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今、イベント企画職が中途採用で求められている理由
2025年の転職市場では、依然として「売り手市場」の傾向が続くと予想されており、特に即戦力となる中途採用のニーズは高まり続けています。その背景には「2025年問題」とも言われる労働人口の本格的な減少があり、企業はこれまで以上に、経験者採用を通じたスピーディな人材確保を重視しています。
こうした中、イベント業界、とりわけイベント企画職は今、大きな転換期を迎えています。コロナ禍を経てオンライン・オフラインを組み合わせたハイブリッドイベントが一般化し、求められるスキルセットが従来とは大きく変化。「デジタル×戦略×現場力」を兼ね備えた人材こそが、今もっとも必要とされています。
中でも特に注目されているのが、急速なデジタル化への対応力です。AIやAR/VR、ライブストリーミング、イベントアプリ、データ分析など、イベントの現場にはテクノロジーが次々と導入され、体験設計はより多層的・個別化されたものへと進化しています。これに対応できるプランナーの需要は非常に高く、テックリテラシーの高い中途人材は即戦力として歓迎されます。
また、2025年の給与調査でも「クリエイティブ/イベント系職」はIT専門職に次ぐ高年収領域として注目されており、企業のニーズの高さがうかがえます。大規模イベントやブランドの戦略的プロモーションに携わる機会も多いため、ビジネス成果を左右するポジションとして、高いプロフェッショナリズムと戦略的思考力が求められています。
加えて、即戦力として求められるのは、ただ「イベントをやったことがある」だけではなく、ROIを見据えた設計や問題解決能力、調整力を備えた人材です。特にクライアントの課題を正確に把握し、施策に落とし込める力や、イベントを通じて成果を上げる実行力は、選考における大きな評価ポイントとなります。
さらに、資格面でも「イベント業務管理士」などの民間資格が再注目されており、一定のスキルを客観的に証明できる要素として有利に働くケースも増えています。こうした背景から、“経験+実績+最新スキル”を備えた企画職人材が今、強く求められているのです。
イベントの現場は、つねに新しい技術と価値観の交差点です。中途だからこそ活かせる「過去の経験」と、変化に対応する「新しい学び」への姿勢が、キャリアの可能性を大きく広げてくれるはずです。
*参考 みんなの採用部
イベント企画職とは?仕事内容と必要なスキル
展示会やフェス、企業のプロモーションイベント、地域のお祭りなど、私たちの生活には様々なイベントが存在します。それらを一から企画し、形にしていく専門職が「イベント企画職」です。現代では「モノ消費」から「コト消費」へ、さらに「トキ消費」(その瞬間しか得られない体験)への価値観のシフトが起きており、イベントの重要性はますます高まっています。
イベント企画職の仕事内容
イベント企画職の仕事は、単に「面白い企画を考える」だけにとどまりません。クライアントの要望をもとに、イベントの目的やターゲットを明確にし、成功に導くための戦略を立てるところから始まります。実施までの流れは次のとおりです。
- 企画立案:主催者の課題や目的(集客、PR、販売促進など)に応じたイベントコンセプトを設計します。似たような内容でもターゲットを変えることで新たな切り口が生まれるなど、独自性が重視されます。
- 提案・営業活動:企画内容を企業や自治体に提案する営業的な役割も担います。案件獲得のために他社とコンペになることもあります。
- 集客・プロモーション:イベントの成功には集客が不可欠です。チラシや広告の制作に加え、SNSを活用したプロモーションなど、オンライン施策の知識も求められます。
- 準備・調整:会場・人員・機材・備品の手配、進行スケジュール作成、広報物の手配など、イベント実施に必要な全ての準備を統括します。
- 当日の運営管理:当日は現場全体をコントロールし、トラブル対応にも臨機応変に動きます。
求められるスキルと資質
イベント企画職には、幅広いスキルと人間力が求められます。
- 発想力と行動力:イベントの企画には独創的なアイデアと、多くの現場を見て学ぶ好奇心が不可欠です。
- 論理的思考力:なぜこのイベントなのか、どうやって成功に導くかを説明するために、企画には根拠が求められます。
- 進行管理・マネジメント能力:多様な関係者と業務を円滑に進めるための統括力と調整力が必要です。
- コミュニケーション・プレゼン力:現場スタッフやクライアントに対して、自分の意図や企画を正確に伝える力が成功の鍵です。
- 責任感と柔軟性:当日までにはさまざまな問題が発生します。どんな状況でも冷静に対処できる力が問われます。
資格は必要?
イベント企画職に国家資格はありませんが、「イベント検定」や「イベント業務管理士」など、業界の専門知識を示す資格は存在します。転職やスキルアップの際のアピール材料として有効ですが、何よりも重要なのは、実際の現場で得た経験と実績です。
中途採用市場の動向とイベント企画職の求人トレンド
現在の転職市場は、依然として「売り手市場」が続いています。2024年4月時点の有効求人倍率は1.26倍と、求職者が選択肢を持てる状況にあり、正社員としての転職率も過去最高水準の7.5%に達しました。特に30代~50代のミドル層における転職意欲の高まりが顕著であり、中途採用の重要性はますます増しています。
売り手市場が続く背景とは?
この売り手市場の背景には、企業の採用活動の再加速と、労働者側の価値観の変化があります。コロナ禍以降、働き方が柔軟になり、テレワークやフレックス制度の導入が進みました。加えて、求職者は「給与」だけでなく「働きがい」や「共感できるビジョン」「プライベートの充実」なども重視する傾向にあり、企業側にはより多様なニーズへの対応力が求められています。
また、選考段階においても、応募後のレスポンスの早さや、面接官の対応の柔らかさなど、企業姿勢そのものが入社判断に直結しています。このような環境下で、企業は即戦力人材の獲得に向けて、選考スピードや柔軟な働き方の提示といった「候補者ファースト」の取り組みを強化しています。
回復と成長を続けるイベント業界
こうした中、イベント業界は急速な回復とともに、新たな成長フェーズへと突入しています。特に注目されているのが、イベント企画職の求人ニーズの増加です。
2023年にはライブ・エンタテインメント市場がコロナ前を上回る6,800億円を突破し、2024年以降も右肩上がりの成長が予測されています。背景には、大規模イベントの再開、チケット単価の上昇、そして新しい技術を活用した体験型コンテンツの普及があります。
求人ニーズが高まる理由
イベント企画職のニーズが特に高まっている理由は、大きく以下のようなトレンドによるものです。
- ハイブリッドイベントの定着:オンラインとオフラインを組み合わせたイベントがスタンダードとなり、配信・演出・運営を統合的に設計できる人材の重要性が増しています。
- リアルイベントの再評価:非日常的な空間演出や「その場の体験」へのニーズが高まり、来場者参加型の企画や演出に対応できるスキルが求められています。
- 新技術との融合:XRやメタバース、AIなどの技術を取り入れた体験価値の設計が進んでおり、従来の手法にとらわれない柔軟な発想とITリテラシーが重要視されています。
- SDGs・地域貢献への対応:サステナブルなイベント運営や地域活性化に貢献できる企画設計が重視されるようになり、社会的視点を持つ企画力が評価されています。
求人市場の今後の見通し
イベント業界は今後も成長が期待される分野であり、特に「企画・運営」「演出」「プロデュース」などに関わる職種は、デジタル・リアル両面でのスキルを持つ即戦力人材を中心に、求人が活発に行われると予想されます。さらに、eスポーツや地域創生型イベント、企業のブランディング戦略と連動した企画など、活躍のフィールドも広がりつつあります。
中途採用市場の流れを捉えた今、経験者がこれまでのキャリアを活かし、より柔軟かつ成長性のある環境へチャレンジするには絶好のタイミングだといえるでしょう。
*参考 就活市場
中途でイベント企画職に転職するメリットと壁
イベント業界では、プロジェクトをゼロから形にする「企画職」のニーズが年々高まっています。中途でこの職種に挑戦することには、キャリアアップや待遇改善といったメリットがある一方で、独自の難しさも存在します。ここでは、イベント企画職への転職で得られる価値と、乗り越えるべきハードルを整理します。
転職で得られるメリット
- 上流工程へのチャレンジ
イベント企画職では、クライアントの要望を起点に、ターゲットの設定や企画立案、プロモーション戦略の設計など、プロジェクトの「上流」にあたるフェーズを担います。これまで制作や運営など「現場中心」での経験が多かった人にとっては、自身のアイデアが企画段階から反映されるポジションへのステップアップが実現できます。 - 組織やプロジェクトを主導するポジション獲得
中途採用では、即戦力としてプロジェクトをまとめる「リーダーポジション」が期待されるケースも多く、進行管理や他部門との調整、チームビルディングなどを担う機会も広がります。特に30代以降の転職では、単なるプレイヤーではなく、マネージャーやプランナーとしてのポジション獲得が現実的です。 - 給与アップ・待遇改善のチャンス
イベント企画職は、企業のプロモーション活動やブランド戦略の中核を担う役割であり、その専門性が高く評価されています。近年は、ライブ・イベント市場の成長やデジタル領域の拡大も追い風となり、平均年収の底上げが進んでいます。前職での成果やスキルが明確であれば、年収アップを狙える可能性は十分にあります。
難しさ・壁となりやすいポイント
- 企画職に求められるスピードと発想力
イベント企画の現場では、短期間で魅力的かつ実現可能な企画を考えるスピード感が求められます。限られた予算や日程の中で、独自性を出しながらも現実的な提案を練り上げる力は、中途入社者にとって最初の壁になりがちです。業界特有の進行スピードに慣れるには、現場感覚をつかむためのトレーニング期間が必要となることもあります。 - 過去実績の証明(ポートフォリオなど)
企画職への転職では、「どんな企画を考え、どう実現させたか」という実績を言語化・可視化することが重要です。プレゼン資料や企画書のサンプル、関与したイベントの概要などをまとめたポートフォリオは、選考で大きな武器になります。一方で、過去の経験が非公開案件ばかりの場合は、成果を具体的に伝える工夫が必要です。 - マネジメント経験の有無による選考ハードル
中途採用で求められるのは「自走できる人材」です。とりわけイベント企画職では、スタッフ管理や外注先との連携、複数案件の同時進行など、プロジェクトマネジメントの能力が重視されます。そのため、マネジメント経験が浅い場合は、選考で不利になることも。自分がチーム内で担っていた役割や、調整・統括した経験を具体的に整理し、アピールできるよう準備しておきましょう。
*参考 wovie
*参考 PRONIアイミツ
求人選びで見るべきポイント【経験者向け】
イベント業界で経験を積んできた方にとって、転職はキャリアのステップアップにもなり得る重要な機会です。特に中途採用の場合、自分のスキルや実績を活かせる環境を選ぶことが、その後の成長や満足度に大きく影響します。ここでは、求人を見極める際に注目すべき3つの視点をご紹介します。
案件ジャンル・業務範囲の確認
まずは、取り扱う案件のジャンルや自身が関わる業務範囲をしっかりと確認しましょう。イベントと一口に言っても、企業のプロモーション、行政・自治体案件、スポーツイベント、エンタメ・音楽フェス、学会・カンファレンスなど、ジャンルは多岐にわたります。自分が得意とする領域や、これから挑戦したい分野にマッチしているかを見極めることが重要です。
また、企画・提案のみを行うのか、運営・進行・制作まで一貫して携わるのか、あるいはプロデュース全体を担うポジションなのかも確認が必要です。業務の広さ・深さは企業や案件規模によって異なるため、自分の希望やスキルに合った業務内容かどうかを見ておきましょう。
チーム体制と社風
イベントはチームでつくるもの。誰と働くか、どのような体制で進行するのかは、働きやすさに直結します。経験者として入社する場合、社内でのポジションや関与するメンバーとの関係性も大切な判断材料になります。
例えば、少数精鋭で裁量を持って動ける職場か、分業体制で役割が明確な大手企業か。あるいは、新しいアイデアを歓迎する文化があるか、経験に基づいた堅実な運営を重視するか。求人情報や面接時に、組織のカルチャーやチームの雰囲気を確認するようにしましょう。
また、女性の働きやすさや育児との両立、副業の可否、在宅勤務制度の有無なども、自身のライフステージや価値観に合っているか確認することが重要です。
自分の経験が活かせるかどうか
最後に、自分がこれまで積み重ねてきた経験やスキルが、どの程度活かせそうかを見極めることも非常に重要です。特に中途採用では、即戦力としての活躍が期待されるため、自分の得意分野と企業側のニーズがマッチしているかを冷静に分析しましょう。
たとえば、自治体案件での企画経験がある、音楽イベントでの制作管理が得意、プロモーション施策の提案に強みがある、など自分の「武器」を明確にした上で、それを求めている企業かどうかをチェックします。
加えて、自分の経験にプラスして、新たにチャレンジできる領域があるかも大切です。キャリアの幅を広げるうえで、「活かせる」と同時に「伸ばせる」環境かどうかを見極めると、転職後の成長スピードも加速します。
選考突破の鍵は「即戦力としてどう貢献できるか」
イベント企画職の中途採用では、即戦力としての実績・スキル・熱意が重視されます。ここでは、選考対策として準備すべきポイントを紹介します。
履歴書・職務経歴書は「成果」を具体的に
履歴書は丁寧かつ読みやすいレイアウトを意識しつつ、志望動機欄には「なぜイベント業界か」「なぜその企業か」「自分のどんな強みが活かせるか」を簡潔に明記しましょう。
職務経歴書では、イベントの名称や開催規模、企画内容、担当フェーズ(企画/制作/運営)を具体的に。できれば数字(参加者数、SNS反響、売上など)で成果を示すと説得力が増します。
面接でよく聞かれる質問と答え方のポイント
中途採用の面接では、以下のような質問がよく出ます
- 「過去に企画した中で、印象的なイベントは?」
- 「困難をどう乗り越えたか?トラブル対応の経験は?」
- 「クライアントの要望に応えた工夫は?」
- 「なぜ転職を考えたのか?」
これらに対しては、「課題 → 行動 → 結果」の流れで具体的なエピソードを用意しておくのが基本です。企業は“再現性”のある成果を見ています。
ポートフォリオは用意すべき?
ポートフォリオは「あると強い」武器です。イベントの企画書、運営マニュアル、ビジュアル資料、会場写真など、プロジェクトの全体像が伝わるような内容が理想です。動画がある場合はリンクを添えるのも◎。守秘義務のある案件は、内容を一部加工して載せるか、概要のみ記載しておくと良いでしょう。
その他の準備ポイント
業界理解と志望企業研究:イベント業界全体のトレンド(ハイブリッド化、AR/VR活用、SDGsとの連動など)を把握し、志望企業がどの領域に強みを持つかも調べておくこと。
最新のスキルアップ情報の整理:資格(イベント業務管理士など)やデジタル系スキル(イベント管理ソフト、SNS運用、ライブ配信ツール)の習得意欲もアピールポイントになります。
自己分析の深掘り:「どんなイベントを手がけたいか」「自分の強みはどこか」を整理しておくことで、応募先ごとの面接対応もスムーズになります。
まとめ|経験を活かし、変化の時代をリードする企画職へ
イベント業界は今、新しい成長フェーズに突入しています。コロナ禍を経て求められるスキルや価値観は大きく変わり、「即戦力」かつ「アップデートされ続ける人材」こそが求められています。
中途でイベント企画職を目指すことは、単なる転職ではなく、これまで培った現場力やコミュニケーション力を活かしながら、「企画」「戦略」「テクノロジー」の領域へとスキルの幅を広げるチャンスです。
特に、成果に直結する企画提案力や、マネジメント経験、デジタルリテラシーは選考時の大きな武器となります。
とはいえ、イベント企画職は華やかさの裏に、泥臭く地道な業務が多い職種。だからこそ、「イベントで誰かを喜ばせたい」「非日常の空間を生み出したい」という想いと覚悟が、最終的に選考を突破する原動力になります。
求人の見極め、選考準備、そして自分自身の棚卸し——。それぞれを丁寧に行うことで、自分らしいキャリアアップがきっと実現できるはずです。
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