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建設業界での転職には資格が必要?転職に有利なオススメ資格16選

建設業界で仕事をし続けるならば、誰しも、将来的に年収アップにつながるような働き方がしたいと望むのは自然なことです。経験や知識を積んで、腕のいい技術者であったとしても、そのスキルをどう収入アップにつなげればよいのか、わからないという人もいるのではないでしょうか。

本記事では、将来的な収入アップに向けた転職やキャリアアップに有利になる、建設業界の資格についてご紹介します。

 

建設業界で持つと有利な資格16選

 

建設業界において、キャリアアップや転職を考える際に、資格の取得は有効なアプローチのひとつです。ただし、建設業界の業種は細分化しており、やみくもに資格を取得してしまうと、実際の業務に関連のないものである可能性があります。事前に、自分が現在携わっている分野についてのリサーチをした上で、実務に生かせる資格を選び、取得するようにしましょう。

ここでは、建設業界でキャリアアップや転職に有利な資格を広くご紹介します。自分の活躍したい分野の資格について、ぜひ参考にしてみてください。

 

建築士(1級、2級)

建築士の主な仕事内容は、法律に基づいてさまざまな建築物の設計や工事の監理をすることです。たとえば、住宅、マンション、ビルなどの設計をしながら、その設計をもとに建築現場で指揮・監督などの業務を行います。

また、設計、工事監理以外の、事務作業も担っています。建設許可などの行政手続きや契約書の監修、建築物に関する調査鑑定などです。1級と2級の違いは以下の通りです。

  • 1級建築士は、範囲に制限なし。学校や病院など、大型施設も含むすべての構造、規模、用途の建造物に携われる。
  • 2級建築士は、戸建て住宅や小規模店舗など小規模建造物に限定して携われる。

建築士の資格を得るには、学歴、実務経験要件などを満たした上で、公益財団法人建築技術教育普及センターが実施する建築士試験に合格することが必要です。

試験内容
1級 「学科の試験」

  • 学科1(計画)
  • 学科2(環境・設備)
  • 学科3(法規)
  • 学科4(構造)
  • 学科5(施工)

「設計製図の試験」

2級 「学科の試験」

  • 学科1(建築計画)
  • 学科2(建築法規)
  • 学科3(建築構造)
  • 学科4(建築施工)

「設計製図の試験」

*参考 公益財団法人建築技術教育普及センター「一級建築士試験 受験要領」

*参考 公益財団法人建築技術教育普及センター「二級建築士試験 木造建築士試験 受験要領」

 

建築設備士

建築設備士の主な仕事内容は、建築士に対して、高度化、複雑化した建築設備の設計、工事監理に関する適切なアドバイスを行うことです。建築設備士の資格は、建築設備全般に関する知識と技能の証明ができます。以下の資格について、実務経験なしで受験資格が付与されることもメリットのひとつです。

  • 1級建築士
  • 2級建築士
  • 木造建築士

建築設備士の資格を取得するためには、公益財団法人建築技術教育普及センターが実施する建築設備士試験に合格する必要があります。試験は、以下の通りです。学歴や実務経験などの受験資格を満たすことにより受験が可能で、第一次試験は、合格後3回は免除されます。

第一次試験(学科)

  • 建築一般知識
  • 建築法規
  • 建築設備

第二次試験(設計製図)

  • 建築設備基本計画
  • 建築設備基本設計製図

*参考 公益財団法人建築技術教育普及センター「建築設備士試験」

 

電気工事士(第一種、第二種)

電気工事士の第一種と第二種の違いは以下の通りです。

  • 第一種電気工事士は、第二種の範囲に加えて、最大電力500kW(キロワット)未満の高圧で受電するビルや工場、大規模店舗などの工事に従事できます。
  • 第二種電気工事士は、600V(ボルト)以下の低圧で受電する、一般住宅や小規模な店舗・事業所などの工事に従事できます。

電気工事には、大きく分けて「建設電気工事」と「鉄道電気工事」があり、それぞれの電気工事士の主な仕事内容は下記の通りです。

「建設電気工事」

  • 屋内配線工事
  • 外線配線工事
  • 冷暖房設備工事
  • ビル管理

「鉄道電気工事」

  • 変電設備工事
  • 電気設備の点検工事

電気工事士になるには、一般財団法人電気技術者試験センターが実施する電気工事士試験に合格することが必要です。学科試験の合格基準点は60点、技能試験における合格基準は作品に欠陥がないことです。

学科試験(択一式、CBT方式) 技能試験
第一種
  • 電気に関する基礎理論
  • 配電理論及び配線設計
  • 電気応用
  • 電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備
  • 電気工事の施工方法
  • 自家用電気工作物の検査方法
  • 配線図
  • 発電施設、送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性
  • 一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令
  • 電線の接続
  • 配線工事
  • 電気機器、蓄電池及び配線器具の設置
  • 電気機器、蓄電池、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
  • コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
  • 接地工事 
  • 電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定 
  • 自家用電気工作物の検査
  • 自家用電気工作物の操作及び故障箇所の修理
第二種
  • 電気に関する基礎理論
  • 配電理論及び配線設計
  • 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具
  • 電気工事の施工方法
  • 一般用電気工作物等の検査方法
  • 配線図
  • 一般用電気工作物等の保安に関する法令
  • 電線の接続配線工事
  • 電気機器及び配線器具の設置
  • 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
  • コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
  • 接地工事
  • 電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定
  • 一般用電気工作物等の検査
  • 一般用電気工作物等の故障箇所の修理

*参考 一般財団法人電気技術者試験センター「電気工事士試験」

 

電気主任技術者(第一種、第二種、第三種)

電気主任技術者の主な仕事内容は、発電所や変電所、また、工場やビルの受電設備や配線など、電気設備の保安監督です。電気設備を設けている事業主は、電気主任技術者の選任が法律で義務付けられているため、保安監督は、電気主任技術者の独占業務です。資格の種類の違いは、取り扱う電圧によるもので(下記参照)、第一種と第二種は一次試験と二次試験、第三種は一次試験のみ筆記試験があります。

  • 第一種はすべての事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督を行える。
  • 第二種は電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督を行える。
  • 第三種は電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督を行える。

一次試験には科目合格制度があり、第一種と第二種は3年間で4科目の試験に合格すれば二次試験の受験資格が得られます。第三種は最初に合格した試験以降、申請により最大連続5回まで当該科目の免除が受けられます。一般財団法人電気技術者試験センターが実施する試験の内容は以下の通りです。

一次試験(多岐選択方式)

  • 理論
  • 電力
  • 機械
  • 法規

二次試験(記述式)

  • 電力・管理
  • 機械・制御

*参考 一般財団法人電気技術者試験センター「電気主任技術者試験」

 

施工管理技士7種(1級、2級)

2024年度から受検資格が改定され、学歴や実務年数に関わらず、1級は19歳以上、2級は17歳以上(どちらも受験年度末時点の年齢)ならば第一次検定受検が可能になりました。試験は第一次検定と第二次検定があり、次のような称号が与えられます。

  • 第一次検定のみの合格者「技士補」
  • 第一次検定、第二次検定両方の合格者「技士」

「技士補」ならば、実務経験なしで資格を得られるので、今から取得を考える人はまずここから挑戦してみるとよいでしょう。

1級ならば「主任技術者」と「監理技術者」、「専任技術者」になることが可能で、2級の場合は「専任技術者」と「主任技術者」にのみ就任できます。

*参考 一般財団法人建設業振興基金「施工管理技術検定」

*参考 一般社団法人日本建設機械施工協会「1・2級建設機械施工管理技術検定試験」

*参考 一般社団法人全国建設研修センター「技術検定」

 

建築施工管理技士

建築施工管理技士は次のような工事に携わる仕事です。

  • 鉄筋工事
  • 大工工事
  • 内装仕上げ工事などを含む建築工事

具体的な建築施工管理技士の主な仕事内容は、次のような管理業務を行いながら、指導監督的立場に立って建築物の質的な向上を支えることです。

  • 施工計画の作成
  • 工程管理
  • 品質管理
  • 安全管理

資格を得るには、一般財団法人建設業振興基金が実施する検定試験に合格することが必要です。各級の検定科目と時間は以下の通りで、2級の内容は1級に比べて、基礎的な知識が問われます。

第一次検定(択一式) 第二次検定(記述式・択一式)
1級
  • 建築学など
  • 施工管理法
  • 法規
  • 施工管理法
2級
  • 建築学など
  • 施工管理法
  • 法規
  • 法規
  • 施工管理法など

*参考 一般財団法人建設業振興基金「1級建築施工管理技術検定 受検の手引」

*参考 一般財団法人建設業振興基金「2級建築施工管理技術検定 受検の手引」

 

電気工事施工管理技士

電気工事施工管理技士は、建築物や土木構造物の建設や増築などに要する

  • 電気工事に関する施工計画の作成
  • 工事現場における工程管理
  • 品質管理
  • 原価管理
  • 安全管理
  • 電気工事の監理

これらが主な仕事内容です。1級と2級では仕事内容がほぼ同じですが、施工できる建設現場の規模に違いがあります。

資格を得るには、一般財団法人建設業振興基金が実施する検定試験に合格することが必要です。各級の検定科目と時間は以下の通りで、2級の内容は1級に比べて、基礎的な知識が問われます。

第一次検定(択一式)

  • 電気工学など
  • 施工管理法
  • 法規

第二次検定(択一式、記述式)

  • 施工管理法

*参考 一般財団法人建設業振興基金「1級電気工事施工管理技術検定 受検の手引」

*参考 一般財団法人建設業振興基金「2級電気工事施工管理技術検定 受検の手引」

 

建設機械施工管理技士

建設機械を使った工事の施工管理や安全管理が主な仕事で、現場での指導や監督を勤めます。1級の場合は2級よりも仕事の幅が広くなります。扱える機械の制約がなく、一定額以上の大規模な工事にも対応可能です。

資格を得るには、一般社団法人日本建設機械施工協会が実施する検定試験に合格することが必要です。

第一次試験 第二次試験
1級
  • 土木工学
  • 建設機械原動機
  • 石油燃料
  • 潤滑剤
  • 建設機械
  • 建設機械施工法
  • 施工管理法
  • 法規
<筆記試験>

  • 建設機械施工法
  • 施工管理法
  • 建設機械組合せ施工法

<実技試験>

  • 第1種 トラクター系建設機械操作施工法(ブルドーザ)
  • 第2種 ショベル系建設機械操作施工法(油圧ショベル)
  • 第3種 モーター・グレーダー操作施工法(モータ・グレーダ)
  • 第4種 締め固め建設機械操作施工法(ロード・ローラ)
  • 第5種 舗装用建設機械操作施工法(アスファルト・フィニッシャ)
  • 第6種 基礎工事用建設機械操作施工法(アースオーガ)
2級 共通問題(択一式)

  • 土木工学
  • 施工管理法
  • 建設機械原動機
  • 石油燃料
  • 潤滑剤
  • 法規

種別問題(択一式)(以下6種別のうちいずれかを選択して受検。奇数種別から1種、偶数種別から1種の「最大2種」まで一度に受検可)

  • 第1種 ・トラクター系建設機械・トラクター系建設機械施工法
  • 第2種 ・ショベル系建設機械・ショベル系建設機械施工法
  • 第3種 ・モーター・グレーダー・モーター・グレーダー施工法
  • 第4種 ・締め固め建設機械・締め固め建設機械施工法
  • 第5種 ・舗装用建設機械・舗装用建設機械施工法
  • 第6種 ・基礎工事用建設機械・基礎工事用建設機械施工法
<筆記試験>

  • 施工管理法

<実技試験>

  • 第1種 トラクター系建設機械操作施工法(ブルドーザ)
  • 第2種 ショベル系建設機械操作施工法(油圧ショベル)
  • 第3種 モーター・グレーダー操作施工法(モータ・グレーダ)
  • 第4種 締め固め建設機械操作施工法(ロード・ローラ)
  • 第5種 舗装用建設機械操作施工法(アスファルト・フィニッシャ)
  • 第6種 基礎工事用建設機械操作施工法(アースオーガ)

*参考 一般社団法人日本建設機械施工協会「1級第一次検定受検の手引」

*参考 一般社団法人日本建設機械施工協会「1級第二次検定受検の手引」

*参考 一般社団法人日本建設機械施工協会「2級第一次検定受検の手引」

*参考 一般社団法人日本建設機械施工協会「2級第二次検定受検の手引」

 

電気通信工事施工管理技士

電気通信工事施工管理技士が携わる工事の主なものは、次の通りです。

  • 携帯電話の基地局や無線LANアクセスポイントの設置
  • IoTセンサの設置
  • 光ファイバーケーブル収容施設、サーバールーム、データセンターなどインターネットやそれを活用するサービスに関する工事
  • 電波障害の解消などのメンテナンス工事

具体的な電気通信工事施工管理技士の仕事内容は、次のような管理業務です。

  • 工程管理
  • 安全管理
  • 品質管理
  • 原価管理など

2019年に新設された新しい資格です。資格を得るには、一般財団法人全国建設研修センターが実施する検定試験に合格することが必要です。1級と2級の違いは、管理できる現場の規模によって分けられます。各級の検定科目と時間は以下の通りで、2級の内容は1級に比べて、基礎的な知識が問われます。

第一次検定(択一式)

  • 電気通信工学など
  • 施工管理法
  • 法規

第二次検定(記述式)

  • 施工管理法

合格基準は、第一次検定の全体で60%以上かつ「施工管理法(応用能力)」で40%以上、第二次検定も60%以上とされています。

*参考 一般財団法人全国建設研修センター「1級電気通信工事施工管理技術検定 受検の手引」

*参考 一般財団法人全国建設研修センター「2級電気通信工事施工管理技術検定 受検の手引」

 

土木施工管理技士

土木施工管理技士が携わる土木工事の主なものは、次のように多岐にわたります。

  • 河川工事
  • 道路工事
  • トンネル工事
  • 上下水道工事
  • 区画整理工事
  • 災害復旧など

具体的な土木施工管理技士の仕事内容は、次のような管理業務です。

  • 工程管理
  • 安全管理
  • 品質管理
  • 原価管理など

資格を得るには、一般財団法人全国建設研修センターが実施する検定試験に合格することが必要です。1級土木施工管理技士の検定科目は、次の詳細を参考にしてみてください。

第一次検定 第二次検定
1級
  • 土木工学など
  • 施工管理法
  • 法規
  • 施工管理法
2級 <土木>

  • 土木工学など
  • 施工管理法
  • 法規

<鋼構造物塗装>

  • 土木工学など
  • 鋼構造物塗装施工管理法
  • 法規

<薬液注入>

  • 土木工学など
  • 薬液注入施工管理法
  • 法規
<土木>

  • 施工管理法

<鋼構造物塗装>

  • 鋼構造物塗装施工管理法

<薬液注入>

  • 薬液注入施工管理法

*参考 一般財団法人全国建設研修センター「1級土木施工管理技術検定 受験の手引」

*参考 一般財団法人全国建設研修センター「1級土木施工管理技術検定(受験種別 土木)受験の手引」

 

管工事施工管理技士

管工事施工管理技士が携わる主な配管工事は、次の通りです。

  • 冷暖房設備
  • 空調設備
  • ガス管配管設備
  • 浄化槽設備
  • 上下水道配管設備
  • 給排気ダクトなど

これらの工事の管理業務が管工事施工管理技士の仕事内容です。

  • 施工計画の作成
  • 工程管理
  • 品質管理
  • 安全管理など

担当できる工事の規模によって、1級と2級の仕事の違いがありますが、仕事内容にはほとんど差がありません。管工事施工管理技士の資格を取得するメリットは、他資格取得に有利になる点が挙げられます。

1つ目のメリットは「浄化槽設備士」の講習を受ける権利の付与です。講習を修了すると、国土交通大臣から、浄化槽設備士免状が交付されます。2つ目のメリットは、「給水装置主任技術者」の試験科目内の2科目が免除されます。この機会を有効に利用し、まとめて取得してしまうとさらなるキャリアアップにつながるでしょう。

資格を得るには、一般財団法人全国建設研修センターが実施する検定試験に合格することが必要です。各級の検定科目と時間は以下の通りで、2級の内容は1級に比べて、基礎的な知識が問われます。

第一次検定(択一式)

  • 機械工学など
  • 施工管理法
  • 法規

第二次検定(記述式)

  • 施工管理法

合格基準は、各級の第一次検定、第二次検定において得点が60%以上です。ただし、1級の第一次検定についてのみ全体で60%かつ「施工管理法(応用能力)」50%以上とされています。

*参考 一般財団法人全国建設研修センター「1級管工事施工管理技術検定 受検の手引」

*参考 一般財団法人全国建設研修センター「2級管工事施工管理技術検定 受検の手引」

 

造園施工管理技士

造園施工管理技士の主な仕事内容は、造園工事全般の以下のような管理業務が中心です。

  • 施工計画の作成
  • 工程管理
  • 資材調達
  • 品質管理
  • 安全管理など

近年は地球温暖化対策や生活環境改善を目的とする、各所の緑化需要が増加傾向にあります。造園工事の現場には、1級または2級の造園施工管理技士を配置することが必須なので、需要のある資格と言えるでしょう。就職先は、造園、緑化工事を手がける、造園業、建設業、土木業を営む会社などです。

資格を得るには、一般財団法人全国建設研修センターが実施する検定試験に合格することが必要です。各級の検定科目は以下の通りで、2級の内容は1級に比べて、基礎的な知識が問われます。

第一次検定(択一式)

  • 土木工学等
  • 施工管理法
  • 法規

第二次検定(記述式)

  • 施工管理法

合格基準は、各級の第一次検定、第二次検定すべてにおいて得点が60%以上です。ただし、1級の第一次検定についてのみ全体で60%かつ「施工管理法(応用能力)」30%以上とされています。

*参考 一般財団法人全国建設研修センター「1級造園施工管理技術検定 受検の手引」

*参考 一般財団法人全国建設研修センター「2級造園施工管理技術検定 受検の手引」

 

主任技術者・監理技術者

工事現場には、規模に関わらず施工技術を管理する「主任技術者」の配置が必要です。元請の特定建設業者が総額4,000万円以上(建築一式の場合は6,000万円以上)の下請契約を行った場合は、よりレベルの高い「監理技術者」を配置しなければなりません。

技術検定の1級に合格した人は「監理技術者」、2級に合格した人は「主任技術者」になれます。上述した施工管理技士7種がそれにあたります。

主任技術者と監理技術者の業務は以下の通りです。

  • 建設工事の施工計画の作成
  • 工程管理
  • 品質管理
  • その他の技術上の管理
  • 工事の施工に従事する者の技術上の指導監督

*参考 国土交通省「主任技術者・監理技術者」

 

コンクリート診断士

コンクリート診断士は、建設現場などで使われているコンクリートの点検や診断などの評価ができます。民間の資格ではありますが、国土交通省が定める「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」として登録されている、技術者の証となる資格です。保有資格や学歴、実務経験などの要件を満たし、コンクリート診断士講習を受講すれば受験資格が与えられます。

試験は、択一式と記述式による筆記試験です。コンクリートの劣化予測や評価および判定基準、対策の種類や補修・補強工法などについての一般的な知識と理解度が問われます。

*参考 公益社団法人日本コンクリート工学会「2024年度コンクリート診断士試験のご案内」

 

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を行える資格です。資格取得のための試験は短答式試験と論文式試験があります。短答式試験は誰でも受験可能で、合格すれば論文式試験が受けられます。

両方に合格後、国土交通大臣の登録を受けた実務修習機関において「実務修習」を受けることが必須です。修了を認められ、国土交通大臣の修了の確認を受けたら不動産鑑定士として登録できます。

*参考 公益社団法人 日本不動産鑑定士協会連合会「鑑定士試験の概要」

 

宅地建物取引士

不動産取引の際に、権利関係の調査や内容説明、契約締結などの業務を行います。宅建業法で定める宅地建物取引士資格試験に合格する必要があります。日本国内在住であれば誰でも受験可能です。試験は、50問択一式、土地や宅地、建物についての法令をはじめとした知識全般について問われます。

*参考 一般財団法人不動産適正取引推進機構「宅建試験」

 

建設業界における資格取得のメリット

 

建設業界で働く上で、資格を保有することには多くのメリットがあります。ここでは、資格取得をするメリットについて解説していきます。

 

業務スキルの証明ができる

資格を取得することによって、知識や経験、技術といった目に見えないものを、客観的に証明できます。雇用主や顧客の立場からは、仕事を任せる上での安心感や信頼感に直結します。

 

キャリアアップできる

建設業界には、資格の保有者でなければ従事できない仕事があります。「業務独占資格」を取得することによって、より責任のある業務を担当させてもらえる機会が増え、活躍できる分野が広がります。

 

転職で有利になる(市場価値が高まる)

知識や技術がものをいう建設業界では、即戦力である人材の市場価値が高いと言えます。それにより、知識や技術の証明である資格の有無を、人材採用の基準としている企業は少なくありません。より年収の高い企業に転職を考えるならば、資格を取得して、自分の市場価値をあげましょう。

 

給与アップにつながる

仕事を請け負う際に、取引先の企業によっては資格手当制度を設けており、指定の資格を取得し、申請を行えば、手当を支給され給与アップが実現します。また、有資格者限定の仕事も受注することが可能です。保有資格が増えれば、その分請け負える仕事も増えるので、おのずと給与はアップするでしょう。

 

仕事に対するモチベーションアップ

資格取得によって仕事の幅が広がり、より責任のある業務に就くことになれば、おのずと、管理したり教育したりする部下が増えることにもなるでしょう。責任ある立場は仕事へのモチベーションアップにつながります。

新たな業務に対しても意欲を持って前向きに取り組むうちに、成果があらわれて高評価が得られるかもしれません。自分の仕事が好きになり、誇りを持って取り組めることは、人生の多くを費やす仕事において大切なことです。

 

建設キャリアアップシステムを活用しよう

 

「建設キャリアアップシステム(CCUS)」とは、国土交通省の監督のもと、一般財団法人建設業振興基金が運用しているシステムです。建設業に従事する技術者が、技能・経験に応じて適切に処遇される建設業を目指して、技能者の資格や現場での就業履歴等を登録・蓄積し、能力評価につなげる仕組みです。

国土交通省は、この仕組みの目指すところとして、以下の3つを掲げています。

  • 若い世代の技能者の方がキャリアパスや処遇の見通しをもてる建設業
  • 技能・経験に応じて給与を引き上げる建設業
  • 技能者を雇用し育成する企業が伸びていける建設業

国土交通省と建設業全体が連携し「建設キャリアアップシステム(CCUS)」を建設業共通の制度インフラとして、普及と利用促進に取り組んでいます。知識や技能といった目には見えないものを、一定の評価基準で見える化するこのシステムを、使わない手はありません。

*参考 国土交通省「建設キャリアアップシステムポータル」

 

イベント業界で資格を生かした働き方がある!

 

近年ではコロナ前同様に、あらゆるイベントが開催されており、イベント業界では、建設業の仕事も豊富にあります。イベントの例は、次のようなものです。

  • 展示会
  • スポーツイベント
  • 祭り・自治体主催イベント
  • 音楽イベント・コンサート
  • 展示即売会・物産販売会
  • 学園祭・サークルや団体の発表会など

しかし、これらのイベントでの建設業の仕事を、どう探せばよいかわからないという人は多いでしょう。そこでオススメしたいのが、「職人BASE」です。「職人BASE」とは、イベント業界における仕事の、需要と供給をマッチングしてくれるサービスです。仕事の幅を広げたい人や、イベント業界での仕事に興味があり、チャレンジしてみたい人は、ぜひサイトをチェックしてみてください。

*参考 「職人BASE」

 

まとめ|資格取得で仕事の幅を広げて市場価値をあげよう!

 

建設業界において、自分が携わる仕事分野の資格を取得することが、キャリアアップや転職に有利になることがわかりました。仕事を続けながらの資格取得は、勉強時間の確保が難しいこともあり、意志の強さと地道な努力が必要です。

とはいえ、新たな資格取得で自分の活躍できる分野が広がり、仕事に対するモチベーションのアップや給与アップにつながることは、人生のクオリティ向上とも言えます。自分と仕事に誇りを持って、建設業界での市場価値を高めるためにも、資格取得に向けてどんどん挑戦していきましょう。

この記事を編集した人

職人BASE ライター

職人BASE 編集部

職人BASEブログは、職人とイベント業界をつなぐ「職人BASE」が運営する、職人さんの案件獲得や企業様の人事採用に関するコンテンツをお届けするメディアです。

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