大道具の仕事は、舞台やステージなどの裏で非常に重要な役割を果たしています。劇場や映画、イベントなどを成功に導くために創造性や幅広い技術を駆使する職業であるため、憧れる方も多いでしょう。
この記事では、大道具の仕事内容や大道具に就く方法をはじめ、大道具の年収や将来性まで詳しくご説明します。大道具に向いている人の特徴も解説するので、大道具を目指している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
大道具とは
大道具とは具体的にどのような仕事内容なのか紹介します。「小道具」との仕事内容の違いも詳しく解説します。
大道具の仕事内容
大道具の仕事内容は、劇場や舞台、イベントなどでステージ全体を構築することです。具体的には、背景や装置を作成し、演出のための大きな美術セットを組み立てることです。
美術セットは、
- 建物
- 樹木
- 街灯
- 花道
- 部屋
など多岐にわたります。大道具の設置には専門的な技術が必要です。大道具の仕事は観客を視覚的に感動させる職業であり、非常に重要な役割を担っているといえます。
小道具との仕事内容の違い
大道具と小道具は共に舞台の演出を支える重要な役割をもっていますが、仕事内容には違いがあります。移動が困難な大型のセットや装置を扱い、舞台全体の大きな枠組みを形成することが大道具の主な仕事内容です。
一方、小道具の仕事は、演者が直接使用する道具や小物などの持ち運びが可能なアイテムの製作が中心です。大道具が舞台の大枠を支えるのに対し、小道具は演出の細かな部分に深く関与します。
どちらも必要な職業であり、舞台や演劇、イベントのクオリティを上げるためにお互いが支えあう関係です。
大道具になる方法とは
大道具になる方法として、主に以下の2点が挙げられます。
- 大学や専門学校を卒業して就職
- 未経験から就職もできる
それぞれについて詳しく解説していきます。
大学や専門学校を卒業して就職
大学や専門学校で専門的な知識や技術を学び業界に就くことは、一般的な大道具へのルートといえます。
大学や専門学校の美術系や映像系の学部では、舞台装置やセットデザインに関する専門知識や技術を学べます。また、多くの学校ではインターンシッププログラムを提供しており、学生は実際の舞台や映画の現場で経験を積むことが可能です。
実践的な業務を学生のうちに経験することで、映画やテレビ、劇場などの大道具スタッフへの就職につながるでしょう。大学や専門学校で知識やスキルを磨くことは、自身の人材価値を上げ、大道具になるための有効な方法といえます。
未経験から就職もできる
大道具は未経験から就職することも可能です。大道具の求人サイトを検索すると、「未経験からOK」と記載されている求人も存在します。未経験でも現場を経験しながら知識や技術を学ぶことで、将来的に活躍する人材を育てる企業があります。
ただし、最初はアシスタントからスタートすることがほとんどです。
大道具の年収と将来性
大道具を目指す人の中には、大道具の具体的な収入と、将来的に活躍できるか気になる人も多いかもしれません。これらの疑問に回答し、高年収を目指す場合の方法について詳しく解説します。
大道具の年収
大道具の年収は、就職する会社の規模や業種をはじめ、個人の経験、スキルレベルによって大きく異なります。全国平均で見るとおおよそ250万円から600万円の範囲です。テレビ局や大手映画制作会社に所属する場合、経験を積み重ねることで年収が高くなる傾向にあります。
たとえば、テレビ局関連会社で働く大道具の場合であれば、30歳を過ぎた頃には年収が約400万円台半ばに達し、30代後半では約600万円弱になります。ただし、初任給が少ない場合も多いため、根気強く経験年数を積むことが必要です。
大道具の将来性
大道具の将来性は非常に有望といえます。
- テレビ
- 映画
- 舞台
など、エンターテイメント業界では視覚的な演出が非常に重要です。大道具はその中心的な役割を担うため、需要が非常に高い職業といえます。
また、ライブやイベント市場の成長も大道具の需要を高めています。技術の進化に伴い、求められる新たな装置や効果に対応できる人は重宝されるでしょう。さらに、創造的なスキルや忍耐力が必要となるため、AIに代わることもないと考えられています。
高年収を目指すなら
高年収を目指すのであれば、キャリアアップを図ることを前提に、将来像を考えながら経験を積むことが大切です。リーダーや美術監督はプロジェクト全体の美術方向性を決定します。チームを率いる責任がともなうため、収入も上がっていきます。
なお、技術と実績が認められればフリーランスとして独立する道もあります。フリーランスはプロジェクトごとに高い報酬を得ることも可能で、高年収を実現できるでしょう。
大道具が活躍する就職先とは
大道具が活躍できる業界はいくつか存在します。ここではその主な就職先をご紹介します。
テレビ業界
テレビ業界における大道具は、番組やコマーシャルのセット制作に不可欠な人材です。生放送のスタジオセットや特別番組の背景を製作し、視覚的な印象を強化するための空間を作り出します。
舞台・劇団
舞台や劇団における大道具は、観客に没入感や感動を与えるために重要な役割を担います。
実際の建物や自然を模倣した大規模なセットや、演出に必要な特殊装置をはじめ、物語の世界を具体的に再現するための細かな手作業と創造性が求められます。
イベント企画会社
イベントのテーマやコンセプトに合わせて、特設ステージや展示物を製作する大道具のスキルは、イベント企画会社から強く求められます。
企業のプロモーションイベントや大規模なフェスティバルで使用される装飾や構造物は大道具によるもので、来場者に強い印象や感動体験を与えるでしょう。
映画制作会社・撮影所
映画制作会社や撮影所における大道具のスキルは、映画の世界観を形成するために重要な要素です。映画のセットでは、リアルな街角や室内など、物語の場面に応じた環境を細部まで精密に作り出します。
大道具に必要なスキル
大道具には現場で必要となるスキルや、人材として非常に重宝されるスキルがあります。主なスキルとして、以下の3点が挙げられます。
- 美術系の基本スキル
- コミュニケーションスキル
- CG技術のスキル
それぞれについて詳しく解説します
美術系の基本スキル
大道具を扱う上で必要とされる美術系の基本スキルには、
- デザイン
- 色彩感覚
- 造形技術
などがあります。これらは舞台やセットのビジュアルを形作るための基盤となる重要なスキルです。具体的には、セットデザインの草案を描いたり、色の配色を決定したりする際に活用されます。
また、図面の読解能力も非常に重要です。大道具は図面を正確に読み取り、それを基に構造物を作り上げなければいけません。丁寧で正確な作業をするために不可欠なスキルといえるでしょう。
コミュニケーションスキル
大道具の制作において、コミュニケーションスキルも欠かせません。監督や他部門のスタッフとの間で日常的に意見の交換を行い、本番に間に合うよう作業を円滑に進める必要があるからです。
また、時には予期せぬ問題や要望も出てくるでしょう。チームや関係メンバーに迅速に伝達し、早期解決に導くためには日頃のコミュニケーションが重要です。
チーム内での意思疎通がスムーズであればプロジェクトは効率的に前進し、より高い成果が生み出されるでしょう。
CG技術のスキルがあれば重宝される
大道具としてCG技術のスキルをもっている場合、現場では非常に重宝されるでしょう。物理的には作りにくい壮大な景色や特殊効果をCGを使用することにより、リアルでは困難なシーンも視覚的に再現できます。
このため、CG技術に精通している場合には、多様な制作環境で高い評価を受けたり、貴重な人材として求められたりすることが増えるでしょう。
大道具に向いている人の特徴5選
大道具に向いている人には共通する特徴があります。
主な特徴として、以下の5点が挙げられます。
- 体力に自信がある人
- ものづくりが好きな人
- 忍耐力がある人
- コミュニケーション能力がある人
- 細かなところまでこだわれる人
それぞれ詳しく解説します。
体力に自信がある人
大道具の仕事は体力に自信がある人に向いているといえます。
重い材料の運搬や大規模なセットの組み立て、長時間にわたる設営作業が日常的に行われるため、物理的な労働に耐えられる体力が必要といえるでしょう。
ものづくりが好きな人
大道具は、セットの制作も仕事のひとつで、ものづくりに対する情熱が求められます。材料を加工してさまざまなセットを組み立てる技術や、手先が器用で創造的な取り組みができる人がとくに向いています。
また、ものづくりのスキルを活かして臨機応変に対応できる能力も非常に重要です。
忍耐力がある人
大道具の仕事は長時間にわたる作業や細かい技術が求められるため、忍耐力がある人が向いているといえます。緻密な制作を完璧に完成させるために、長時間集中して作業しなければならないこともあります。
また、プレッシャーに対する精神的な強さや、冷静に対応できる能力が大切です。
コミュニケーション能力がある人
大道具の仕事は、チームで協力してプロジェクトを完成させるため、コミュニケーション能力が非常に重要です。
- 指示の正確な伝達
- 意見の交換
- 問題解決のための協議
など、日常的に多くのコミュニケーションが求められます。
また、異なる部署や外部のスタッフとも連携する必要があるため、コミュニケーションスキルが非常に重要です。
細かなところまでこだわれる人
大道具の仕事では、セットのクオリティを上げるために細部までこだわる人が向いています。舞台やセットの見た目が本物に近づくように、細かな装飾や仕上げに注意を払う必要があります。
たとえば、
- 色の選定
- 質感の表現
- 小物の配置
などは、よりリアルで魅力的な舞台を創出するために不可欠です。
大道具はイベント業界で重宝されている
大道具の仕事はイベント業界で重宝されています。イベント業界では、ブースの組み立てや、イベント演出のための大掛かりなセット製作を行います。それらを魅力的に見せるように配置し、イベントを盛り上げることが大道具の役割です。
大道具のスキルを磨き、イベント業界で活躍したいと考えている人は、イベント業界の案件を無料で獲得できる「職人BASE」を活用しましょう。
職人BASEは、大道具の職人を求める展示会やイベント業界の企業と、大道具のスキルを活かしたい人とをマッチングするWebサービスです。発注企業と直接話して条件が合えば受注できるシステムで、スカウトを受けて案件を受注するケースもあります。無料で登録できる「職人BASE」をうまく活用し、大道具募集案件の獲得を目指しましょう。
*参考 職人BASE
まとめ|大道具として高年収を目指そう!
大道具は裏方ではありながら、舞台やイベントなどを盛り上げるために欠かせない職業です。今後もさまざまな業界に求められ、スキルを磨けば高い年収を目指せるでしょう。
人々を楽しませる業界で活躍できる大道具になるために、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。