コロナ禍が明けて各地で多くのイベントが開催されるようになり、イベント業界にも活気が戻ってきました。そのような状況の中で、イベントを企画運営するイベントプランナーの仕事に興味を示す人も多いのではないでしょうか。
本記事では、イベントプランナーに転職を考えている人のために、持っていると有利になる資格や、向いている人の特徴などを解説しています。転職活動の参考として、理想の自分になれる一助になれば幸いです。
目次
イベントプランナーの仕事内容
イベントを実現するためには、イベント開催まで企画からいくつもの行程を経る必要があります。ここでは、イベントプランナーの実際の仕事内容について解説します。これからイベントプランナーへの転職を考えるための、参考にしてみてください。
イベントの企画
イベントの開催目的を理解し、市場調査や分析をした上で効果的なイベントプランを立案します。集客できそうなイベントの立案は、イベントプランナーの腕の見せどころです。自社開催の場合もあれば、クライアントから依頼されて開催する場合もあります。
クライアントから依頼されたイベントの場合は、クライアントにプランをプレゼンし、相談を重ね、修正を行いながら内容を固めていきます。スポンサーや協賛者を募り、イベント開催のための資金を集めるのもイベントプランナーの大事な仕事です。
準備と制作
イベントの企画が固まり実施が確定したら、実施概要書を作成します。イベントの目的やターゲットを明確にし、どのような会場を使うか、内容や演出はどうするかなどをまとめておくことで、各部署のスタッフが周知しやすくなるのがメリットです。
次に、開催までのスケジュールを作成します。どのように準備を進めていくか、目安となるスケジュールを決めて作業の担当者も振り分けておくと、役割が明確になり進行がスムーズになるでしょう。
会場を押さえたり、協力会社やスタッフを募集したりすることもイベントプランナーの仕事です。スケジュールを元にイベントの準備(イベントのプログラムやコンテンツ作成など)を進めながら、集客を目的とした告知方法を検討します。予算がかけられない場合でも、近年ではSNSなどを使って、広く告知することが可能となりました。
運営
イベント当日は、トラブルなくスムーズなイベント運営ができるよう、責任者として全体を取り仕切ります。音響、照明などを手がける各分野の職人やスタッフをまとめる手腕と、予想外の事態にも対応できる柔軟な判断力や対応力も必要になります。
イベントプランナーの平均年収
イベントプランナーの給与や年収は、所属する会社の規模や、どのような会社に所属するかで大きく変動します。一般的には、大手企業の方が中小企業よりも年収は高く、また、学歴も中卒よりは大卒の方が年収が高くなる傾向です。
以下、厚生労働省の調査データを元にして、会社の規模別に年収をまとめました。すべて性別、年齢、学歴の平均値です。ただし、広告業としてのデータなので、イベントプランナー以外の職種のデータも含まれます。
社員数10〜99人の会社 | |
平均給与 | 44万9300円 |
年収 | 645万9400円 |
平均年齢 | 38.8歳 |
勤続年数 | 9.5年 |
所定内実労働時間数 | 169時間 |
社員数100〜999人の会社 | |
平均給与 | 42万1700円 |
年収 | 591万2200円 |
平均年齢 | 38.9歳 |
勤続年数 | 8.8年 |
所定内実労働時間数 | 168時間 |
社員数1000人以上の会社 | |
平均給与 | 66万3200円 |
年収 | 1086万1200円 |
平均年齢 | 39.4歳 |
勤続年数 | 12.9年 |
所定内日労働時間数 | 171時間 |
*年収の計算方法 きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額
イベントプランナーに求められる資質とは
イベントプランナーは、イベント全体を企画運営する役割を担います。そのため、イベントプランナーとして求められる資質が必要で、向き不向きがある職業です。
自分の性格や仕事に何を求めるかなどの自己分析をして、イベントプランナーが自分に合った職業かどうかを見極めましょう。
豊かな発想力
イベントに訪れる人々が、今までにない衝撃や感動を受けるような新しいアイディアを生み出せる能力は、イベントプランナーにとって大切な資質のひとつです。常に発想力を鍛えるために、自身の情報に対する感度も高めておく必要があります。
自らさまざまなイベントに参加したり、人の集まる場所で流行を把握したりするなどの行動力も不可欠といえます。
旺盛な好奇心
どのようなことに人々が興味を示しているか、世の中の動向を知ることで広い分野に精通する知識を得て、アイディアの元にすることがあります。自身の興味関心の枠を超えて情報収集できる旺盛な好奇心は、イベントプランナーになくてはならない資質でしょう。
調査・分析力
イベントの企画にあたり、イベント開催の目的を十分に理解し、クライアントの意向を汲み取り、イベントで伝えるべきポイントを導き出さなければなりません。たとえば、どの年代層に向けてどのように訴求するのが効果的かなど、市場を調査し分析できる能力が必要になります。
この能力を鍛えるためには、何事もわからないまま流さずに、自分の頭で考える習慣を身につけることが重要です。
コミュニケーション能力
イベントでは、各分野の職人や多くのスタッフをまとめて、いくつものタスクを同時に進められる管理能力と、多くの人を動かすリーダーシップが求められます。そのためには、基本となるコミュニケーション能力の高さが必要です。
国際化が進んでいる現代では、ビジネスシーンでも通用するレベルの英語力があれば、さらに活躍の幅は広がるでしょう。
イベントプランナーになるには
イベントプランナーは現場での経験が多ければ多いほど即戦力として重宝されるため、アルバイトや契約社員から仕事を始めて経験を積む人が多いようです。仕事を続けていく上で次第に評価され、正社員に登用されるケースもあります。
徐々に仕事の幅を広げて、イベントの企画から運営までを任されるようになれば、一人前として転職でのキャリアアップも可能になっていきます。実力をつけて人脈が広がれば、フリーランスのみではなく独立開業してからも活躍できるでしょう。
イベントプランナーの働き方
イベントプランナーは、主に広告代理店やイベント企画会社に所属して働く人が多くいますが、活躍できる場所はそれだけに限らず多岐に及んでいます。たとえば、テーマパークやブライダル業界、イベントを行う施設などもイベントプランナーの就職先です。
イベントといっても種類は多くあるため、就職をする際にはどのジャンルのイベントを企画運営する会社なのか調べる必要があります。会社によっては、イベント開催時に休日出勤があったり、準備で忙しい場合は残業が多くなったりもするので、雇用形態も自分の希望に合っているのか検討しましょう。
イベントプランナーへの転職に有利な資格
イベントプランナーになるために必要な学歴や必須資格はありませんが、転職をする際に有利になる資格はあります。資格取得は、イベントに関する基礎的な知識を習得していることを客観的に証明できることがメリットです。
ここでは、以下4つの資格をご紹介します。経済産業省の後援事業で、一般社団法人日本イベント産業振興協会(JACE)が主催している資格検定です。
テキストはイベント検定ポータルサイトからも購入でき、試験対策にオンラインセミナーもあります。オンデマンド配信であるため、場所と時間にとらわれず自分のペースで学習を進められるので、働きながらでも手軽に検定試験対策ができることが魅力です。
*参考 「イベント検定ポータルサイト」
イベント業務管理士
イベント業務管理士は、イベントの実務経験が必須となる、イベントのプロフェッショナル向けの資格です。1級と2級があり、1級はイベントディレクターとして、2級はアシスタントディレクターとして、実務知識や共通スキルを有している証となります。
現代のイベントのプロフェッショナルには、勘や経験だけでなく科学的方法論やさまざまな視点で、多角的にイベントをマネジメントしていく能力が不可欠です。資格取得によりそれらの能力を習得できるため、自己のスキルアップに有効利用しましょう。
概要は以下の通りです。
イベント業務管理士2級 | |
受験資格 | 実務経験3年以上経験者(アルバイト経験も含む) |
試験方法 | CBT方式による択一問題
*CBT方式とは全国のテストセンターでパソコンを使った受験方式 |
問題数 | 100問 選択式 |
試験時間 | 120分 |
試験内容 | 主に、「イベント業務管理士1級・2級共通公式テキスト」から出題
※2025年度からは新テキストを使用 1イベント概論 2イベントの企画 3イベントの制作と運営 4イベントマネジメント |
合格基準 | 点数70点以上
配点は、各1点×100問とし、合計70点以上で合格 |
イベント業務管理士1級 | |
受験資格 | イベント業務管理士2級登録者かつ実務経験5年以上経験者(アルバイト経験も含む)で「受験資格申請」を通過した方 |
試験方法 | CBT方式による記述式問題
*CBT方式とは全国のテストセンターでパソコンを使った受験方式 |
問題数 | 9問 すべて記述式 |
試験時間 | 120分 |
試験内容 | 主に、「イベント業務管理士1級・2級共通公式テキスト」から出題
※2025年度からは新テキストを使用 1イベント概論 2イベントの企画 3イベントの制作と運営 4イベントマネジメント |
合格基準 | 非公開 |
*参考 「イベント業務管理士資格試験」
イベント検定
イベント検定では、すべてのイベント業務の基礎知識を体系的に学べます。イベントの実務経験を問わず誰もが受験可能なので、取得しておくと転職に有利になるでしょう。
まずはこの検定でイベント業務全般の基礎を身につけてから、興味がある分野の勉強をすることで知識に深みが増します。
試験概要は以下の通りです。
試験方法 | CBT方式による択一問題
*CBT方式とは全国のテストセンターでパソコンを使った受験方式 |
受験資格 | 誰でも受験可 |
問題数 | 50問選択式 |
試験時間 | 60分 |
試験内容 | 主に「ユニバーサルイベント検定公式テキスト ~いま、求められるユニバーサルイベント」から出題
1ユニバーサルイベントを学ぶ前に 2ユニバーサルイベントの基本的な考え方 3すべての人に届けるためのユニバーサル・アクセシビリティ 4特性を理解すると見えてくるユニバーサル・コミュニケーション 5ユニバーサル・オペレーションとその事例 6ユニバーサルイベントのサステナビリティ |
合格基準 | 合格基準点 70点以上
配点は、各2点×50問とし、合計70点以上で合格とする |
合格発表 | 受験終了後、会場で合格通知を受領 |
合格率 | 2022年 89.5%
2021年 88.2% 2020年 95.8% |
*参考 「ユニバーサルイベント検定」
スポーツイベント検定
スポーツイベント検定は、スポーツイベントを通じた自己実現や社会貢献ができる人材育成を目的にした検定です。まずはイベント検定でイベント全般の基礎知識を身につけてから、スポーツイベント検定の勉強を始めるとよいでしょう。
試験概要は以下の通りです。
試験方法 | CBT方式による択一問題
*CBT方式とは全国のテストセンターでパソコンを使った受験方式 |
受験資格 | 誰でも受験可 |
問題数 | 50問選択式 |
試験時間 | 60分 |
試験内容 | 主に「スポーツイベント検定公式テキスト ~スポーツイベントの企画・運営に携わる人のための教科書」から出題
1スポーツイベントを学ぶにあたって 2スポーツイベントのマネジメント 3スポーツイベントのマーケティング 4スポーツイベントの発展性、可能性 |
合格基準 | 合格基準点 70点以上
配点は、各2点×50問とし、合計70点以上で合格とする |
合格発表 | 受験終了後、会場で合否通知書を受領
*翌日以降、マイページからご自身で「合格証」をダウンロードする |
合格率 | 2022年 42.7%
2021年 51.4% 2020年 47.1% |
*参考 「スポーツイベント検定」
ユニバーサルイベント検定
イベントにおける「ユニバーサル」とは、
- 国籍
- 年齢
- 性別
- 障がいの有無
に関わらず、全員が快適に来場し参加できることを指します。
近年、行政や企業では、国際化や障がい者のスムーズな社会参加への対応が課題になっているため、今後のイベント業界に携わる人にとっては必須の知識といえるでしょう。
ユニバーサルイベント検定では、誰もが楽しめるイベントを行うための基礎知識や対応方法を習得でき、イベント業務管理士の資格を持っている人にもオススメです。
試験概要は以下の通りです。
試験方法 | CBT方式による択一問題
*CBT方式とは全国のテストセンターでパソコンを使った受験方式 |
受験資格 | 誰でも受験可 |
問題数 | 50問選択式 |
試験時間 | 60分 |
試験内容 | 主に「ユニバーサルイベント検定公式テキスト ~いま、求められるユニバーサルイベント」から出題
1ユニバーサルイベントを学ぶ前に 2ユニバーサルイベントの基本的な考え方 3すべての人に届けるためのユニバーサル・アクセシビリティ 4特性を理解すると見えてくるユニバーサル・コミュニケーション 5ユニバーサル・オペレーションとその事例 6ユニバーサルイベントのサステナビリティ |
合格基準 | 合格基準点 70点以上
配点は、各2点×50問とし、合計70点以上で合格とする |
合格発表 | 受験終了後、会場で合格通知を受領 |
合格率 | 2022年 89.5%
2021年 88.2% 2020年 95.8% |
*参考 「ユニバーサルイベント検定」
未経験からのイベントプランナーは可能か
転職サイトを検索すると、イベントプランナーの求人で未経験者可のものは少なくありません。しかし、右も左もわからない状態でイベント業界にいきなり飛び込むのはあまりオススメできません。
本記事で紹介したイベントプランナーの転職に役立つ資格などを取得し、仕事内容を理解した上で応募するとよいでしょう。
また、イベントプランナーを目指す人は、多くのイベントやライブなどに参加してみるだけでも学びになります。どのような演出に心を動かされるか、運営のどの辺りに不満を感じるのかなど、お客さん目線でイベントを体験することで、のちの自身の企画に生かせる経験となります。
転職エージェントに登録をする
転職エージェントごとに強みが異なるため、より自分に合う就職先を探すには複数の転職エージェントに登録してみることがオススメです。無料で利用できることや、企業との調整をキャリアアドバイザーが担当してくれることをはじめ、非公開の求人情報の取り扱いなど、選択肢が多いことなどがメリットです。
扱う求人情報やサービスもエージェントにより異なるため、比較サイトなどで検討してみるとよいでしょう。
イベントプランナーの仕事を効率よく探すには?
イベントプランナーとして年収をアップさせたい人や、仕事の幅を広げて経験を積みたい人は、マッチングサイトを利用して仕事を探すのも手段のひとつです。
「職人BASE」はイベント業界に特化した仕事の求人/案件と求職者のマッチングサービスを行っているサイトで、LINE登録をすればスマホからでも利用できます。スキマ時間で仕事を探すこともでき、オススメ案件がLINEで届くなど、手軽さが魅力です。
経験を積み人脈を広げられる仕事につながれば、将来独立を視野に入れている人であればなおよい機会になるでしょう。
*参考 「職人BASE」
まとめ|スキルアップしてイベントプランナーへの転職をしてみよう!
イベントプランナーになるための養成施設や専門学校や、イベントプランナーになるために必要な資格や免許はありません。イベントプランナーとして活躍している人たちの経歴はさまざまです。学生時代に学んだことや、それまで勤めていた職業で培った経験値が、イベントプランナーとしての強みになっていきます。
イベントプランナーは、イベント現場で実際に働く中で経験を積んで、スキルを磨いていく職業です。まずは検定試験を利用し、イベント業界についての理解と基礎知識を身につけたうえで、イベントプランナーへの転職に挑戦してみましょう。