大工として働きたい、またはすでに働いている方にとって、「大工になり成功するために資格は必要なのだろうか」という議題は気になるところでしょう。
この記事では、「大工になるため資格は必要か」「資格を持っていたらどうキャリアに影響するか」について、また大工として稼ぐための方法もあわせて深く掘り下げ解説していきます。
記事を最後まで読み、大工としての成功への道筋や、キャリア計画に役立つ情報をインプットしましょう。
目次
大工になるために資格は必要?
大工になるために資格が必要かどうか。大工になることが目的である場合、結論としては「特定の資格は必要ない」と言えます。しかし、その先の目指すキャリアによっては資格が必要になる場合もあるでしょう。
また、資格を取得することには多くのメリットがあります。たとえば、企業に勤める大工の場合だと、現場の管理を任されることもあります。その際、監督に必要な資格を取得していると重宝されるでしょう。
また、独立する場合に国家資格を有していると、大工としての技術レベルに加え知識保有の価値を客観的に証明できるため、依頼先からの信頼を得やすくなります。
さらに特定の資格があると、大手企業が手がける、より高度なプロジェクトに参加できる可能性が高まり、仕事の幅を広げることができるのです。
大工が資格を取得するメリット
前述したように、大工は資格を必要としない職業ではありますが、資格を取得するメリットはたくさんあります。ここでは、大工が資格を取得した際の主なメリットである下記の2点について詳しく解説します。
- より責任のある仕事を任せてもらえる
- 独立の際に仕事を得やすくなる
より責任のある仕事を任せてもらえる
大工が資格を取得することのメリットのひとつとして、より責任のある仕事を任せてもらえる可能性が高まることが挙げられます。
資格を所有していることで、必要な技能を証明できるため、知識や技術力が客観的に評価され、工事を発注する企業からの信頼を獲得しやすくなります。
公共の現場に従事できる国家資格を取得した場合、より大きな建築現場の責任ある立場で配属される可能性も高くなるでしょう。
資格を取得することは、客観的な人材価値の証明と現場の責任者としての資格を得る強力な武器となるのです。
独立の際に仕事を得やすくなる
独立する際に資格を持っていると、市場価値の向上と信頼に結びつき、仕事を得やすくなります。
たとえば、木造建築工事に必要な技術を証明するための国家資格である「建築大工技能士」は、階級によって一定の実務経験がないと受験資格がないため、所持していることで信頼度を高め、顧客獲得に大きく貢献します。
独立した大工は自らで案件を受注する必要があるため、資格は自身のスキルや経験をアピールする上で重要な役割を果たします。
大工とは異なりますが、建築士のような設計関連の資格も、建物のデザイン段階から仕事の受注を可能にし、業務範囲を広げられるでしょう。
独立して工務店として起業する場合は建設業許可などの法的要件も関わってくるので、条件を満たすための資格取得も必須となります。
このように、独立の際に資格を取得していることで、仕事を得たり業務範囲を広げる機会として、資格は効果を発揮するのです。
大工で成功するために持っていた方がいい資格
取得していることによって今後のキャリアアップや収入増加など、成功への可能性を引き上げてくれる資格が存在します。ではどのような資格がいいのでしょうか。ここでは、成功するために持っていた方がいい資格として、下記の3点を詳しく解説していきます。
- 建築大工技能士
- 建築施工管理技士
- 建築士
建築大工技能士
建築大工技能士は、大工としての技術を証明する重要な国家資格です。建築大工技能士には1級、2級、3級があり、それぞれ異なる実務経験年数が必要です。
たとえば、1級では7年以上の実務経験が、2級では2年以上の実務経験が必要です。また、試験は学科と実技の両方で構成されており、実技試験では大工工事の技術を実際に行います。資格取得のためには、都道府県職業能力開発協会が実施する試験に合格する必要があります。
この資格を持つことで、技術力が客観的に評価され、工事を発注する企業からの信頼を得やすくなります。また、将来的に建築士としてのキャリアを目指す場合にも、建築大工技能士は役立つでしょう。
建築施工管理技士
建築施工管理技士の資格は、建築工事の施工管理において重要な国家資格です。1級と2級があり、それぞれ資格があることで認められる業務内容が異なります。
試験は、第一次検定と第二次検定の2段階に分かれており、それぞれ異なる試験内容があります。第一次検定は主にマークシート形式の学科試験で、第二次検定では経験から記述する記述式の問題です。
資格取得後は、工事の監理技術者や主任技術者として活躍する道が開かれます。営業所に配置される専任技術者として認められるなど、プロフェッショナルとしての地位が確立されます。
これにより、建築業界においてより高度な業務に携われ、専門性を高めることが可能になるでしょう。
建築士
建築士は、建築物の設計や工事監理を行う専門家であり、業務は法律に基づいて規制されています。建築士には一級建築士と二級建築士があり、それぞれ異なる資格要件と業務範囲が設定されています。
一級建築士はあらゆる種類の建築物の設計と監理が可能で、二級建築士は高さ13メートル、軒高9メートル以下(鉄筋コンクリート造は延べ面積300平方メートルまで)までの建築物に限定されます。
一級建築士の受験資格には、建築学を専攻した大学卒業や一定の実務経験が必要です。二級建築士は、建築に関する学歴がなくとも実務経験7年で受験資格を得られます。
試験は、建築に関する幅広い知識を問う学科試験と、実際の設計能力を試す製図試験から構成されています。
建築士は、建築の専門家として社会的な信頼と地位を確立するための重要な資格です。取得することで、大工としての専門性を高め、より多くの仕事の機会を得られます。
*参考 建築士とは?「資格の学校TAC」
大工で稼ぐためのキャリアプラン
大工で稼ぐためにはどのようなキャリアプランがあるのでしょうか。主なキャリアプランとして、下記の3点を詳しく解説していきます。
- 企業の現場の施工と管理を受け持つ
- 一人親方の棟梁になる
- 工務店として起業する
企業の現場の施工と管理を受け持つ
大工としてのキャリアアップのひとつとして、企業での現場施工管理が挙げられます。施工だけではなく、現場全体の管理や進捗を任される重要な役割です。
プロジェクトの円滑な進捗と万が一の遅延を防ぐため、人員の適切な配置や作業進捗の確認など、プロジェクト全体を管理する力が求められます。また、突発的なトラブルへの迅速な対応能力も重要です。
建築施工管理技士の資格取得で任される可能性は大きく高まり、企業内での昇進や昇給、さらには大手建設会社への転職において大きなアドバンテージをもたらします。
一人親方の棟梁になる
大工としての技能の向上と経営に関する知識、工務店やハウスメーカーなどの顧客の獲得で、一人親方の棟梁としてキャリアアップも挙げられます。
一人親方として成功するためには、大工として経験を積み、建築の技術だけでなく営業、現場の管理能力など多様なスキルが求められます。スキルを習得することで、一人親方としての建設業界での幅広い活動に役立つでしょう。
棟梁としての価値を高めるためには、大工として腕を磨くほか知識の証明として資格取得なども効果的です。資格を取得することは、自分のスキルや知識を客観的に証明し、より高い報酬や長期に渡り依頼を受け続けるために有利です。
一人親方として独立する場合、上記のスキルや知識を身につけることで、より多くの仕事を受注することが可能になります。
*参考 大工の具体的な仕事内容とは?
工務店として起業する
一人親方として腕を磨き、一定の顧客がついたり必要な資格を取得したら、自分で会社を立ち上げ従業員を雇う「工務店」としてのキャリアアップも挙げられます。
大工として施工だけではなく営業、現場管理、人材の雇用など広い範囲の能力を必要とする一方、より大きなビジネスチャンスを可能にします。
工務店の主な業務は、新築住宅の建設、リフォーム、または他の大規模企業からの下請けといった多様な範囲に広がります。
とくに、住宅建設業界では、新築需要が減少する一方でリフォーム市場が拡大しており、この分野への参入が工務店に新たなチャンスを提供しています。
工務店が成功するためには、顧客との関係構築や地域社会との密接な関わりが重要です。顧客のニーズに応じた家づくりを行い、顧客の満足度を得て、紹介での案件受注をもらうサイクルを狙い、長期的な関係を築くことが強みとなります。
工務店として成功した場合、上記2点のキャリアアップよりもより高い収入を実現することも可能です。
大工の将来性は?
結論として、大工の将来は明るいと言えるでしょう。
大工という職業は建築物が存在する限り必要とされ、特性上AIや機械には代替されないため、需要が継続的に期待できます。とくに、日本においては木造建築の伝統が根強く、大工の需要を支える要因となっています。
木の温もりを好む日本人の文化や日本の気候に木材が適している点が、木造建築の継続的な需要を生み出しています。
さらに、現在は大工の職人不足が指摘されていて、需要(大工の必要人数)と供給(大工の人数)の割合が合っていないため、1人あたりの人材価値の向上により給料や報酬が上昇する可能性があるでしょう。
総じて、大工は雇われでも、独立でも、将来性の高い職業だと言えるでしょう。
大工は今、イベント業界でも求められている
大工として案件を獲得したい、さらに自分の腕で稼ぎたいと考えている方は、展示会・イベント業界の仕事をターゲットにすることを視野に入れてみましょう。
アフターコロナで活性化している展示会・イベント業界では、より高等技術を用いる設営ができる大工が求められています。実際に求人などでも大工経験のある人材が求められているため、この需要を活用し、案件獲得のチャンスを掴むことが大切です。
大工の案件を効率的に獲得するツールとして今注目されているのが「職人BASE」です。「職人BASE」は、イベント業界の企業と職人をつなぐプラットフォームで、職人が自分に合った案件を見つけ、発注企業と直接話し合い受注できます。
スカウトを受けることもあるため、今まで磨いてきた大工のキャリア次第では、案件依頼が集まるかもしれません。
登録は無料ですので、気軽に登録できる「職人BASE」をうまく活用し、案件獲得を目指しましょう。
*参考 職人BASE
まとめ|大工の技術と資格を多方面に活かそう
大工は特別な資格を必要としません。ですが、価値を向上させる資格や技能を持っていることによって他との差別化が図れ、より案件を受注しやすくなり、今後のキャリア形成に大きな効果をもたらします。
自分の人材価値を高め客観的な信頼を得て、さらに稼ぐための方法や案件獲得のプラットフォームをうまく活用し、より自分の大工としてのキャリアを高めていきましょう。