「クリエイティブな仕事がしたい」「人々に感動を与える空間づくりに携わりたい」と考える若手にとって、ディスプレイ業界は非常に魅力的な選択肢です。ショーウィンドウ、展示会、イベント会場など、私たちの身の回りにあるあらゆる空間をデザインし、人々の心を動かす仕事、それがディスプレイ業界の醍醐味です。
本記事では、ディスプレイ業界の基礎知識から、若手が早期にスキルを身につける方法、将来のキャリアアップの可能性まで詳しく紹介します。
目次
ディスプレイ業界とは?その魅力と現状
「ディスプレイ」と聞くと、パソコンやスマートフォンの“画面”をイメージする方もいるかもしれません。しかし、ディスプレイ業界における「ディスプレイ」は、“展示”や“空間演出”を意味します。商業施設やイベント会場、ブランドショップなど、さまざまな空間を装飾・デザインし、来場者の印象や行動に影響を与える役割を担っています。
単に空間を美しく整えるだけでなく、クライアントの目的に沿って来場者の体験価値を高めることが使命です。空間設計、照明、音響、装飾、グラフィックなど多様な要素を組み合わせ、五感に訴える表現ができるのも、この業界ならではの魅力。自分のアイデアが形になり、人々の感動や笑顔を生む瞬間に立ち会えるやりがいがあります。
一方で、設営や撤収、地道な準備作業、不規則な勤務など、タフな一面もあります。しかし、近年は人手不足が課題となっており、実務経験を積めば若手でも早期に活躍できるチャンスがあります。創造力と行動力を活かしたい方にとって、まさに“今が狙い目”の業界です。
市場規模と成長性
矢野経済研究所の調査によれば、コロナ禍で一時的にイベント市場が落ち込んだものの、国内ディスプレイ業界の市場規模は2023年度に1兆6,000億円(前年比16.8%増)に達し、2024年度には1兆7,900億円へと拡大が見込まれています。大阪・関西万博や都心の再開発など、大型案件の増加が追い風となっており、今後も成長が期待されています。
*参考 矢野経済研究所
主な職種と仕事内容
この業界では、主に以下の4つの職種が中心となります。
営業職
一般的な営業職とは異なり、具体的な製品を売るのではなく、クライアントの課題を解決するためのアイデアやデザインを提案するのが営業職の特徴です。プロジェクトの立案段階から関わり、企画、デザイン、制作の各チームをまとめ、進行のハブとなってクライアント対応を行います。コミュニケーション能力とリーダーシップが重視され、学歴や職歴を問わず挑戦できる職種でもあります。
企画職
営業が獲得した案件をもとに、コンセプトを立案し、具体的なプランへと落とし込む役割を担います。クライアントの要望やイメージを的確に捉え、デザイナーや制作スタッフに明確に伝えるための橋渡し的な存在です。クリエイティブな発想力と論理的な構成力、そして高い対話力が求められます。
デザイナー
企画職が描いたビジョンを、図面やパース、空間構成などの具体的なデザインに落とし込みます。什器やグラフィック、照明や映像など、さまざまな要素を使って視覚的に訴求する空間を設計します。特にポートフォリオの提出が重視される職種であり、インテリアプランナーやカラーコーディネーターなどの資格取得も有利です。
制作職
設計された図面をもとに、現場で実際に施工を行う職種です。デザイナーや企画職と連携しながら、空間を物理的に具現化する重要な役割を果たします。職人のように直接物を作ることもあれば、現場監督のように職人に指示を出す役割を果たすこともあります。現場対応力とチームマネジメント、柔軟な判断力が求められ、夜間や休日に施工が行われる場合もあるため、不規則な勤務が発生することもあります。
若手が求められるスキル・資質
ディスプレイ業界で活躍するためには、多岐にわたるビジネススキルが必要です。特に若手が早期に頭角を現すためには、以下のスキルや資質を意識して磨くことが重要です。
コミュニケーション力
多職種と協働するため、意見の共有・調整、的確な指示を出すことが求められます。クライアントの抽象的なイメージを具体化するためには、細やかなコミュニケーション能力が不可欠です。
- 意見を聞く力: クライアントやチームメンバーの要望や課題を正確に理解する。
- 意見をまとめる力: 複数の意見や情報を整理し、共通の方向性を見出す。
- 的確に指示を出す力: 複雑な状況下でも、簡潔かつ明確に指示を伝え、関係者が迷わず動けるようにする。
- 交渉・折衝力: 異なる立場の意見を調整し、全員が納得できる解決策を導き出す。
進捗管理能力
イベントは多くの業務が同時進行し、限られた時間の中で準備を進める必要があります。複数の作業を同時に進行・調整・管理する能力が不可欠です。
- タスク管理: ToDoリストやスケジュール管理ツールを駆使し、締め切りを厳守する。
- リスク管理: 不測の事態を予測し、トラブル発生時に冷静かつ迅速に対応する能力。
クリエイティブ思考
「他にはない体験」を参加者に提供するためには、独自のアイデアを生み出す発想力が求められます。「プラスの提案」ができる能力は高く評価されます。
- 問題解決志向: 「どうしたらもっと面白くなるか」を常に考え、新しい解決策を提案する。
- 美的センスと技術的知識: デザイン、色、形、照明、音響などを効果的に組み合わせ、魅力的な空間を創造する。
継続的な学習意欲
イベント業界は常にトレンドが移り変わり、使用できる技術も進化しています。演出や技術の最新トレンドを常に把握し、知識・情報を求め続ける姿勢が不可欠です。
- 好奇心: 新しい技術(XR、メタバースなど)や表現方法に積極的に興味を持ち、学ぶ。
- 情報収集力: 業界誌、オンラインメディア、セミナーなどを活用し、常に最新の情報を仕入れる。
体力と根気
イベント業界の仕事は、華やかなイメージとは裏腹に、地道でタフな作業の連続です。特にイベント本番中は、不規則な勤務や長時間労働が発生することもあります。
- 精神的なタフさ: アイデアが思い浮かばない、企画が通らないといった困難な状況でも諦めずに取り組む。
- フットワークの軽さ: 現場での突発的な作業にも柔軟に対応できる。
スキルを早期に身につける方法
- 実務経験を積む:イベントスタッフのバイトやインターンで実務経験を積むことができます。実際の仕事を体験できる長期インターンシップを実施している会社もあり、業界の雰囲気や仕事の流れを肌で感じる貴重な機会となります。
- 資格取得:ディスプレイ業界は「士業」のように必須の資格はありませんが、専門知識を習得し、対外的に示すための民間資格や国家資格が存在します。これらは自己成長だけでなく、キャリアアップにも有効です。
- ポートフォリオ作成:デザインや制作職を志望する場合、ポートフォリオの提出はほぼ必須です。自分のスキル、得意分野、そして将来やりたいことを短時間で分かりやすく伝えるための重要なツールとなります。
- 企業研究・業界研究:ディスプレイ業界は、音楽ライブ、展示会、スポーツ大会、地域イベント、ビジネス系イベントなど、取り扱うジャンルが多岐にわたります。自分がどのような価値を社会に提供したいのか、どのジャンルに興味があるのかを明確にすることが、業界理解の第一歩です。
*参考 就活市場
ディスプレイ業界の将来性とキャリアアップの可能性
ディスプレイ業界は、コロナ禍からの本格的な回復と、大阪・関西万博のような大型プロジェクト、そして技術革新によって、今後も成長が期待される業界です。
キャリアアップの道筋
一般的なイベント業界のキャリアステップとしては、まず現場経験を積み、若手でディレクターやプランナーとして進行管理や企画提案を担当し、中堅でイベントプロデューサーとして全体の統括を担ったり、特定の専門分野に特化したりする道があります。シニア層になると、経営や戦略立案に関わるようになり、独立・フリーランスとして活躍することも可能です。
新しいトレンドと機会
- デジタルイベント・ハイブリッドイベントの普及: コロナ禍で加速したデジタル化は、オンラインとリアルの両方を統合的に設計する「体験型マーケティング」の進化を促しています。オンラインならではの魅力を引き出す企画力や、デジタル技術への深い理解がますます重要になります。
- 新技術との融合: XRやメタバースといった新技術は、イベント空間に新たな表現の可能性をもたらしています。これらの技術を取り入れ、これまでにない体験を創造できるクリエイターは、今後ますます重宝されるでしょう。
- SDGsや地域共創: 持続可能な社会への貢献(SDGs)や、地域を活性化する社会貢献型イベントも注目されており、社会的意義の大きな仕事に携わる機会も増えています。
- 新規事業領域の開拓: ディスプレイ業界は、既存の「空間づくり」の枠を超え、コンサルティングや不動産事業など、新たな領域へも事業を拡大しています。これにより、多様なスキルを持った人材が活躍できる場が広がっています。
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まとめ
ディスプレイ業界は、感動体験を提供する空間づくりに携われる魅力的なフィールドです。実務経験、資格、スキルアップを積み重ねることで、若手でも早期に活躍することが可能です。
若手が早期に活躍するには、「イベントが好き」という気持ちに加えて、ビジネススキルやチームワーク、継続的な学びの姿勢が欠かせません。特にコミュニケーション力や進行管理スキル、柔軟な対応力は、現場で信頼されるための重要な要素です。
今後、ディスプレイ業界はリアルとデジタルの融合、新技術の活用、地域共創などの広がりを見せながら、さらに成長していくと予想されます。変化に柔軟に対応し、常に新しい挑戦を楽しめる人にとっては、無限の可能性が広がるフィールドです。
ぜひ本記事を参考に、あなた自身の強みや興味を活かして、このクリエイティブな世界に飛び込んでみてください。