業領域の拡大(テナントリーシング・コンサルティング)

大手各社は既存の施工・設計業務にとどまらず、新たな収益領域の開拓を進めています。

テナントリーシングとは、設計や施工に携わった商業施設等への新テナント誘致を担う業務です。自社が手がけた空間の特性や顧客層を熟知しているからこそ、施設の魅力を引き出すテナント構成を提案できます。施工後も施設運営に関わり続けることで、継続的な収益にもつながっています。

コンサルティングとは、クライアント企業の課題分析からコンセプト・運営プランの策定までを担う業務です。豊富な空間づくりの経験をもとに、単なる「作る側」から「企画や戦略を一緒に考える存在」へと役割が広がっています。店舗開発の早い段階から関わることで、より深みのある提案ができるようになり、クライアントとの長期的な信頼関係にもつながっています。

こうした上流工程への参入は、収益を安定させるうえでも重要な戦略であり、業界の新たな成長軸として今後さらに注目されていくでしょう。

 

デジタルサイネージ・空間演出技術との融合

デジタルサイネージやXR(拡張現実・仮想現実)を活用した空間演出技術の進化が、ディスプレイ業界に新たな可能性をもたらしています。

リアルとデジタルを組み合わせた体験型空間の需要は年々高まっており、各社もイベントのオンライン配信支援やデジタル演出を組み込んだ空間づくりなど、新しいサービスの開発に力を入れています。たとえば、展示会やショールームにXR技術を取り入れることで、来場者が実際には存在しないものをリアルに体感できる演出が可能になるなど、空間の表現力は従来とは大きく変わりつつあります。

こうした技術の活用は、クライアントにとっても集客力や話題性の向上につながることから、提案の幅が広がっているのも特徴です。「その場にいるからこそ感じられる体験」を技術で底上げする動きは、今後さらに加速していきそうです。

 

2026年度以降の市場予測

2026年度は、大阪・関西万博関連の特需が一巡し、業界にとっていわば「次のステージ」に入る年といえます。万博効果が落ち着く一方で、都心部や地方都市での再開発・インフラ整備を背景に、空間に求められるニーズはより多様化・高度化していくと予想されます。

インバウンド需要の継続や、企業によるオフィス・商業空間への投資意欲も引き続き底堅く、万博後の反動減を補う動きが市場を下支えする見通しです。また、建設業法の改正による工期の適正化や建設資材費の高騰といった課題にも対応しながら、いかに収益性を維持するかが各社の経営課題として浮上しています。

こうした環境のなかで、テナントリーシングやコンサルティング、デジタル演出といった新たな領域をどう育てていくかが、業界全体の成長を左右するポイントになりそうです。万博後をにらんだ次の一手を、各社がどう打ち出すかに注目が集まっています。

 

ディスプレイ業界へ転職するには

市場が拡大しているいま、職人・技術者にとって転職のチャンスは広がっています。求められるスキルと、転職を成功させるためのポイントを紹介します。

 

求められる職種とスキル

ディスプレイ業界では、以下のような職種・スキルを持つ人材の需要が高まっています。

  • 営業・プロデューサー:クライアントのニーズを引き出し、プロジェクト全体を管理する
  • 空間デザイナー・設計士:CADや3Dモデリングを駆使した空間設計
  • 施工管理:現場の工程・品質・安全を管理する
  • 大工・内装職人:木工・造作・内装仕上げなどの現場施工技術
  • デジタル演出・映像制作:デジタルサイネージやXR空間演出の技術

現場経験3〜15年の中堅・ベテランは即戦力として重宝されており、転職市場での評価も高い傾向にあります。

 

職人BASEで転職先を探す

ディスプレイ業界への転職を考えるなら、職人BASEの活用が近道です。職人BASEは、イベント・ディスプレイ業界に特化した採用・人材マッチングサービス。大工・施工管理・空間デザイナー・映像音響など、現場で活躍できる職種の求人が幅広く揃っています。

特徴的なのは、業界をよく知る専任エージェントがつくこと。あなたのこれまでの経験や強みをしっかりヒアリングしたうえで、ぴったりの企業・現場を提案してもらえます。プロフィールを登録しておけば企業から直接スカウトが届くこともあり、思いがけない出会いにつながるケースも。

求人は正社員・業務委託・スポットと幅広く、首都圏を中心に全国各地の案件が集まっています。登録はLINEから1分で完了、完全無料で利用できるので、「まずは求人を眺めてみたい」という方も気軽に試せます。

*参考 現場を知るプロが、即戦力をご紹介!イベント業界特化の人材採用支援サービス| 職人BASE

 

まとめ|ディスプレイ業界の市場規模を知って、次のキャリアに活かそう

ディスプレイ業界は、インバウンド需要・大阪万博・都市再開発を追い風に、市場規模が約1兆8,200億円と過去最高水準まで拡大しています。景気変動リスクや人手不足といった課題はあるものの、デジタル演出との融合や新たな事業領域への拡大により、中長期的な成長が見込まれる注目の業界です。

転職やキャリアアップを考えている方は、ぜひこの波に乗るタイミングを逃さないでください。 

この記事を編集した人

職人BASE ライター

職人BASE 編集部

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