設計士に転職したいと考えている方の中には、転職するためには資格や専門的な知識、ノウハウが必要と感じて不安になる方も多いかもしれません。確かに資格がないとできない仕事もありますが、資格がなくてもできる仕事もあります。
この記事では、設計士への転職を考えている方に向けて、設計士の仕事内容や平均年収、将来性を解説した後、転職に有利になる資格についてもご紹介します。設計士への転職を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
設計士とはどのような仕事?
設計士と聞けば、建築物の設計を行う人だろうと想像することはできますが、実際にどのような仕事をしているのかまで、把握できている方は少ないのではないでしょうか。
まずは、設計士がどのような仕事をしているのか、平均年収、将来性について解説していきます。
仕事内容
名前の通り、設計士は、建築物の設計を仕事としています。似たような仕事として、建築士がありますが、こちらは建築士という資格を保持して、仕事をされている方になります。建設業界の中では、建築士の資格を持っている方を建築士、資格を持っておらず、設計や補助業務を行っている人を設計士と区別しているそうです。
設計士のおもな業務は下記の通りです。
- 小規模な木造建築物の設計
- 建築士の業務のサポート
- 施主との打ち合わせへの同席や書類の作成
それぞれについて、くわしく見ていきましょう。
小規模な木造建築物の設計
建築物の設計の中には、建築士の資格を持っていないと設計業務を行うことができないものもあります。しかし、建築士法で定められている以下の条件に該当する建築物であれば、建築士の資格を持っていない設計士でも、設計業務を行うことができます。
- 100平方メートル未満、2階建てまでの木造建築物
- 30平方メートル未満、高さ13メートル以下、軒高9メートル、2階建てまでの建築物
建築士の業務のサポート
建築士の資格を持っていないからといって、建築士しかできない大きな建築物の設計に全く関わることができないということではありません。設計の一部を担当するなどの建築士の業務をサポートする業務で、設計士も大きな建築物の設計に関わることができます。
このような建築士の業務のサポートを経験して、建築士試験の勉強を進めていくということも多くあります。
施主との打ち合わせへの同席や書類の作成
設計士は設計業務以外にも、施主との打ち合わせに同席したり、議事録などの書類を作成したりします。設計士は、クライアントが満足のいく建築物を設計することが仕事です。そのためには、施主の要望をしっかりとヒアリングして、それを記録として残して、設計を進めていくことが求められます。
設計士になりたてであれば、設計業務以外の建築士のサポートや事務的な作業が多くなるかもしれません。そこは見習い期間だと思ってグッとこらえ、辛抱強く頑張ることが大切です。
平均年収
jobtagによると、設計士の平均年収は620.4万円と言われています。dodaに2022年9月から2023年8月の間に登録した63万人の平均年収を見ると、414万円という結果になっています。その414万円と比較すると1.5倍程度なので、平均年収は高いと言えます。
厚生労働省の公表している2023年度の賃金構造基本統計調査の速報値でも、平均賃金は上昇傾向にあるため、今後も平均年収は上がっていくでしょう。
*参考 建築設計技術者 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
*参考 日本のビジネスパーソンの平均年収は?平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】 |転職ならdoda(デューダ)
将来性はある?
設計士への転職を検討している方の中には、これから転職する業界や職種は将来性があるのかと気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、設計士は将来性はあります。最近では、建築物の耐震診断や、それに伴う改修工事、文化財の保存などにおいても、設計士は活躍しています。
建築物の維持に関する業務が拡大していくとともに、新しい建築物も増えてきています。そのため、設計士の未来はまだまだ明るいと言えます。
また最近は、建設業界だけでなくイベント業界でも、設計士としてのスキルを活かせる案件も増えてきています。イベント業界での案件を探すには、職人BASEがオススメです。
職人BASEは、イベント業界に特化した、スキルを持った職人と企業をマッチングするサービスです。設計士へ転職した後、さらにさまざまなことに挑戦していきたいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
*参考 職人BASE
設計士への転職に有利な資格5選
設計士になるために資格は必要ないとお伝えしましたが、転職する際に有利になる資格もあります。今回は、
- 木造建築士
- 一級・二級建築士
- CAD利用技術者試験・建築CAD検定試験
の5つをご紹介します。
木造建築士
木造建築士とは、その名の通り、木造の建築物の設計を行うことができる資格です。扱える建築物が木造に限られてしまいますが、しっかりと設計できることを証明することができる国家資格です。
木造建築士は、後で紹介する一級・二級建築士よりも取得難易度は低くなっており、とりあえず資格取得を目指したいという方にオススメです。
*参考 木造建築士試験
一級・二級建築士
一級・二級建築士は、木造建築士と異なり、木造以外の建築物の設計も行うことができる資格です。一級と二級の違いは、扱うことができる建築物の規模です。
一級建築士の資格を持っていれば、あらゆる建築物の設計を行うことができます。一方二級建築士の資格では、300平方メートルを超える鉄筋コンクリート造、鉄骨造等の構造の建築物や、高さが13mまたは軒高9mを超える建築物は設計することができません。
二級建築士試験の合格率25%程度ですが、一級建築士試験の合格率は10%程度と非常に難しい試験になっています。
CAD利用技術者試験・建築CAD検定試験
設計を行うには、CAD(Computer Aided Design)と呼ばれるツールを使って行われることがほとんどです。CADには、2D CAD・3D CADがありますが、設計では2D CADを使います
CADのスキルを証明するための資格としては、CAD利用技術者試験、建築CAD検定試験の2つが有名です。どちらもCADをつかった作図を効率的に行えることを証明する資格ですが、建築CAD検定試験はCADの知識に加え、建築知識も求められます。
設計士になれば、CADの操作を行うこととなりますので、こちらの資格を保持していることは、設計士としての作業をスムーズに行うことができると見なされます。
*参考 CAD利用技術者試験 – ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会
*参考 建築 CAD検定
設計士に向いている人の特徴とは?
設計士に興味を持っている方の中には、自身が設計士に向いているか気になっている方もいるかもしれません。設計士に向いている方は、以下のような特徴がある人です。
- モノづくりが好き
- 問題を解決できるまで根気強く取り組める
- 常に新しい技術を取り入れる探求心
- 周りとコミュニケーションを取りながら進められる
このような特徴を持っている方は設計士に向いているため、設計士への転職を前向きに考えてみてもよいでしょう。設計士に向いている人の特徴について解説するので、気になる方は参考にしてみてください。
モノづくりが好き
設計士は建築物というモノづくりに携わる仕事であるため、モノづくりに興味があって好きな方にはオススメです。設計が主な仕事ですが、二つと同じ設計は存在しません。
常に時代の流れやクライアントのニーズの変化などに合わせながら対応することになります。自分の手で作ったものが世に出ることに、達成感や嬉しさを感じることができる方は、設計士に向いていると言えます。
問題を解決できるまで根気強く取り組める
設計は最初から最後までスムーズに進むケースはほとんどなく、発生した問題を解決できるまで根気強く取り組む能力が必要です。問題が発生した場合には、状況に合わせながら柔軟に対応しなければなりません。
問題解決に慣れると問題の原因となり得ることを予想できるようになりますが、問題発生を完全に防ぐことは不可能です。問題を解決するために根気強く取り組み、クライアントそれぞれのニーズに応えるまで努力できるかどうかが重要です。
常に新しい技術を取り入れる探求心
常に新しい技術を取り入れる探求心は長く仕事を続けるためには必要であり、探求心を持っていないと時代に残されてしまいます。昨日は最新だった技術が今日には古い技術になっているケースも多く、アンテナを張りながら行動することが大切です。どれほど優れている技術でも、具体的な技術内容について自身がしっかりと理解できていなければ、設計士の仕事に活かすことはできません。
しかし、優れている技術を高いレベルで身に付けられると仕事のいろいろな場面で効率的に進められます。そのため、身に付いた技術がどのように仕事に影響を与えるか試してみることがオススメです。
注意点としてはすべての技術がクライアントから依頼されている仕事に対応しているわけではなく、業務に効果的に活用できないと判断された際には見切ることも求められます。
新しい技術を積極的に取り入れるのは大切ですが、新しい技術だけに捉われずに以前からある技術との融合なども効率的に仕事を進めるためにも重要です。
周りとコミュニケーションを取りながら進められる
設計は自身の判断ですべてを進められるわけではなく、クライアントや上司、同僚など周りとコミュニケーションを取りながら進めることが求められます。自身の判断だけで進められる部分もありますが、自身が考えている内容と実際にクライアントから求められている内容がずれているケースは少なくありません。
依頼されている案件によってはほかの設計士のほうが慣れているケースも多く、そのような場合は案件内容や取り組み方、専門的な知識やノウハウを教えてもらうことがオススメです。一口に設計士といってもそれぞれで得意としている分野と苦手としている分野があるのは当然なので、そのようなことを教えてもらえるようにコミュニケーションを取ることが必要になります。
仮に、コミュニケーションを取らずに仕事をすると、思わぬ問題やトラブルに発展する可能性もあります。そのような事態を防ぐためにも、しっかりと周りとコミュニケーションを取っていきましょう。
まとめ|設計士への転職は資格取得しておいたほうが有利になる
設計士への転職は資格取得しておいたほうが有利になるため、働きながら少しずつでも資格取得するために取り組むことがオススメです。
しかし、一気に複数の資格取得を目指して行動すると負担が増えるため、本業があるなら少しずつ無理のない範囲で取り組みましょう。設計士になるためには資格を持っていなくても問題ありませんが、企業によっては資格取得者を優先的に採用しているケースも珍しくありません。
転職する際に自分にとって少しでも有利な条件で進められるように、設計士に関する資格取得も視野に入れることも検討してみてはいかがでしょうか。