手に職をつけたい方にとって、専門的な技術や知識をもつ大工に憧れる方も多いでしょう。大工は建設業界でも重要な職種であり、独立して個人事業もできるような専門性の高さも魅力です。
しかし、実際に独立を考えた際どのような方法で独立し、資金や備品の用意はどの程度しないといけないのか、気になる疑問です。そこでこの記事では、大工として独立する方法や必要な資金、大工として独立した際の年収などを詳しく解説します。
目次
大工として独立して将来性はあるのか
結論からいうと、大工として独立しても将来性は非常に高いといえるでしょう。その理由として、建物が存在する限り大工の需要がなくならない点が挙げられます。
新築だけでなく、修繕やリフォームといった分野でも活躍の場が広がっており、とくに近年では住宅リフォーム市場が拡大しているため、新設住宅の着工数が減少している中でも、大工の役割が重要視されています。
また、建設業界では人手不足や後継者不足が深刻な課題となっており、適切な技術をもつ大工は今後も求められ続けるでしょう。
大工として独立するには何年かかるのか
未経験から大工として独立するまでには、一般的に5年から10年の修行期間が必要といわれています。状況によって差がありますが、現場での経験を積みながら多様な工法や技術を習得することに必要なおおよその期間です。
この修行期間中は技術を磨くことはもちろん、信頼関係を築くことも重要です。建設会社や親方との良好な関係を築くことで、独立後の仕事の受注につながります。
まれに素質があり2~3年で独立する人もいますが、安定的に仕事を得るには時間をかけてコネクションを広げることが必要でしょう。スキルと人脈を同時に育むことが成功の鍵といえます。
大工として独立する方法
大工として独立する方法は主に以下の2点が挙げられます。それぞれ詳しく解説します。
- 一人親方として独立する
- 工務店を立ち上げる
一人親方として独立する
独立する方法のひとつとして、一人親方として独立する場合が挙げられます。従業員を雇わずフリーランスの大工として仕事を請け負う形式で、工事ごとに報酬が決まるため、収入は自分のスキルや仕事量次第で変わります。
時間の自由度が高い一方で、他の大工や職人と協力する現場も多く、作業時間に制限が生じ、自分のスケジュール通りにいかないこともあるでしょう。しかし、高い技術力をもつ一人親方は建設現場で重宝され、高単価で案件を受けることも可能です。自分の技術を活かして活躍できる魅力的な働き方といえるでしょう。
工務店を立ち上げる
独立する方法として、工務店を立ち上げる方法もあります。現場ごとの大工工事を請け負う一人親方のような受注方法と合わせて、建物建築を考えている顧客から建物建築のすべてを請け負うことをしているのが工務店です。
工務店の経営者として独立した場合、従業員を指導しながら複数の職人や業者をまとめて工事を進める能力が求められます。必要な人材には大工以外に足場職人や電気工事士などが含まれ、これらを雇用または業務委託で確保することが、スムーズに現場を進めるために重要です。また、法人化や建設業許可の取得が必須なため、しっかり調べたうえで進める、または士業の方に代理で進めてもらうことが大切です。
大工の独立で用意する準備物や資金
大工として独立する場合、どのようなものを準備し、資金はどの程度担保していた方がいいのか、指標として知っておくことは大切です。以下の3点を詳しく解説します。
- 工具や車両を準備する
- 工務店の場合は従業員や下請け業者など人材確保
- 独立にかかる費用
工具や車両を準備する
勤めだった場合は施工に必要な工具や移動のための車両などは支給の場合が多いですが、独立する際には必要な工具や車両の準備が必要です。基本的な手工具としてノコギリやカンナ、ハンマーをそろえるほか、作業効率を上げる電動工具も欠かせません。具体的にはインパクトドライバーや丸ノコ、電動カンナなどが挙げられます。
また、材料や工具を運ぶための車両も必要です。車種としては、軽トラックやバンタイプの車両を用意しておくと、現場への移動や荷物の運搬がスムーズに行えるでしょう。
工務店の場合は従業員や下請け業者など人材確保
とくに工務店を立ち上げる際には、従業員や下請け業者を確保しておくことが重要です。住宅建築やリフォームなどの工事をスムーズに進めるためには、大工だけでなく電気工事や塗装、配管作業を担当する専門職が必要になるためです。
人材確保には求人サイトやマッチングサイトなどの利用が手法として挙げられますが、一番は知人や同業者などからの紹介を活用する方法が有力でしょう。また、同業者は信頼関係を築いておくことで、人材だけでなく仕事の紹介がある可能性もあるので、日頃からしっかりとコミュニケーションをとっておきましょう。
独立にかかる費用
独立するには準備物や人材確保の他にも、一定の費用がかかります。ここで、一人親方と工務店の場合にわけて、それぞれどの程度費用が必要か以下を解説します。
一人親方の場合
一人親方として独立する場合、初期費用と運転資金を確保しておきましょう。初期費用では、移動用の車両や工具の購入が主な出費となります。ただし、すでに所有している車や工具を活用すれば、大幅にコストを抑えられるでしょう。
運転資金としては、工事完了後の支払いに備えて数か月分の生活費や材料費を準備しておく必要があります。また、保険への加入や税金分の確保も忘れないようにしましょう。資金管理を徹底することで、安定した独立経営が目指せます。
工務店の場合
工務店の場合は、一人親方と比べて初期費用や運転資金が大幅に増加する傾向にあります。初期費用には事務所設立費用や建設業許可取得費用が含まれ、最低でも100万円以上が必要でしょう。事務所を改装したり高性能な設備を整える場合は、さらに費用が増加する可能性があります。
運転資金としては、社員を雇う場合の給料や社会保険料、材料費などを賄うため、一人親方の2~3倍以上を見積もる必要があります。また、請負契約を履行するためには500万円以上の純資産が求められるため、資金計画をしっかり立てることが重要です。
大工として独立した際の年収
実際に大工として独立した際に気になるのは、収入の面でしょう。せっかく独立するのであれば、収入が増えなければ大きな意味がありません。ここで、大工として独立した場合のおおまかな年収を、一人親方、工務店それぞれで解説します。
一人親方の場合
一人親方として独立した場合、年収は個人のスキルや受注内容に大きく左右されます。勤めも含め、大工としての平均年収は450万円前後ですが、高度な技術をもち信頼を得ている大工であれば、独立後は800万円〜1,000万円以上を稼ぐケースもあります。
一人親方の場合、自分で受注や顧客管理を行うため、努力次第で収入を増やせる点が魅力です。ただし、収入の安定性は保証されないため、定期的な受注を確保する営業力や、効率的な作業計画を立てることが重要だといえるでしょう。
工務店の場合
工務店を立ち上げた場合、年収は一人親方よりも大幅に高くなる可能性があります。事業展開している地域や受注規模にもよりますが、売上で数億、収入として1,000万円以上を目指すことも十分可能でしょう。
ただし、従業員の給料や運営費用がかかるため、純利益はその分減少します。安定した経営を続けるためには、信頼できる人材確保と効率的な運営が不可欠です。適切な価格設定と幅広い案件の受注が成功の鍵となります。
大工で独立した際、年収をあげるには
独立後、ただ目の前の仕事をこなしているだけではいずれ収入は鈍化してしまいます。そのため、自らの価値をあげたり受注獲得の動線を増やすことが重要です。以下の3点に着目し、詳しく解説します。
- 資格を取得する
- お得意先を開拓する
- マッチングサイトなどを活用する
資格を取得する
資格を取得することで、大工としての価値観の向上と年収アップが期待できるでしょう。たとえば、「建築大工技能士」は木造建築の技術を証明する国家資格で、1級を取得すると難易度の高い工事も受注可能です。また、「二級建築士」を取得すれば設計や工事管理が行え、業務の幅が広がります。
さらに、資格保持者の場合社会的な信頼価値も高まり、単価の向上による収入増に直結します。資格取得を目指し、将来的に高単価の案件や顧客の信頼を得られるような職人を目指しましょう。
お得意先を開拓する
お得意先を開拓することで、安定した収入と年収アップが見込めます。とくに一人親方の場合、信頼できる元請け業者や同業者を増やすことで、安定した案件獲得が見込まれます。
お得意先を開拓するためには、仕事の品質を高め、納期を守るなど誠実な対応を心がけることが重要です。また、過去の顧客からの紹介や口コミを積極的に活用するのも効果的でしょう。こうした努力が、長期的な収入向上につながります。
マッチングサイトなどを活用する
独立後は忙しく、時間がとれないことがほとんどです。そのような中でも隙間時間を有効に使いながら新たな案件を獲得するためにも、マッチングサイトを活用することが有効です。
職人向けのマッチングプラットフォームでは、条件に合う仕事を簡単に検索できるほか、直接スカウトを受ける機会もあります。とくに短期間や単発の案件を効率よく探せるため、空き時間を活用した収入アップが期待できるでしょう。また、利用者間の評価機能を通じて実績を積み重ねることで、高単価の依頼を受けやすくなる点もメリットといえます。
大工として独立するならイベント業界でも活躍しよう
大工として独立した場合、多くの方が建設業界を中心に考えるでしょう。しかし、大工のスキルを活かせる業界は他にもあり、とくに展示会・イベント業界では大工の専門的な技術が強く求められていることはご存知でしょうか。ここで、イベント業界での大工の仕事内容やイベント業界の案件を獲得するためにも利用をオススメするサイトを詳しく解説します。
イベント業界での大工の仕事内容
イベント業界では、大工の技術が展示会やイベントの成功を支える重要な役割を担っています。具体的には、展示ブースの設営や什器の製作、特別な装置の設置などが主な仕事内容です。
限られた期間内で設置を完了させる必要があるため、正確でスピーディーな作業が求められます。また、クライアントの要望を形にするための把握力やコミュニケーション能力も重要です。建築で培った経験を活かし、多様なニーズに応えることで、イベント全体の質を高められるのが大工の強みといえるでしょう。
イベント業界の案件獲得は職人BASEを活用しよう
前述した内容でイベント業界に興味をもち、案件を獲得したいと考えた場合、「職人BASE」の活用がオススメです。「職人BASE」は、イベント会社と職人を結びつけるマッチングサービスを提供しています。
スマホアプリから簡単に条件に合う案件を検索でき、時間がない中でも応募や企業との連絡もスムーズに行えます。また、登録したプロフィールをみた企業からスカウトが届く場合もあるため、自ら動かずとも案件獲得のチャンスがある点も魅力です。案件を通じて正社員に採用されるケースもあり、転職も視野に入れている方にとっても適しているでしょう。
専任エージェントのサポートがあるため、はじめての利用でも安心して進められます。「職人BASE」で新たなキャリアの可能性を広げてみましょう。
*参考 職人BASE
まとめ|大工で独立するためにしっかり準備をしよう
この記事では、大工として独立する方法や必要な資金、大工として独立した際の年収などを詳しく解説しました。大工は独立した際の将来性も高く、努力次第では非常に安定しているといえます。
しかし、独立する際には後から慌てないためにも、しっかりと準備することが大切です。この記事が独立の後押しに、そして独立のための参考になりましたら幸いです。