「施工管理」と聞くと、建築業界のイメージが強いかもしれませんが、展示会やライブ、各種プロモーションなどを支えるイベント業界にも、施工管理のプロフェッショナルが欠かせません。
本記事では、イベント業界で活躍する施工管理の仕事内容や、建築との違い、年収やキャリアパス、必要な資格・スキル、仕事の探し方まで詳しく解説します。
イベント業界で施工管理として働きたい方、現場経験を活かしてキャリアアップしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
イベント施工管理の仕事内容とは?
イベント施工管理の主な役割は、設営から撤去までの現場全体を安全かつスムーズに進行させることです。現場では以下のような業務を担います。
工程管理
イベントの準備期間は限られており、会場の使用時間にも制約があります。その中で、施工開始から本番までのタイトなスケジュールを設計し、各工程が無理なく遂行されるよう進捗を管理します。仮に天候や搬入遅れなどの要因でスケジュールが狂った場合には、即座に対応策を講じ、全体に影響が出ないよう再調整を行う柔軟さも求められます。
資材・人員の手配
イベント設営には、仮設のパネルやステージ資材、照明・音響機器、看板、誘導用備品など、さまざまな物資が必要です。これらを必要な数量・タイミングで手配し、スムーズに搬入・搬出できるようトラックの導線や倉庫の動線まで計画します。同時に、搬入作業や設営を担当するアルバイトスタッフや協力会社の職人のスケジュール調整・管理も行い、現場での人員不足や重複を防ぎます。
関係者との連携・調整
施主や会場担当者、設計者、そして照明・音響・電気・美術など各専門業者との間で、設営内容やタイミングをすり合わせる必要があります。加えて、仮設構造物を使用する場合には、所轄の消防署や自治体へ申請や報告を行うケースもあり、行政との折衝も施工管理者が担うことになります。
安全管理・品質チェック
ステージや装飾の転倒防止策、観客の動線確保、避難経路の設置確認、使用資材の耐荷重チェックなど、安全面での確認は徹底が求められます。また、設計図や施工図に基づいて適切に設営されているか、寸法や設置位置が正確かを逐一確認し、問題があれば早期に是正します。こうした対応により、安全性だけでなく、イベント全体のクオリティも担保されます。
各種事務作業
日々の進捗や工事内容を記録する工程表や日報の作成、施工の証拠となる現場写真の撮影・整理、さらには請求書や発注書、報告書といった各種書類の作成も行います。また、工事にかかる資材費や人件費などのコストを管理し、原価を把握・調整しながら赤字を出さないようにコントロールするのも、施工管理者の大事な役割です。
このように、イベント施工管理の仕事は、現場と事務、感覚と理論、スピードと正確さをバランスよく持ち合わせることが求められる、非常に専門性の高いポジションだと言えるでしょう。現場を円滑に進めるための段取り力と、その場の判断力、そして関係者を巻き込む調整力。この3つのスキルが融合してこそ、イベント施工管理者として現場を任される信頼につながります。
建築や内装の施工管理と何が違う?
イベント施工管理は、“短期集中”で変化が多い現場を担当する点で、建築や内装の施工管理とは大きく異なります。
イベント現場では、「段取り力」と「その場の判断力」が重視されるため、短期間で結果を出す仕事が得意な方には向いている仕事です。
年収・待遇の相場感は?
施工管理職の年収は、雇用形態や保有資格・経験年数などによって大きく異なります。
雇用形態 | 年収目安 | 特徴 |
正社員 | 約500~1000万円前後 | 福利厚生あり・安定重視
保有資格次第 |
フリーランス・業務委託 | 案件次第で500〜1000万円も可 | 自由度が高く、実力次第
受注案件規模次第 |
派遣社員 | 400万円前後 | ワークライフバランス重視 |
また、資格別・年齢別の平均年収も参考になります。(施工管理職全体)
- 20代後半:約479万円
- 30代後半:約676万円
- 50代後半:約795万
施工管理職は業界の中でも比較的年収が高い職種であり、スキルや実績次第で高収入を目指せるのが魅力です。
*参考 job tag
必要なスキル・役立つ資格
● 求められるスキル
- 図面・仕様書の読解力
- 段取り・進行管理能力
- トラブル対応・現場判断力
- 多職種との調整力・リーダーシップ
- CAD操作スキル(AutoCADなど)
● 活かせる資格
- 1級・2級施工管理技士(建築/電気/管工事)
- 建築士
- 電気工事士・フォークリフト・普通免許 など
特に、1級・2級施工管理技士は、専門性が評価されやすい資格で、キャリアアップや年収向上にもつながります。
*参考 FUN WORK
キャリアパスの例
施工管理のキャリアは、以下のようなステップで進むのが一般的です。
- アシスタント(未経験):先輩について現場の流れを学ぶ。小規模な現場の一部を任される。
- 現場担当:小~中規模案件の担当として、工程・原価・人員などの管理を任される。実務全体の進行を自ら采配する。
- チーフ・リーダー:案件・現場のまとめ役として、中規模以上の案件を担当する。安全・品質の全体管理だけでなく、進行トラブルへの対応力や、関係者との調整力がより一層求められる。
- スペシャリスト:大規模イベント施工の全体統括を任される。1級施工管理技士などの資格を保有している人も多く、チームマネジメントや後進育成も求められるポジション。
正社員のほか、業務委託やフリーランスとして独立する人も増加しています。
イベント施工管理を未経験から始めるには?
イベント施工管理は、未経験からでもチャレンジできる仕事です。特に、設営や運営スタッフなどの現場経験がある方は、流れを理解しやすく、施工管理アシスタントとしてのスタートに向いています。
最初は、先輩について現場の流れや個々の業務を学びます。その後、現場の補助業務から始まり、少しずつ図面の読み方や工程管理、安全管理などの知識を身につけていきます。未経験歓迎の求人も多く、育成前提で採用している企業もあります。
資格がなくても始められますが、実務経験を積んだ後に「2級施工管理技士」などを取得すれば、より責任あるポジションを目指すことができます。年収アップやキャリアの選択肢も広がります。
職人BASEでは、施工管理の経験者向け求人を中心に、育成枠や補助業務から始められる案件も掲載しています。正社員・業務委託・スポット案件など、柔軟な働き方に対応しているのも魅力です。
まずは現場で経験を積みながら、自分に合ったキャリアを築いていきましょう。
イベント施工管理の仕事を探すには?
一般の求人サイトでは探しにくい?
イベント業界の施工管理職は「施工管理」というカテゴリでまとめられておらず、「制作」「進行」「設営ディレクター」などの名称で掲載されているケースも多く、検索では見つけにくいことがあります。
また、単発や業務委託案件は一般求人サイトではカバーしきれないため、見逃しやすいのが実情です。
職人BASEなら見つかる!
職人BASEでは、イベント業界に特化した施工管理案件を多数掲載中。特徴は以下の通りです。
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- 現場経験者向けの高単価案件が多い
- 正社員/業務委託/スポットなど柔軟な働き方に対応
- 空間・電気・音響など専門業者との協業実績豊富な企業が中心
- 育成枠や補助業務から始められる求人案件
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まとめ
イベント業界の施工管理は、短期集中型の現場で高い調整力と即応力が求められる、やりがいのある職種です。建築や内装施工管理と共通する部分も多く、経験者にとっては新たなフィールドとしてキャリアの幅を広げることができます。
資格や経験を活かし、働き方の選択肢も広がるこの分野で、あなたも次の一歩を踏み出してみませんか?