ディスプレイ業界は、私たちの日常生活の中でもさまざまな場面で目にする業界です。店舗やイベントブース、オフィス空間など、さまざまな場所での内装や展示デザインを手掛けるこの業界は、創造性と技術を合わせた仕事が求められる分野となっています。
本記事では、ディスプレイ業界の仕事内容や必要なスキル、年収などについて詳しく解説します。ディスプレイ業界の魅力を深く掘り下げ、その可能性を探求していきましょう。
目次
ディスプレイ業界とは
まずは、ディスプレイ業界とはどのような仕事内容なのかを見ていきましょう。業界の将来性についても詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
ディスプレイ業界の仕事内容
ディスプレイ業界の仕事内容は、店舗や展示会ブース、オフィスなど、多岐にわたる空間の内装や展示に関するデザインを行うことです。個人的な店舗やオフィスだけではなく、駅や空港のような公共スペース、医療施設、美術館などの空間デザインなども含まれます。
代表的な仕事には、店舗設計や展示会のブースづくりがあり、業界大手の企業では市場調査から施工管理、販促まで総合的な空間づくりを行っています。
また、モーターショーやギフトショーなどの展示会では、来場者の目を引くブースづくりと商品の効果的なアピール方法を考えることが求められます。
ディスプレイ業界は、人々の生活に密接に関わる重要な仕事を担っており、その魅力とともに、人気の高い業界と言えるでしょう。
ディスプレイ業界の将来性
ディスプレイ業界の将来性は、現在の市場動向と技術の進展に大きく依存しています。2022年は全体的に低調な市場動向を示しましたが、2023年には前年比2%の増加が見込まれ、2024年にはさらなる回復が期待されています。
とくに、公共の場で展示されている大型ディスプレイの需要が高まっており、新たにディスプレイを設置するニーズが増加しています。
この業界の将来性は、デジタル技術の進化と密接に関連しています。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などの新しい技術を活用することで、ディスプレイ業界は新たな市場を開拓し、より革新的な空間デザインを提供することが可能になります。
また、オンラインイベントの増加やデジタル空間の需要の高まることによって、ディスプレイ業界に新たな機会が増えてきています。ディスプレイ業界は今後、さらなる成長と発展を遂げる可能性を秘めていると言えるでしょう。
ディスプレイ業界内の職種
ディスプレイ業界の中でも、仕事の内容は多岐にわたります。では具体的にどのような職種があるのでしょうか。大きなくくりとして4点挙げ、詳しく解説していきます。
営業職
ディスプレイ業界における営業職は一般的な営業職とは異なり、具体的な製品を売るのではなく、アイデアやデザインを売り込む業務がメインです。
この職種では、プロジェクトの立案からリーダーとしての役割を果たし、内装を考えている企業に対してアイデアやデザインのアプローチを行います。
契約が成立した後は、企画、デザイン、制作の各職種の人たちをまとめ、プロジェクトの指揮を取り、クライアントとの連絡を最前線で担当します。
営業職のやりがいは、プロジェクトを成功に導いた際の達成感にあります。また、この職種は責任が伴うため、コミュニケーション能力が高く、チームをリードできる信頼が厚い人材が求められます。
ディスプレイ業界の営業職は、学歴や経歴に関わらず、幅広い層からの応募が可能です。多様なプロジェクトに関わる機会があり、ディスプレイ業界の中でもとくにアグレッシブな職種の一つと言えるでしょう。
企画職
企画職は、プロジェクトのコンセプトを考え、具体化する重要な役割を担います。営業が獲得したクライアントと協力して、プロジェクトのアイデアを形にするのが主な仕事です。
クライアントの要望やイメージを具体的なプランに落とし込む能力や、プロジェクトの方向性を決定する核となる部分を担当し、デザイナーや制作チームに対して、プロジェクトのビジョンを明確に伝える能力も必要です。
企画職の魅力は、アイデアを形にし、それが実際の空間として具現化される過程にあります。企画したアイデアが目にみえて形になり、完成した時は喜びもひとしおです。
ディスプレイ業界において非常に重要な役割を担う企画職ですが、一般的にはとくに学科や資格の制限はなく、非常に多く求められています。企画職に就くためには、クリエイティブな思考と、プロジェクトを総合的に理解し、構築する能力が求められます。
デザイン
デザイナーの役割は、営業職や企画職が持ち帰ったアイデアやプランを具体的なデザインに落とし込むことです。
デザイナーは、色や形、図面の作成はもちろん、空間を演出する仕掛けやデジタルコンテンツのアイデアを考えることも含まれます。クライアントが納得するまで修正を行い、要望に応える柔軟性と忍耐力も求められます。
デザイナーの仕事は美しいビジュアルを作るだけでなく、そのデザインが実際の空間にどのように影響を与えるかを考える必要があります。このため、デザインに関する専門知識と経験、さらにはクライアントのニーズを理解し、それを形にする能力が不可欠です。
デザイナーとして活躍するためには、デザイン系の学科や専門学校を卒業していることが要件であったり、ポートフォリオ(デザイン制作物)の提出を求められたりすることがあります。
デザイン学科を卒業していることよりも、今までどのような制作物を作ってきたのかというポートフォリオの方が重視されることが多いです。自分が取り組んできた業務の内容をポートフォリオとして、まとめておきましょう。
制作職
制作職(技術職)は、デザイナーが考案した図面やデザインを実際の物理的な形に変える重要な役割を担います。
図面に基づいて現場の状況に合わせて修正を行ったり、実際に現場で組み立てたりする作業も含まれます。職人のように直接物を作ることもあれば、現場監督のように職人に指示する役割を果たすこともあります。
制作職は非常にアクティブな職種です。現場で働く体力と構造を理解する知識のほか、状況によっては勤務時間が不規則になる活動時間の多さも特徴です。大規模なショッピングモールなどの店舗内作業は、深夜に行われることもあるためです。
制作職はハードではありますが、実際に空間が形成されていく過程を目の当たりにできるため、大きな達成感を得られる職種です。
制作職には、建築学科やデザイン学科、芸術系の大学出身者が多いです。しかし、企業によっては出身学科を指定しない場合もあり、準備次第でこの職種に就く道も開かれます。
ディスプレイ業界に求められるスキル
ディスプレイ業界でキャリアアップするためには、どのようなスキルが求められるでしょうか。職種によっても変わりますが、全職種共通で持っていたら重宝されるスキルを4つご紹介します。
営業力
ディスプレイ業界における営業力は、クライアントに対してアイデアやデザインを提案し、プロジェクトを獲得・進捗する能力を指します。営業力の核となるのは、クライアントのニーズを正確に把握し、それに応じた提案を行う能力です。
また、プロジェクトが成功するためには、クライアントとの信頼関係を築き、継続的なコミュニケーションを保つことが不可欠です。営業力は営業職だけに必要だと思われがちですが、企画職やデザイナーもクライアントと直接話す機会もあります。その時には営業力が必要になります。
そのため、営業力は、どの職種に就くとしても求められる人材価値を上げるスキルと言えるでしょう。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、プロジェクトを成功に導くために必要なスキルです。クライアントやチームメンバー、外部の協力者との間で効果的なコミュニケーションを取ることが求められます。
具体的には、リスニングスキルや説得力、チーム内での協調性も含まれます。プロジェクトの進行においては、進捗報告やトラブル対応を迅速かつ適切に行うことが重要です。これにより、チーム内の信頼関係を構築し、プロジェクトをスムーズに進められます。
プロジェクト成功を実現するため、コミュニケーション能力は業務のあらゆる面で重要視されています。
想像力
ディスプレイ業界での仕事は、空間デザインを通じて人々の心を動かすことを目的としています。想像力とは、クライアントの要望やアイデアを具体的なビジュアルや空間に変換する能力を指します。
デザインが実際の空間にどのように影響を与え、人々の感情や行動にどのように作用するかを、プロとして想像する必要があります。
たとえば展示会のブースデザインでは、来場者の注意を引きつけ、商品やサービスに対する興味を喚起するためのアプローチをどうするべきかを想像します。また店舗設計では、ブランドのイメージを強化し、顧客のショッピング体験を向上させるための独創的なアイデアが必要です。
このように、実用的かつ魅力的な空間を創造するためには高いレベルの想像力が求められます。
デザインスキル
デザインスキルはプロジェクトの成功に不可欠な要素です。デザイナーは、プランナーが考案したコンセプトをビジュアルとして形にする役割を担います。
色や形、図面の作成能力はもちろん、空間を演出する仕掛けやデジタルコンテンツのアイデアを考える創造性も求められます。クライアントの要望に応じて何度も修正を行い、細かな変更に柔軟に対応する能力が必要です。
デザインスキルは、クリエイティブな才能と技術的なスキルを兼ね備えた専門性の高いスキルです。
ディスプレイ業界の年収
職種や経験、勤務先の企業によって大きく異なりますが、一般的にディスプレイデザイナーの平均給与は25万円から40万円前後です。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、平均年収は38.3歳で約481万円程度で、年齢が上がるにつれて年収も上昇する傾向となっています。
さらに、25歳から29歳のディスプレイデザイナーの平均賞与は約86.6万円、50歳から54歳では約138.6万円となっています。給与と同じく賞与も経験や実績に応じて上昇することを示しています。
ディスプレイ業界では、経験やスキルが収入に直結し、とくにデザイン会社での勤務経験や実績が評価される傾向にあります。また、フリーランスとして独立した場合、より高い収入を得る可能性もあります。
*参考 ディスプレイデザイナーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
ディスプレイ業界のスキルが活かせる業界とは
ディスプレイ業界で磨かれたスキルは、展示会やイベント業界で重宝されていることはご存知でしょうか。この業界では空間を魅力的に演出し、来場者の注目を集めることが求められるため、デザイン力や空間構成のセンスが直接役立ちます。
具体的には、展示会のブースデザインやイベントの会場設営に活かされます。ここで重要なのは、限られた空間内でいかに効果的に商品やサービスを紹介し、ブランドイメージを高めるかという点です。
ディスプレイ業界での経験は、このような場面での創造的なアイデア提供や、実際の空間構築において大きな強みとなります。
ディスプレイ業界で培ったスキルは、展示会やイベント業界でのキャリア形成において、大きなアドバンテージとなるでしょう。
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上述したように、ディスプレイ業界のスキルが展示会・イベント業界にとって重宝されています。
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*参考 職人BASE
まとめ|スキルを活用し、ディスプレイ業界で活躍しよう
今回の記事を通して、空間づくりに興味を持っている人にとっては非常に興味深い業界であり、すでに業界で働いている人にとっては、この業界で飛躍したいと思える内容だったのではないでしょうか。
ディスプレイ業界は、私たちの日常生活に深く根ざした重要な役割を担っている業界であり、今後も私たちの生活をよりよいものに彩ってくれるでしょう。
魅力あるディスプレイ業界で、これからも自分の人材価値を高めていきましょう。