ボード屋の仕事は、建築物の内装工事において欠かせない存在です。個人の住宅工事だけでなく、イベント業界でもボード屋の案件は数多くあります。建築現場でクロスが貼られているのを見る機会があっても、ボード工事の内容について知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ボード屋の仕事内容やメリット、はじめる方法についてご紹介します。ボード工事をきれいに仕上げるコツや、ボード屋の平均年収についても解説するので、ボード屋への転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
内装業であるボード屋の仕事とは
内装業であるボード屋の仕事は、一般住宅や店舗に壁や天井の下地となる部分をつくっていく工程を担当します。建築物の骨組みに内装ボードを貼っていき、パテで隙間を埋めてクロス貼りや塗装がしやすいように施工します。
内装ボード工事は、その後の内装工事のベースとなる重要な仕事です。内装業者が業務のひとつとしておこなう場合と、内装ボード工事を専門としておこなう企業や個人事業主に依頼する場合があります。
内装ボードは燃えづらく、低コストで短納期での施工や加工もできることから、木造の家屋をのぞいて多くの建物でこの工事が行われています。
ボード屋の平均年収
ボード屋として活動されている一人親方の平均年収は約630万円、正社員として雇われた場合のボード屋の平均年収は、約430万円ぐらいといわれています。年収分布は、400万円台が一番多いです。
ほかの職種の平均年収と比較したら少なく感じるかもしれませんが、スキルを身につければ独立もしやすい職種で、がんばりによっては高収入を狙うことも可能です。ただし、1,000万円を超えられる一人親方は一握りしかいないというのが現状です。
全体の給与幅は300万円から780万円となっていて年齢やスキル、勤務先によって差がでる職種ともいえます。
内装業であるボード屋の将来性やニーズは?
内装業であるボード屋の将来は、今後も建築物がなくなることはないため明るいです。日本では金利が安く、住宅ローン控除などの税金優遇もあるため、新築物件が増えています。
新築物件時の案件だけでなく、リフォームやリノベーションによるボード工事なども依頼としてあります。
新築と同様に中古物件の売買も活発になっていて、リフォーム工事の需要も増えているため内装業のニーズはまだまだ多い状況です。内装業では少子高齢化による人手不足も問題になっているため、技術のある職人は転職や独立で有利になります。
また、展示会や各種イベントなどでも、内装工事でのスキルを活かした案件も増えてきています。。その中で、ボード工事も行われることが多いため、コロナ禍があけたこれからは、さらに需要が高まっていくと言えるでしょう。
ボード工事をおこなうメリット
ボード工事を行うボード屋として、ボード工事を行うメリットについて、しっかりと理解しておく必要があります。
ボード工事をおこなう主なメリットは、
- 防火や耐火性能に優れている
- 加工がしやすい
- 防音や遮音性がある
- 調湿効果とカビや結露の抑制機能
などがあります。それぞれ解説します。
防火や耐火性能に優れている
ボードは石膏を素材として使用しているため、防火や耐火性能に優れている点がメリットです。石膏の特徴として、熱の伝導を防止できることがあります。
石膏は大量の水分も含むため、建物内で火災が発生しても水分を蒸発させることで温度上昇を遅らせます。このような特徴からボードは防火材料として認定されていて、火災発生時の延焼防止効果がメリットです。
加工がしやすい
石膏ボードは切断をおこなうときに、市販のカッターでも切断できるぐらい加工がしやすいです。特殊な工具が必要ないため、ボード屋の仕事を新しく行うときであっても、初期費用を抑えることができます。
また、石膏ボードは加工がしやすいことから、作業時間の短縮も可能になります。納期が厳しいときでも石膏ボードであれば、納期までに工事を完了させることもできるでしょう。
ただし、石膏ボードは石膏を合紙で挟んだつくりになっており、もろいというデメリットもあるため、貼りつけるときや加工するときには、注意が必要です。
防音や遮音性がある
石膏ボードは防音や遮音性に優れているため、個人の住宅だけでなく集合住宅でも問題なく使用できます。一般的な石膏ボードでも防音性能は高いですが、ほかの木材やグラスウールを使用したものであれば、さらに防音性能を高めることが可能です。
値段は高価になりますが、石膏ボードを二重貼りしたものもあります。映画館などの高い遮音性が求められる建築物では、防音性能の高いボードが使用されているのです。
調湿効果とカビや結露の抑制機能
石膏には調湿効果もあるため、石膏を使用したボードは室内のカビや結露を抑制する機能もあります。湿気の多い梅雨の時期などは、石膏ボードを使用した建築物では快適に過ごせます。
カビはアレルギーの原因にもなるため、アレルギーを抑えられることも快適な室内空間には重要です。しかし、石膏によるアレルギーを持っている方もいるため、そのような場合は化粧石膏ボードなどを使用するようにしましょう。
ボード屋として給料を上げるためには?
ボード屋として、給料を上げていきたいと考えている方も多くいるかと思います。そこで、ここでは、給料を上げるための方法をご紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。
大手の内装工事会社に転職する
ボード屋として給料を上げることを考えると、転職活動をおこなって大手の内装工事会社に入社することがオススメです。内装工事会社はボード工事だけでなく内装工事全般を請け負っていることも多く、幅広い業務を習得することもできます。
転職活動のときに、会社がどのような分野の工事を請け負っているかを確認して、自分の希望する業務ができるところを探すようにしましょう。また、会社に雇われて働くため、収入が安定していたり、会社で資格を取らせてもらえたりといったメリットもあります。
ボード貼り以外の業務もおこなう企業の場合はスキルの習得までに時間がかかったり、別の内装工事の業務を任されたりする可能性がある点には注意しましょう。
都内の大手内装工事会社としては、
- 株式会社未来舎
- 株式会社サンユー
- 環境スペース株式会社
- 旭ビルト工業株式会社
が挙げられます。ぜひ、自分にあった内装工事会社を見つけて、転職することも考えてみましょう。
資格を取る
ボード屋としての収入を増やす方法として、資格を取得することも重要です。今回はオススメな2つの資格をご紹介します。
建築施工管理技師
建築施工管理技士は、建築現場全体の施工を管理する能力があることを証明する資格です。さまざまな職人の方が集まる現場では、スムーズに作業を進めるために、管理する人を置くことが一般的です。
建築施工管理技士の資格を持っていれば、その管理ができるため、実際に作業を行う作業員の方と異なり、年収が高くなる傾向にあります。
建築施工管理技士の資格には1級と2級があります。2級を持っていれば、主任技術者として一部の工事を監理することができ、1級を持っていれば、監理技術者としてすべての工事を監理することができます。
職人としてワンランクアップして、年収を上げることを考えているなら、建築施工管理技士の資格を取得することがオススメです。
内装仕上げ施工技能士
内装仕上げ施工技能士は、国家資格の一つで、文字通り、内装の仕上げ施工のための知識や技能を持っていることを証明する資格です。都道府県職業能力開発協会・中央職業能力開発協会が行なっている試験で、行う作業によって資格が分かれており、ボード屋としての仕事に関連しているのは、「ボード仕上げ工事作業」になります。
内装仕上げ施工技能士の資格は1級から3級まであり、2級と3級は都道府県知事、1級は厚生労働大臣が管轄しています。受験資格として、実務経験が必要となっています。
表にまとめておきますので、ぜひ参考にしてみてください。
級 | 2級合格者 | 3級合格者 | 無資格者(実務経験のみ) |
---|---|---|---|
1級 | 2年以上 | 4年 | 7年以上 |
2級 | – | – | 2年以上 |
3級 | – | – | – |
独立する
個人事業主に弟子入りする方法で、自分も個人事業主として独立して仕事をはじめるパターンもあります。雇われて働くよりも仕事量や時間が自由になる分、働き方が収入に直接影響を与えます。
安定した収入が得られるという保証は少なくなりますが、高収入を狙うことも可能になります。できるだけはやくボード屋として一人前になれるように、経験を積んでいきましょう。また、独立するとボード工事に関わる業務だけでなく、営業や経理の仕事も覚えなければならない点は理解しておきましょう。
ボード工事をきれいに仕上げるコツ
ボード工事をきれいに仕上げるコツは、
- 隙間をつくらない
- ビスの留め方に気をつける
- 継ぎ目を平らにする
といった点です。業務をはじめる前に、それぞれ確認しておきましょう。
隙間をつくらない
ボード工事は複数枚のボードを貼りあわせる必要があるため、できるだけ隙間をつくらないことできれいに仕上げられます。隙間が大きいと、クロス貼りや塗装など後工程の作業にも影響を与えます。
ボード屋の腕がいいと、内装工事全体の仕上がりがきれいになる重要な要素です。隙間なく仕上げられるボード屋は、ほかの内装業の職人から仕事を回してもらえることも多くなります。
ビスの留め方に気をつける
貼りつけたボードを固定するビスの留め方も、仕上がりに影響を与えます。ビスの間隔を均等にすることで、面としての強度を保つことが可能です。
住宅メーカーやボードの種類によっては、ビスの間隔が指定されていることもあります。ビスを留めるときは、ビスの頭がでない点にも気をつけましょう。表面に凹凸ができてしまい、後工程がやりづらくなってしまいます。
継ぎ目を平らにする
ボードを貼りあわせたときに、継ぎ目を平らにすることもきれいに仕上げるためには重要です。継ぎ目をそのままにしておくとひび割れの原因にもなるため、パテで継ぎ目を埋めていく必要があります。
ほかの注意点でも説明しましたが、ボード工事は表面を平らにすることが大切なので注意が必要です。壁全面にパテを塗る、「総しごき」と呼ばれている工法もあります。
イベント業界の案件がオススメ
一般住宅の仕事やリフォーム工事だけでなく、イベント業界のボード貼りの案件もオススメです。新型コロナウイルスが5類に引き下げられて行動制限が解除されたため、オフラインイベントの開催が増えていてボード屋の案件が増えています。
イベント業界のボード屋の仕事は、単価の高い案件が多いです。案件を獲得できれば安定した収入が見込めるため、ぜひチャレンジしてみましょう。
ほかのボード屋と一緒に作業することもあるため、スキルの交換をしたりあたらしい交流ができたりといったメリットもあります。ほかの内装業の職人もいるため、イベント業界の案件を通じてあたらしい案件を獲得できることも多いです。
プラットフォームの「職人BASE」では、イベント業界の案件も含めて内装業の仕事が掲載されています。興味がある方は無料で登録できるので、イベント業界の案件を探してみませんか。
*参考 職人BASE
まとめ|ボード屋の仕事にチャレンジしてみよう
この記事ではボード屋の仕事内容やメリット、はじめる方法についてご紹介しました。ボード工事は個人の住宅やイベント業界において、需要が高まっています。ボード屋の仕事をはじめるには資格も必要なく、独立も狙えるのでぜひチャレンジしてみてください。
この記事では、ボード工事をきれいに仕上げるコツも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。ボード工事のスキルが身についたら、高年収が狙える個人事業主として独立することがオススメです。
ボード屋の将来性は明るく、住宅やイベント業界などでの案件も受けやすい状況です。建築物が好きな方や手先の器用な方は、ボード屋の仕事への転職や独立を検討してみましょう。