「大工」は衣食住の「住」を支える、なくてはならない職業です。住宅会社やリフォーム会社はもちろん、イベント設営会社や家具会社などさまざまな業界で求められています。
しかし、現在大工の人手不足が問題視されており、雇いたい企業側としては解決しなければならない大きな課題となっています。そこでこの記事では、大工が人手不足である原因と理由を振り返り、その解決方法やオススメの大工募集サイトをご紹介します。
目次
大工が人手不足である主な原因と理由
大工が人手不足である原因は、以前からあがっていた問題も含めいくつか存在します。ここでその原因について、以下5点を詳しく解説します。
- 若手大工の不足
- 労働環境問題
- 古い現場の体質
- 低い賃金の問題
- 大工を辞めて異業界に転職
若手大工の不足
さまざまな業界で若手の不足が問題視されていますが、大工業界でも若手不足は深刻な問題で、人手不足の大きな原因のひとつです。若者不足の原因としては、若者の間で大工という職業の魅力が十分に伝わっていないことが一因と考えられています。
他業界に比べて労働条件や賃金が魅力的でないことや労働時間が長いため、プライベートを重視する若者は、大工になることを避ける傾向があります。その結果、新たに大工を志す若手が減少し、業界全体で若手の人材が不足している状況が続いています。
労働環境問題
大工の人手不足の一因として、過酷な労働環境の問題も挙げられます。建設業界では、長時間労働が定着しており、ひどい場合は休日が十分に確保されていない現場も多くあります。
一般社団法人 日本建設業連合会が実施したアンケートによると、約67%の現場で月45時間・年360時間までの時間外労働のルールが守られておらず、約26%の現場で労使で定める 「36(さぶろく)協定」の特別条項も守られていないことが判明しました。
大工は長時間労働による過労に悩まされると噂が広がり、大工になることを避ける人が増えているため、労働環境の改善が急務となっています。
昔から続くアナログな現場
大工の人手不足の原因の一つとして、古いアナログな現場体制が今も残り続けていることも挙げられます。デジタルが閉鎖的な建設現場では、いまだに古い慣習や手作業に依存する作業方法が多く、効率が悪いと感じるデジタルに詳しい若手大工も少なくありません。
また、デジタル技術の導入が進まないことで業務の効率化が図られず、労働環境の改善が遅れていることも現場の不満のひとつです。このような環境では、若手大工が定着しにくく、結果的に人手不足が深刻化してしまいます。
低い賃金の問題
労働条件や労働の実態に比べ、賃金が低いことが大工の人手不足を進めている一因として挙げられます。大工は誰でもできるものではない専門職であることから、長時間労働や休日出勤が定着しており、実質的な時間当たりの賃金は低くなりがちです。
また、工具や消耗品を自費で購入しないといけない場合も多く、その分の経費が収入から差し引かれるため、手元に残るお金が少なくなってしまいます。このような賃金問題が若手大工や働き盛りの中堅大工の定着を妨げてしまい、結果人手不足を引き起こしています。
大工を辞めて異業界に転職
大工が人手不足である理由の一つに、大工を辞めて異業界に転職するケースが増えていることも挙げられます。厳しい労働環境や低い賃金の問題や、近年の働き方改革を積極的に取り組んでいる他業界に魅力的な求人が増えていることで、転職に踏み切る大工が多くなっています。
これらの理由により、建設業界全体、そして大工職人の不足が深刻化していることが現状です。
大工の人手不足問題を改善する方法とは
前述した原因と理由を鑑みて、大工の人手不足を改善する方法として4点挙げ、詳しくご紹介します。まだ具体的に人手不足改善に取り組んでいない企業は、ぜひ今回の内容を参考にしてください。
教育体制の整備
大工の人手不足を解決するためには、教育体制を整えることは欠かせない課題でしょう。昔ながらの弟子入りして経験で覚えるやり方が悪いわけではありません。人手不足を解消するためには、若手や未経験者を雇用することが必要で、そのためには教育体制を整えておかなければなりません。
また、教育制度を整える際も、昔のように「仕事を目で盗む」や「怒鳴りながら覚える」などの方法は、今ではパワハラと見なされることも多いため、時代に合った育成方針にする必要があります。
労働環境の改善
大工の人手不足を解消するためには、過酷な労働環境をいかに改善するかもマストでしょう。2024年4月から、建設業では時間外労働時間の上限が月45時間以内、年360時間以内となりました。
この規制により長時間残業が抑えられ、週休二日制の導入も期待されますが、これらをしっかり守れる環境整備は企業側の重要な課題です。3K(きつい・汚い・危険)といった労働環境を見直す企業努力を重ねることで、求職者が集まりやすい企業になるでしょう。
賃金や福利厚生の充実化
大工の定着と働くうえでのモチベーションアップとして、賃金や福利厚生の改善は不可欠でしょう。
具体的には、昇給やボーナス制度の導入、「4週8閉所」の実現など、具体的な改善策を講じましょう。現場での待遇や福利厚生が向上すれば、他社との差別化も図れ、大工になりたい人が集まりやすい企業となります。
デジタルに対応した現場体制
大工の人手不足を解消するためには、昔から続くアナログな現場から抜け出し、デジタル技術の導入をしていくことも重要です。たとえば、ICT(情報通信技術)の活用により、現場の業務効率を大幅に改善できます。
紙の図面ではなく、クラウドで図面の確認を行えるようにすると、施工内容の変更や更新があった場合もタイムリーに変更でき、確認や施工ミスなどが減少します。
また、アプリなどを利用してリモートで現場確認や打ち合わせを行えるようになれば、作業効率もおのずと向上するため、労働時間やストレスの軽減、スムーズな現場進行にもつながります。
大工を募集する主な方法
ここで、大工を募集するための主な方法をみていきましょう。主な方法として、以下3点をピックアップしました。それぞれ詳しく解説します。
求人サイトを活用する
大工の募集を効果的に行う方法として、求人サイトの活用が挙げられます。求人サイトとは、Web上で求人募集できるサービスです。
大手求人サイトには多くの求職者がアクセスするため、求人情報が広く行き渡りやすくなります。また、ターゲットを設定して効果的に通知ができるため、より希望に合った人材をみつけられるでしょう。
求人サイトの中には建設業に特化したものもありますので、大工職に興味をもつ求職者や、実際の経験者をより絞って募集を行うことができます。
SNSを活用する
今やほとんどの方が何かしらのSNSを活用している現在、SNSは表現をする場だけでなく、採用活動にも役に立てられています。
FacebookやX (旧Twitter)、InstagramなどのSNSプラットフォームは多くの人々が利用しており、ハッシュタグやリポストなどの活用で、広範囲に情報を拡散できます。
また、SNSを通じて企業の雰囲気や働き方をアピールすることで、求職者に親近感をもってもらいやすくなるため、応募のハードルを下げることもできます。
職業訓練校から募集する
大工を募集する場合、実際に目指している人に対し採用活動することが効果的だといえます。ですので、大工としてスキルを学んでいる職業訓練校から募集することが、若手や今後活躍する人材確保に有効でしょう。
定期的に学校を訪問し、企業説明会や求人案内を行うことで、学生に企業の魅力を直接伝えられるため、率先して実施しましょう。また、インターンシップや実習を受け入れることで、学生に現場の雰囲気や仕事のやりがいを体験させ、そのまま採用を得ることできます。
大工の人手不足を解決!オススメの求人サイト4選
ここで、大工を募集するためにオススメな求人サイトを4点ピックアップしましたので、それぞれ詳しくご紹介します。
- Indeed
- 求人ボックス
- 職人さんドットコム
- 職人WORK
Indeed
Indeedは、さまざまな求人情報を一括で検索できる「求人検索エンジン機能」で、世界No.1のシェアを誇るサービスです。企業のホームページや他の求人サイト、ハローワークなどから求人を集約し、絞り込み機能を活用して求職者に的確な情報を提供しているため、豊富な求人掲載数も相まって、月間訪問数が3700万人と、多くのユーザーから利用されています。
ユーザー数が多いことは、おのずと企業側の求人アクセスが多くなるため、未経験者や中途の大工候補も受け入れている企業であれば、より幅広い層にリーチできるでしょう。
*参考 Indeed
求人ボックス
求人ボックスは、食べログや価格.comが有名な「カカクコム」が運営している求人検索エンジンのため、信頼性の高さがポイントです。求人ボックスは、Web上のさまざまな求人情報を集約し、一度に検索できるサービスを提供しています。
求職者は多くの求人を簡単に比較できるため、利用ユーザーも多くなり、求人を掲載することで多くのアクセスを獲得できます。
また、無料で求人情報を投稿できるため、コストを抑えたい企業にとっても最適です。利用者数も年々増加しているため、求人を出す際は利用した方がいい求人サービスのひとつです。
*参考 求人ボックス
職人さんドットコム
職人さんドットコムは、建設現場で働く職人に特化した求人情報サイトです。このサイトでは求人情報だけでなく、職人に役立つさまざまな情報を提供しているため、現役で働いている職人もアクセスするサービスとなっています。
プロショップやメーカー別の工具検索ができる機能や、モニター商品の入手が可能なため、現役の大工も利用していることから職人さんドットコムに掲載することで即戦力人材の確保の可能性が高まります。
*参考 職人さんドットコム
職人WORK
職人WORKは、建築業界の職人求人を専門的に取り扱う求人サイトです。1日仕事体験や職場見学、入社祝い金支給の企業も多く掲載されており、職人の仕事の実際の現場を体験できるため、職人を目指す方に人気のサイトです。
職種ごとに細かく検索できる機能があり、たとえば大工や型枠大工など、特定の職種に絞って求人を探すこともできます。掲載する企業側としても、よりターゲットに違いユーザーから求人をみてもらえるでしょう。
*参考 職人WORK
イベント事業をしている企業は「職人BASE」で大工を募集可能
専門職だと思われている建設業界でさえ大工の人手不足が問題視されている中で、現在盛り上がりをみせている展示会・イベント業界も、大工の人手不足が悩みの種となっていることでしょう。
そこで、展示会・イベント業界で活躍する大工を募集したい場合は、展示会・イベント業界の職人募集に特化した「職人BASE」を活用してみてください。
「職人BASE」は、展示会・イベント業界で働く職人を確保したい企業側と、自分のスキルを活かしたい職人をマッチングさせるプラットフォームで、展示会・イベント業界に興味のある大工の募集ができるため、非常に有益なサービスです。プロフィールから直接スカウトができる機能もあるため、より自社に合った大工を見つけることができます。大工の人手不足に困っているなら、「職人BASE」をうまく活用し、その悩みから抜け出しましょう。
*参考 職人BASE
まとめ|大工の人手不足は社内体制の改善で解決!
大工の人手不足の原因と理由や、それにともなった改善方法、オススメの求人サイトなどをご紹介しました。大工の人手不足を解決する方法として、この記事でも書いた社内体制の改善をすることがマストです。
その後、魅力ある企業であることを求人サイトなどを利用して発信していきましょう。この記事で解説した人手不足の解決方法をぜひ参考にしてみてください。