個人大工として独立した場合でも、再度企業に勤める、もしくは他業種への転職を考える方は珍しくありません。しかし、実際に転職するとなると難しくないのか、他業種へ転職したい場合にうまくいくのか、気になる疑問でしょう。
そこでこの記事では、個人大工から転職を考えている方に向けて、実際に転職できるのかどうか、転職する場合にオススメの他業種、転職する際の注意点などを詳しく解説します。
目次
大工から転職を考える理由
独立して個人大工となった方が転職を考える理由としてはさまざまなものがあります。その主な理由として以下の3点をピックアップしましたので、確認してみましょう。
- 将来への不安
- 体力の問題
- 収入が不安定
将来への不安
個人大工としてやっていけるのかどうか、今後も仕事はなくならないのかどうかなどの将来への不安は、大工が転職を考える大きな理由のひとつです。建設業界は景気の変動に左右されやすく、仕事の安定性が保証されない場合が多いことが、その考えをしてしまう要因としてあげられます。
また、技術の進化や新しい建設手法の普及により、常に最新の知識やスキルを習得し続ける必要がある点も、将来自分がついていけるのかどうかの不安につながります。このような背景から、将来への安定を求めて企業勤めに戻ったり、他職種への転職を検討したりする大工が増えているのです。
体力の問題
歳をとるにつれて感じる体力の問題は、大工が転職を考える主要な理由のひとつです。大工の仕事は肉体労働が多く、重い荷物の運搬や長時間の立ち作業が日常的に求められます。若い頃は体力に自信があっても、30代以降になると疲労が蓄積しやすくなり、体力的な衰えを感じる人が増えるでしょう。
とくに、無理な動作が続くと腰や膝に負担がかかり、怪我や慢性的な痛みを引き起こす場合もあります。このような体力的な負担が、転職を検討するきっかけとなることが多いのです。
収入が不安定
独立した大工は、収入が不安定になりやすい傾向があります。そのため、家族ができたり子どもの進学でお金がいることなどから不安になり、転職を考える方が少なからずいるのが現状です。
案件の受注量は景気や季節によって変動し、安定した収入を確保するのが難しい場合があります。とくに、固定客をもたない場合や新規顧客を獲得できない状況では、収入が減少する可能性が高まります。
また、工事が完了しても報酬の支払いが遅れるケースがあり、資金繰りに苦労することも少なくありません。このような不安定さから、安定した収入を求めて転職を検討する人が増えています。
個人大工から転職はできるのか
個人大工からさまざまな理由で転職を検討する方は多いのが現状ですが、実際に転職は可能なのか不安な方も多いでしょう。しかし結論として、個人大工からの転職は十分可能です。
大工として培った技術や知識は、他の業界でも活躍する場が十分あります。また、建設業では社員大工を積極的に採用しているところも多いため、大工として企業に転職することも十分可能です。
未経験の職種でも丁寧に育てるカリキュラムを用意されていることが多いため、独立していて企業勤めではなかったからといってマイナスとはならないのです。これらのことから、個人大工として培った技術や経験は、他業種でも評価されるため、転職は十分に可能だといえます。
個人大工から転職する際にオススメの職種
個人大工から転職したい場合、どのような職種が有利なのでしょうか。個人大工から転職する場合にオススメの職種として以下の4点をピックアップしましたので、詳しく解説します。
- 建設業
- 不動産業
- 製造業
- 運送業
建設業
個人大工から転職する場合、建設業界で企業に勤めなおすことは、大工としての経験を活かせるオススメの方法です。大工として勤めなおすことはもちろん、建設業界の中でも別の職種に就くことも、豊富な経験から十分可能でしょう。
たとえば建築施工管理者は、現場経験を基に工程や品質管理を担当します。さらに住宅メーカーの技術職や営業職では、家づくりの知識を活用し、顧客に最適な提案ができるでしょう。また、建築資材メーカーでは、現場での経験を製品開発に反映させる技術職が選択肢となります。
このように、建設業では大工の延長線上でさまざまな職種に転職可能です。建設業の中でも気になる職種がある場合、積極的に挑戦してみましょう。
不動産業
大工としての知識や経験を活かせる職種の一つとして、不動産業もあげられるでしょう。不動産は建物や土地に関して専門的な知識が必要なため、大工で培った知識や経験が非常に役に立ちます。
たとえば不動産営業では、建築知識を活かして顧客に建物や土地の詳細をわかりやすく説明できるでしょう。また、現場経験を基に「建物が建てられる土地か」「建築に適した条件か」を判断し、適切な提案を行える点も強みです。
請け負っていた仕事の内容によっては、土地や建物の評価をおおまかに判断できるスキルがある大工もいるため、その知識は顧客からの信頼につながります。不動産業は、大工のスキルを活かして新たなキャリアを築きたい方にオススメです。
製造業
製造業は、大工としての技術や経験を活かせる職種の一つです。細かな製作に長けている大工の技術は、製造業でも非常に求められているため、併用して活躍できる場があるためです。
たとえば家具製造では、木材加工の技術がそのまま役立ちます。オーダーメイド家具の制作に携わることで、創造性を活かした仕事ができるでしょう。また、木工機械のオペレーターや保守技術者も適職です。工具や機械の扱いに慣れている大工経験者はスムーズに順応できるためです。
細かく精密な作業ができる大工は、製造業で大いに活躍できるでしょう。他業種だとしても、積極的に挑戦してみましょう。
運送業
運送業は、大工からの転職先としてオススメの職種です。大工の経験で培った体力や重い資材を扱うスキルは、荷物の積み下ろし作業に活かせます。また、現場に向かうために車両を運転していた方は、その運転技術も運送業で役立つでしょう。
物流業界は人手不足が続いており、未経験でも就職しやすい環境が整っています。その点も、他業種からの転職も可能にする理由です。大工で培った経験を活かし、運送業界で活躍することも検討してみましょう。
個人大工から転職する際の注意点
個人大工から転職は可能ですが、考えておかなければいけないことや注意点もあります。主に3点をピックアップしましたので、それぞれ詳しく解説します。
- 資格を取得しておく
- 求人の条件や福利厚生について調べておく
- 個人案件も続けるなら副業規定に気をつける
資格を取得しておく
あらためて企業に転職を目指す場合、事前に必要な資格を取得しておくことが重要です。独立していた時は技術や仕事の成果で評価されますが、企業では資格をもっているかも評価の基準になるからです。
たとえば、建築施工管理技士や宅地建物取引士などの資格は、建築業や不動産業への転職を有利にします。また、オフィスソフトやCADソフトの操作スキルを身につけておくことで、設計や管理職への選択肢が広がります。
もしもまったく別の業種に転職する際は、その業種が必要としている資格を調べ、取得できる際は取得しておく、または取得を目指していることを面接で話すことで、転職が有利に働くでしょう。
求人の条件や福利厚生について調べておく
転職を考える際、求人の条件や福利厚生を細かくチェックすることは非常に大切です。福利厚生には、健康保険や厚生年金といった法定福利と、交通費や住宅手当など企業が独自に提供する法定外福利があります。
求人票や企業のウェブサイトを通じて、どのような制度が整っているかを確認しましょう。とくに、家族手当や育児支援など、自分の生活環境に合う内容が充実しているかをチェックすることが大切です。転職後の生活を安心して送るため、事前の情報収集を徹底することが転職成功につながるでしょう。
個人案件も続けるなら副業規定に気をつける
転職しても個人で案件をもち続けたい場合は、企業に副業規定が定められてないかの確認が大切です。現在、副業を進める流れが全国的に広まりつつありますが、企業によっては副業を禁止していたり、競合になりうる一部の副業を禁止していたりすることがあります。
副業が可能である企業でも、事前の申請が必要な場合があるので確認しましょう。この規定を無視すると、最悪の場合解雇のリスクもあるため注意が必要です。転職先の規定をしっかり確認し、問題がないことを把握したうえで個人案件を継続しましょう。
個人大工から転職する方法
個人大工から転職する場合、どのような方法があるかを解説します。主な方法として3点ピックアップしましたので、それぞれ詳しくみていきましょう。
- 求人サイトを利用する
- 転職エージェントを利用する
- 紹介で転職する
求人サイトを利用する
転職の際、オーソドックスな方法として考えられるのは求人サイトです。求人サイトを利用することで、多くの求人情報を効率よく探せます。
求人サイトには、多くの求人が集まる求人検索サイトや、一定の職種に特化し、多く掲載されているサイトがあるので、自身に合ったサイトの特定で選ぶとよいでしょう。
また、条件検索機能がついている場合が多く、効率的に活用すれば、勤務地や給与、福利厚生など、自分の希望に合った求人を絞り込み、より条件に相違なく転職できます。まずは複数のサイトに登録し、情報収集からはじめてみましょう。
転職エージェントを利用する
転職は自身で動いて探す方法の他に、専属のアドバイザーからオススメの求人が紹介される転職エージェントを利用する方法があります。転職エージェントを利用することで、自分に合った職種や企業を自分の労力を減らしつつ効率的にみつけられます。
転職エージェントは希望条件やスキルを基に最適な求人を紹介してくれるため、はじめて転職する場合でも安心です。また、面接対策や履歴書の添削といったサポートも受けられるため、自信をもって選考に臨めるでしょう。
専門的なアドバイスを活用して、スムーズな転職活動を実現しましょう。
紹介で転職する
少し稀なケースではありますが、信頼できる知り合いから紹介されて転職する方法もあります。知り合いの紹介を通じた転職は、事実性の高い企業の情報を得られる点で大きなメリットがあります。
紹介の場合、職場の雰囲気や具体的な仕事内容を事前に知れるため、入社後のミスマッチを防げるでしょう。また、紹介者の推薦がある場合、採用のハードルが下がる場合もあります。
一方で紹介からの転職のため、紹介者の顔をつぶさないためにも半端な働き方はできません。自身の能力をしっかり発揮し、企業が紹介者に感謝するような働きをしましょう。
個人大工から転職するならイベント業界が経験を活かせる
大工のスキルは建設業界のみでしか活躍できないかと思われがちです。ですが実は、展示会・イベント業界で求められていることをご存知でしょうか。
もしも個人大工から業界を変えたい、もしくは企業勤めに戻りたいと考えている場合、イベント業界も検討してみましょう。ここでは、大工のスキルはイベント業界でどのように活躍するのか、イベント業界の求人を探すのにオススメのマッチングサイトをご紹介します。
イベント業界で活躍する大工のスキル
イベント業界では、大工として培った技術が幅広く活かせます。具体的な仕事内容としては、展示会のブース設営やイベント用什器の製作、特殊装置の設置などが主な業務に含まれます。
短期間での仕上げが求められるため、迅速かつ正確な作業能力が重要です。また、クライアントの要望を形にする提案力や柔軟な対応力も求められるため、個人大工として培った対応力やコミュニケーション能力が活躍できるでしょう。
建築現場で得た経験をイベントの成功につなげられる大工は、イベント業界で非常に求められています。イベント業界で新たな価値を生み出しましょう。
イベント業界への転職は職人BASEがオススメ
イベント業界への転職を目指すなら、「職人BASE」の活用がオススメです。「職人BASE」は、イベント業界で働きたい職人と、スキルをもった職人を雇いたいイベント会社をつなぐマッチングサービスです。
スマホアプリを通じてスムーズに応募や連絡ができる点や、条件に合う案件を簡単に検索できる点が魅力です。また、企業から直接スカウトが届くこともあるため、仕事などで多忙な方や、積極的に動けない人でもチャンスをつかめるでしょう。案件をきっかけに正社員として採用されるケースもあり、思わぬ転職チャンスが訪れることもあります。
専任のエージェントのサポートも受けられるため、未経験者も安心して活用できます。「職人BASE」を利用して、イベント業界への一歩を踏み出しましょう。
*参考 職人BASE
まとめ|個人大工から転職も可能!経験を活かそう
この記事では、個人大工から転職を考えている方に向けて、実際に転職できるのかどうか、転職する場合にオススメの他業種、転職する際の注意点などを詳しく解説しました。
個人大工から転職することは十分可能で、今まで培った知識や経験を活かしてキャリアアップを目指すこともできるでしょう。この記事を参考に、新たな一歩を踏み出しましょう。